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花見の後で  作者: Little by Little


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1/1

酔っぱらいとの会話

咲き初めの時 満開の時 散っている時

どんな時も綺麗で惹き付けられ琴線に触れる。



平成後期 地方 秋


地方のFランク大学を途中で行かなくなった男にはろくな就職先もなく、実家も追い出され、肉体労働をするしかなかった。

体を動かすのは別に苦痛ではなかったが、その対価が少ないのが苦痛だった。

同級生たちは社会人3年目でそろそろ仕事に慣れてきた所だと言うのに、俺は仕事には慣れてきたが対価には全く馴れなかった。

全く楽しみすらも持たないまま仕事に毎日が吸われ、

たまの休みも日々の疲れでその休みさえも疲れに吸われいた。

ブーンブーンブーンブーンブーン

そんな休みの日なのにスマホのバイブがうるさい。

机の上に置いて寝たからバイブがうるさいのだ。

いつもスマホはバイブにしている。呼び出し音がうるさく感じるし、それで電話に気づくのがイヤだし(しゃくに触る)、鳴っちゃいけない場面で呼び出し音が鳴らないようにしているのもある。

目覚ましのアラームだけは音にしている。

でも今回のように置く場所を間違えるとバイブでもうるさい。

しばらくすれば止むだろと思いまた寝ようとしてるのにまだバイブがうるさく響く。

もしかして今日は仕事が休みだと思っていたのに、疲れで何曜日かもわからない時があるから

もしかしてと

ちょっとびくびくしながらスマホを見るとカイと表示されていた。

カイの着信の上の日付は確かに今日は日曜日だ。

一安心してカイの電話は無視しようと思った。

赤い電話終了ボタンをタップした。

電話にでなかったのに

『こっちはまだ寝たいんだよ』と、スマホに話しかけた。


カイは高校からの友人で大学も同じ。コイツも俺と同じで途中から大学を行かなくなった。そして辞めた。

カイが行かなくなった理由はパチンコ、麻雀、競艇、バイトで毎日が充実していているから大学に行く暇がなくなったって言っていた。

俺もパチンコ、麻雀、競艇も一緒に行ったが充実はしていなかった。負けが込んでいたからだ。

負けのお陰でバイトを毎日充実させていたのは確かだが。


だがカイは違っていた。

カイはしっかりデータを取り、麻雀以外のパチンコ、競艇ではそこそこ潤ってるように見えた。

俺と一緒に行った日は、カイが大負けをしてるのを見たことがなかった。悪くて少しのマイナスぐらい。

そんなカイともお互い大学を辞めた時期はバラバラでカイの方が先に辞めて、カイの方が先に社会に出たんだが、カイは大学を辞めても麻雀以外のパチンコ、競艇は辞めなかった。

カイが辞めたのは麻雀と大学だった。

俺が辞めてふらふらしている時も大学の時のツレとはあまり遊ばず、カイと遊んでいた。大学の時のツレと遊ぶ事はあってもどこか引目があった。遊んでる時は楽しいんだが、解散する時の虚しさが襲ってくる感じがイヤだった。

その点カイと遊んでる時は楽しいし、解散する時も虚しさはなかった。今思うとキズを舐めあっていたんだろうな。

そんなカイとも今年の花見以来あっていなかった。

また会おと約束してたんだが連絡をとっていなかった。

それに痺れを切らして連絡してきたのか?

そういえばいい仕事があれば紹介してくれるって言ってたような。

カイはBarで働いてるから、いろんな職業や人種と交流を持てるし、そこから何かいい仕事があれば見たいな事言ってたよな

その話か?う~ん気になる。今の給料に納得言ってないのも話したよな。今の給料よりもいい仕事紹介してくれるのか?

う~ん次電話がかかってきたら出よう。

そう思うと目が冴えてきてしまった。

さっきまであれほど眠たかったのに。

でもこちらから切ったのがわかったのか電話はかかって来ない。

なんだよ、

こっちが切ったのにかけなきゃ行けないのか?こっちが用事があるみたいじゃないか。

そんな事を考えてても目は覚めてしまったから。

もしカイにかけて仕事以外の話しだったら怒ってやろう。そう思うとイライラしてきた。

よしかけるか!

