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第18話 静かな監視──王城に潜む影

ロイドを医務室に預けたあと、

ユウマはガルド教官とエレナと共に、

王城の廊下を歩いていた。


夕暮れの光が窓から差し込み、

長い影が床に伸びている。


エレナが小声で言う。


「……なんだか、城の空気が変じゃない?」


ガルドも周囲を見回しながら頷いた。


「騎士たちの動きが妙に慌ただしいな。

 何かあったのかもしれん」


ユウマは胸の奥にざわつきを感じていた。


(ミレイユ局長が言っていた“狙う者”……

 本当に王城の中にいるのか?)


その時、

廊下の角で二人の騎士がひそひそ話しているのが聞こえた。


「……あの少年だろ? 例の……」


「情報局が保護してるって話だ。

 何かやらかしたのか?」


「いや、逆だ。

 “狙われてる”らしい」


ユウマは思わず足を止めた。


(……俺のことだ)


エレナが心配そうにユウマを見る。


「ユウマ……大丈夫?」


ユウマは微笑んだ。


「大丈夫です。

 ただ……本当に狙われてるみたいですね」


ガルドが腕を組む。


「気にすんな。

 俺たちがついてる」


その言葉に、ユウマは少しだけ安心した。


情報局の部屋を出たあと、

ユウマは自室へ戻ることにした。


廊下を歩いていると、

背後から視線を感じた。


(……誰かが見ている)


振り返ると、

廊下の奥に一人の騎士が立っていた。


だが、ユウマと目が合うと、

その騎士はすぐに姿を消した。


エレナが眉をひそめる。


「……今の、絶対にユウマを見てたわ」


ガルドも険しい顔になる。


「監視か……

 ミレイユ局長の命令じゃねぇな。

 あれは“別の誰か”の指示だ」


ユウマは胸がざわついた。


(俺を狙う者……

 もう動き始めている?)


自室に戻ると、

部屋の空気がどこか違っていた。


ユウマはすぐに気づいた。


(……誰かが入った?)


机の上の紙の位置が微妙にずれている。

棚の本の並びも、少しだけ違う。


エレナが驚く。


「ユウマ……これ……」


ガルドが部屋を見回す。


「間違いねぇ。

 誰かがこの部屋を探ったな」


ユウマは机の上の紙を手に取った。


(俺の調査メモ……

 これを見られた?)


ガルドが言う。


「ユウマ、お前の調査が誰かの邪魔になってる。

 だから部屋を探られたんだ」


エレナが拳を握る。


「許せない……!」


ユウマは深呼吸した。


「でも……

 何も盗まれていません。

 ただ“探られた”だけです」


ガルドが頷く。


「つまり、警告だな。

 “余計なことをするな”っていう」


ユウマは机に手を置いた。


(俺を狙う者……

 そして、俺を守ると言った女性……

 この二つは繋がっているのか?)


その時――

扉がノックされた。


「ユウマ殿、よろしいですか?」


聞き覚えのある声。

騎士団長レイハルトだ。


ガルドが眉をひそめる。


「なんで団長が……?」


エレナも緊張する。


「ユウマ、気をつけて」


ユウマは扉を開けた。


レイハルトはいつもの冷静な表情で立っていた。


「霧島ユウマ。

 少し話がある」


ユウマは頷いた。


「はい。

 どうされましたか?」


レイハルトは部屋の中を一瞥し、

静かに言った。


「……お前の部屋が荒らされたと聞いた」


ユウマは驚いた。


「どうしてそれを……?」


レイハルトは答えなかった。

ただ、ユウマを見つめた。


「ユウマ。

 お前は今、王城の中で“危険な立場”にいる」


ガルドが一歩前に出る。


「団長、どういう意味だ?」


レイハルトはガルドを見ず、

ユウマだけに視線を向けた。


「お前の調査は……

 王国の“ある人物”にとって都合が悪い」


エレナが息を呑む。


「ある人物……?」


レイハルトは静かに言った。


「名前は言えない。

 だが……

 その人物は、お前を排除しようとしている」


ユウマは拳を握った。


(やっぱり……

 俺を狙う者がいる)


レイハルトは続けた。


「ユウマ。

 お前はしばらく、

 “誰も信用するな”」


ガルドが叫ぶ。


「団長、それはどういう――」


レイハルトはガルドを制した。


「ガルド、お前もだ。

 この件に深入りするな」


エレナが怒る。


「そんな……!」


レイハルトはユウマに近づき、

低い声で言った。


「ユウマ。

 お前は……“狙われている”。

 だが同時に……“守られてもいる”」


ユウマの心臓が跳ねた。


(守られている……

 あの女性のことだ)


レイハルトは続けた。


「お前を守っている者が誰か……

 私は知らない。

 だが――」


レイハルトはユウマの肩に手を置いた。


「その者を……信じろ」


ユウマは驚いた。


「団長……?」


レイハルトは背を向けた。


「私はこれ以上は言えない。

 だが……

 お前は“選ばれた”のだろう」


そう言い残し、

レイハルトは去っていった。


エレナが呟く。


「……団長があんな言い方をするなんて」


ガルドも腕を組む。


「ユウマ、お前……

 本当に何者なんだ?」


ユウマは答えられなかった。


ただ一つだけ確信していた。


(俺を狙う者がいる。

 そして……

 俺を守る者もいる)


その二つの力が、

王城の中で静かに動き始めていた。

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