表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/25

第21話 光と影──王城の夜の激突

赤い光を纏った女性がユウマの前に立ち、

黒い影と対峙した。


廊下の空気が震える。

まるで空間そのものが緊張しているようだった。


影は低く唸り声を上げる。


「……ユウマ……消えろ……」


女性は静かに言った。


「あなたには……彼を傷つけさせません」


影は短剣を構え、

一瞬で距離を詰めた。


その動きは、

人間のものではない。


エレナが叫ぶ。


「速い……!」


ガルドも剣を構える。


「ユウマ、下がれ!」


だがユウマは動けなかった。


(この戦い……

 目を逸らしちゃいけない)


影の短剣が女性の胸元へ迫る。


その瞬間――

赤い光が弾けた。


「……っ!」


光が壁のように広がり、

影の短剣を弾き返す。


金属音が廊下に響いた。


影は後退し、

低く唸った。


「……邪魔を……するな……!」


女性は一歩前に出た。


「あなたは……“影”の力を使っている。

 その力でユウマを狙うのは……許しません」


影は再び突進した。


だが――

女性の動きはそれより速かった。


赤い光が線を描き、

影の腕を弾き飛ばす。


「ガッ……!」


影の体が壁に叩きつけられた。


エレナが息を呑む。


「……強すぎる……」


ガルドも驚愕していた。


「詠唱なしで……

 あんな魔力を……?」


ユウマは女性の背中を見つめた。


(この人は……

 本当に俺を守ってくれている)


影は立ち上がり、

女性を睨みつけた。


「……光の……女……

 お前が……邪魔だ……」


女性は静かに答えた。


「あなたたち“影”は……

 ユウマを狙いすぎです」


影は低く笑った。


「……ユウマは……“鍵”……

 だから……消す……」


ユウマの心臓が跳ねた。


(鍵……?

 またその言葉……)


女性は影を睨んだ。


「あなたたちに……ユウマの何が分かるのですか」


影は短剣を構え直した。


「……ユウマは……

 “扉を開く者”……

 だから……消す……」


ユウマは思わず声を上げた。


「扉……?

 何の話だ!」


影はユウマを見た。


その赤い瞳は、

どこか悲しげだった。


「……お前は……

 “世界を変える”……

 だから……危険……」


ユウマは息を呑んだ。


(世界を……変える?

 俺が……?)


女性はユウマの前に立ち、

影を見据えた。


「ユウマを狙う理由は……

 あなたたち“影”の都合です。

 でも――」


赤い光が女性の体から溢れた。


「――私は、ユウマを守るために存在しています」


影が叫ぶ。


「……光の女……

 お前が……邪魔だ……!」


影が突進する。


女性も動いた。


赤い光と黒い影がぶつかり合い、

廊下に衝撃が走る。


「っ……!」


ユウマは思わず壁に手をついた。


(すごい……

 魔力の衝撃だけで……体が震える)


エレナが叫ぶ。


「ユウマ、危ないから下がって!」


ガルドも叫ぶ。


「巻き込まれるぞ!」


だがユウマは首を振った。


「大丈夫です。

 あの人が……守ってくれます」


エレナは驚いた。


「ユウマ……

 あなた、あの女性を信じてるの?」


ユウマは迷わず答えた。


「はい。

 あの人は……俺を守ると言った。

 その言葉に嘘はありません」


エレナは言葉を失った。


(ユウマ……

 あなた……)


戦いは激しさを増していた。


影は壁を蹴り、

天井を走り、

信じられない動きで女性に迫る。


だが女性はすべてを見切っていた。


赤い光が影の動きを封じ、

短剣を弾き、

影の体を押し返す。


影が叫ぶ。


「……光の女……

 なぜ……そこまで……

 ユウマを……守る……!」


女性は静かに答えた。


「理由は……

 あなたには関係ありません」


影は怒り狂い、

全身から黒い霧を噴き出した。


「……なら……

 お前から……消す……!」


女性はユウマを振り返り、

優しく微笑んだ。


「ユウマ……

 少しだけ、目を閉じていてください」


ユウマは驚いた。


「え……?」


女性は言った。


「あなたに……見せたくない光景です」


ユウマは息を呑んだ。


(見せたくない……?

 何を……?)


だが――

ユウマは目を閉じなかった。


(俺は……見なきゃいけない)


影が突進する。


女性は赤い光を纏い、

その一撃を受け止めた。


「……あなたたち“影”は……

 ユウマを狙いすぎです」


影が叫ぶ。


「……ユウマは……危険……!」


女性は静かに言った。


「危険なのは……あなたたちです」


赤い光が爆発した。


影の体が吹き飛び、

廊下の壁に叩きつけられる。


「ガッ……!」


影は立ち上がれなかった。


女性は影に近づき、

静かに言った。


「もう……やめてください。

 ユウマを狙うのは……間違っています」


影は苦しそうに呟いた。


「……光の女……

 お前は……

 “あの方”の……」


女性は影を見つめた。


「……黙りなさい」


影はそれ以上言えなかった。


黒い霧が影の体を包み、

その姿は消えていった。


ユウマは息を呑んだ。


(消えた……?

 逃げた……?)


女性はユウマの方へ振り返った。


赤い光が消え、

静かな表情に戻る。


「ユウマ……

 怪我はありませんか?」


ユウマは首を振った。


「大丈夫です。

 あなたが……守ってくれたから」


女性は微笑んだ。


「よかった……」


ユウマは一歩近づいた。


「あなたは……

 本当に俺を守ってくれるんですね」


女性は頷いた。


「ええ。

 それが……私の“役目”ですから」


ユウマは息を呑んだ。


(役目……

 あの影も言っていた“鍵”……

 扉……

 世界を変える……)


ユウマは聞いた。


「あなたは……誰なんですか?」


女性は少しだけ目を伏せた。


「……まだ言えません。

 でも――」


女性はユウマの目を見つめた。


「――あなたが望むなら、

 いつか必ず……すべてを話します」


ユウマはその瞳から目を逸らせなかった。


(この人は……

 俺を守るために戦ってくれた)


エレナが震える声で言う。


「ユウマ……

 あなた……本当に何者なの……?」


ガルドも呟いた。


「光と影……

 お前を巡って、何かが動いてるな」


ユウマは静かに言った。


「……俺は、逃げません。

 影が何者でも……

 俺を狙う理由が何であっても……

 必ず真実を突き止めます」


女性は微笑んだ。


「ユウマなら……きっとできます」


王城の夜は静かに戻った。


だが――

ユウマの運命は、

確実に大きく動き始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