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第19話 揺れる王城──新たな事件の気配

レイハルト団長が去ったあと、

ユウマの部屋には重い沈黙が落ちていた。


エレナが不安そうに言う。


「……ユウマ、本当に大丈夫?」


ユウマは深呼吸した。


「大丈夫です。

 ただ……団長の言葉が気になります」


ガルドが腕を組む。


「“誰も信用するな”か……

 あれはただ事じゃねぇ」


ユウマは窓の外を見つめた。


(俺を狙う者……

 そして俺を守る者……

 この二つが同時に動いている)


その時――

廊下の方から、騒がしい声が聞こえた。


「急げ! 医務室だ!」


「負傷者が出たぞ!」


エレナが驚く。


「医務室……?

 ロイドのところじゃない!」


ガルドが叫ぶ。


「行くぞ!」


三人は急いで医務室へ向かった。


医務室の前には騎士たちが集まり、

緊張した空気が漂っていた。


ユウマが駆け寄ると、

医務室の扉が勢いよく開いた。


中から医師が出てきて叫ぶ。


「誰か! 団長を呼べ!

 “患者が襲われた”!」


ユウマの心臓が跳ねた。


「ロイドが……襲われた!?」


エレナが青ざめる。


「そんな……

 さっきまで無事だったのに!」


ガルドが医師に詰め寄る。


「ロイドは無事なのか!?」


医師は震える声で答えた。


「命に別状はありません……

 ですが、犯人は逃げました」


ユウマは医務室の中へ飛び込んだ。


ロイドはベッドに横たわり、

肩に包帯が巻かれていた。


顔色は悪いが、意識はある。


「ロイド!」


ロイドはユウマを見ると、

弱々しく微笑んだ。


「ユウマ殿……

 ご心配をおかけしました……」


ユウマはベッドのそばに座った。


「何があったんですか?」


ロイドは苦しそうに息を吸った。


「……突然、部屋の明かりが消え……

 誰かが私の首を掴みました」


エレナが息を呑む。


「首を……?」


ロイドは頷いた。


「はい。

 そして……耳元で囁かれたのです」


ユウマは身を乗り出した。


「なんと言われたんですか?」


ロイドは震える声で答えた。


「『ユウマに近づくな』と……」


エレナが叫ぶ。


「ユウマに……近づくな……!?」


ガルドも険しい顔になる。


「つまり……

 ユウマを狙ってる奴が、ロイドを襲ったってことか」


ロイドは続けた。


「犯人は……人間でした。

 黒いフードを被っていて……

 顔は見えませんでしたが……

 “赤い目”が見えました」


ユウマは息を呑んだ。


(赤い目……

 森で見た魔物の目とは違う。

 あの女性の赤い光とも違う。

 これは……別の何かだ)


エレナが震える声で言う。


「ユウマ……

 あなた、本当に狙われてる……」


ガルドが拳を握る。


「クソッ……

 王城の中で襲撃とはな」


ユウマはロイドの手を握った。


「ロイド……

 あなたを巻き込んでしまってすみません」


ロイドは首を振った。


「いいえ……

 私はあなたに助けられた身です。

 今度は……私があなたを守りたい」


ユウマは胸が熱くなった。


(俺は……一人じゃない)


その時――

医務室の扉が開いた。


「失礼する」


レイハルト団長が入ってきた。


ガルドが言う。


「団長、ロイドが襲われました」


レイハルトはロイドを見て、

静かに頷いた。


「……そうか」


ユウマはレイハルトに向き直る。


「団長。

 犯人は“ユウマに近づくな”と言ったそうです」


レイハルトの表情がわずかに動いた。


「……そうか」


エレナが叫ぶ。


「団長、何か知っているんですか!?」


レイハルトは答えなかった。

ただ、ユウマを見つめた。


「ユウマ。

 お前は……“本当に危険な立場”にいる」


ユウマは息を呑んだ。


「団長……

 俺を狙っているのは誰なんですか?」


レイハルトは静かに言った。


「……それは、まだ言えない。

 だが――」


レイハルトはユウマの肩に手を置いた。


「“影”が動き始めた。

 そして……

 “光”もまた、お前を守ろうとしている」


ユウマは胸がざわついた。


(影……

 光……

 あの女性のことか?)


レイハルトは続けた。


「ユウマ。

 お前はこれから、

 “王国の中心”に巻き込まれる」


エレナが叫ぶ。


「どういう意味ですか!?」


レイハルトは答えなかった。


ただ、ユウマに向かって言った。


「ユウマ。

 お前は……“選ばれた”」


ユウマは息を呑んだ。


(選ばれた……?

 俺が……?)


レイハルトは背を向けた。


「これ以上は言えない。

 だが――

 “光”を信じろ」


そう言い残し、

レイハルトは医務室を出ていった。


エレナが呟く。


「光……って、あの女性のこと?」


ガルドも腕を組む。


「影と光……

 ユウマ、お前を巡って何かが動いてるな」


ユウマは静かに言った。


「……俺は、逃げません。

 ロイドを襲った犯人も……

 俺を狙う者も……

 必ず突き止めます」


エレナはユウマの手を握った。


「私も一緒よ」


ガルドも笑った。


「もちろんだ」


ユウマは深く息を吸った。


(影が動き始めた……

 なら俺も動く)


王城の闇は、

確実にユウマを中心に渦巻き始めていた。

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