プルルルル プルルルル プルルルル

ずーうっと呼び出してる プルルルル プルルルル

ん?アイツからかけて来たんだよな? プルルルル

こっちが切ったのを腹立てているのか?プルルルル

なかなか電話に出ない。やっぱり怒ってるのか。プルルルル…

電話を1度切りメッセージアプリで

「久しぶり!どうした?」

とカイに送信した。

本当は「何かいい仕事紹介してくれるのか?」って送りたかっが、違ったらがっついてる見たいで恥ずかしい

それからしばらく小一時間ほどメッセージアプリの返信はなく既読も付かなく、もう1度かけようか迷っていた。

カイから連絡を待っている気持ちが、

何か付き合いたての恋人から連絡を待っているかのような気持ちになってしまった。気になりだした。

おい!おい!だいぶ疲れてるんだな。どうした俺。

そしてカイからはその日連絡はなかった。


また同じ毎日を繰り返して何周か回った頃には、雪が散らつき始めカイからの電話の事もすっかり忘れていた。


ブーンブーンブーンブーンブーン作業着の胸ポケットに入れていたスマホのバイブが唸りだした。

胸ポケットからスマホを取り出し画面にはカイ

それを見てそういえばと思い出し、

『もしもーし』と電話を出た

『おい。生きてるか?』 カイの声だ。

俺が知ってるカイの声だが、なんだか風邪を引いたような声だった。

『久しぶり、カイどうした?』 

この前電話があった事、電話を切った事をこちらから言わなくても

カイから言ってくるだろう。

『花見以来だな。オレの店、2周年迎える事になったんだよね。で、今人手が足りなくてだからお前にも手伝って欲しいんだよね。』

あれ?でも仕事は紹介するって事か。

『もう2年か?早いな』

手伝うってもね。あのパズル系列か

『手伝えって何?俺もそこで働けって事?』

給料は少ないだろうな。

『そうだよ。お前酒好きだろ。一緒にまたやらないか?』

カイは大学の1年の時から6年ぐらいBarってか水商売しているせいか昼職をわかっていないふしがある。

昼の肉体労働と、地方の夜のBarの店員が給料が同じぐらいって思っているんだろうな。

『いやいや。俺今昼の仕事してるからさ、夜はちょっと無理だろ。』

知らないだろうな。昼の肉体労働のツラさと給料を。

『わかってるよ。お前まえに言ってたじゃん。給料がいい仕事あったら紹介してくれって』

そういうんじゃなくて

『まえに俺昼の給料言ったよな?Barの給料が今の給料よりもいいって事?』

何も期待せず、乾いた笑いを浮かべながら聞いてみた。

『もちろん。だから誘ってるんじゃん。手取り30あればお前の給料越えるよな。』

こいつは何を言ってるんだ。酒を飲み過ぎて30あればって。Barの店員で30??

『いやいや。俺単なる酒好きの、大学の時と大学辞めた後お前と4年ほどバイトしてたけどさ。もう辞めて1年ぐらいたつぞ。』

多分寝ぼけてるか、酒の飲み過ぎだ。もう今昼過ぎだぞ。まだ酒が抜けてないのか?

『そうだよな。辞めて1年ちょっとだもんな。急には無理だよな。じゃバイトから始めないか?お前が入れる曜日で。週末か?』

寝ぼけてないな。勝手に決めてる。強引過ぎる。酒は抜けてないな。

『やるも何も言ってないから勝手に決めないでくれ。』

誘ってくれたのは嬉しかったけど、突拍子過ぎて

『そうか。じゃ来週の土曜飲みに来てくれない? ○○ビルの3階わかる?』

あ~手伝ってくれは誘い水でそっちが本命か。

『あ~行けたら行くよ』

遠回しに断ってるのはわかるよな。

『じゃ、待ってるわ』

『あぁ。』

そして電話がきたれた。

ダメだ。。アイツ寝ぼけて酔っぱらってるわ。


なんかカイと俺って友達だと思っていたけど、今は違う見たいだな。


そして翌週の土曜になり、わかってはいたけど足は向かなかった。

さぁ寝ようかと土曜から日曜になろうとしていた時、

ブーンブーンブーンスマホのバイブが唸りだす。


スマホの画面を見るまでもなく、カイだとわかった。

寝ていたにしよう。ブーンブーンブーン。

寝ていたにしよう。ブーンブーンブーン。

えらいしつこいな。ブーンブーンブーン。

仕方ない寝てたふりして電話を出るか。


画面にはやはりカイ

『はあぁ、もしぃも』

寝てたふりした声の途中にカイじゃない声が電話の向こうから

『ヒロトー!久しぶり!アンタ今日来るんでしょ。もしかして寝てたの?ヒロ君?』

半年振りに聞いた声だった。すぐにわかった。

俺が働いてた時の客、ノノ、ノノカだ。

半年前に別れたノノカだ。花見の時ノノカもいたんだった。その後、ゴールデンウィーク前にノノカと別れたんだ。

『あぁぁ寝てた。』

動揺したけど寝てた芝居をしなくちゃ

『ヒロ君が来るって聞いたから、アタシ来たんだけど』

行けたら行くとは言ったけど、行くとは言ってないのに。なんでカイの携帯からかけて来るんだよ

『ちょっとカイに変わってくんない?』

直接本人に断わろ。仕方ない。こんな時間だ。

はっきり断わろ。酔っぱらい達にははっきり言わなくちゃ。

『え何?久しぶりなのに、アタシと何も話す事ない感じなの?』

イヤ、君とは友達に戻ろうとは話したけど、そもそも連絡もうとってなかったじゃん。それにその携帯カイのでしょ。

『ノノ久しぶりだね。カイは?』

いいから、変わってくれ。本人に断るから。

『何それ!もういい。カイくーんー。』

もういいってか。もういいのか。

『おーい!ヒロトー!いつくるんだよ。』

前よりも更に風邪を引いたようなガサガサの声でカイがやっぱり酔っぱらってる。

『あれ?俺行くって言った?』

遠回しに断わってるのもわからなくなった?

酔っぱらいめ。

『なんで?手伝うって言ってなかったか?』

ダメだコイツは。昼間も酔っぱらい。夜も、酔っぱらってる。

『言ってないよ。今日は寝てたから。ごめん。』

ここまで言えばわかるだろう。

『ん~?待ってるからな。』

そして電話がきれた。酔っぱらいは自分の都合のいいように物事を考えてしまうんだなと勉強になった。

行くもんか。行くもんか。ここで行ったらズルズル利用されるかもしれない。

友達だと思っていたのに。利用してくるようじゃもう知り合いに降格だな。ノノカと同格だ。


イライラしてきた。酔っぱらい達の声を聞いてたら飲みたくなってきた。ビールを呑もうと、冷蔵庫を開けると入ってなかった。

冷やし忘れてた。常温のビールは冷蔵庫の近くで箱に入ったまま待機していた。


ちくしょっ飲もうと思ったのに

喉がビールを待っていたのに

喉がビールを欲していたのに


ちくしょっ生一杯ぐらいなら

ちくしょっもう行こうとしてるじゃん

ちくしょっ行くか



車で向かって15分

歓楽街に着いた。


車をパーキングに停め、歓楽街に入るとやはりここは空気が違う。

ここの区画、歓楽街の区画はなぜか違う

独特の空気がニオイがある。

区画外と比べてニオイが違う。


この区画にいる人間の6割ぐらいは酒を呑んでいる。

前に誰かに聞いた事がある、

呑んだ人達がアセトアルデヒドを吐き散らし歩いているからこの独特の空気感ができてるんだといい加減な事を言っていたな。


それか歓楽街に足を踏み入れたと自覚してそう思い込んでるからなのか。


目的のビルまで道すがら

もう夜も深いせいかあまり人はいないが

サラリーマン達が愚だを巻いて通り過ぎ、

ホストかキャッチかわからないグループか騒いでたり

キャバ嬢がスケベの塊のようなオジサンと手を繋いでるのを見かけ、

それを見ていたのに気づかれパッと手を離していた

オジサンはまた手を繋ごうとするが、キャバ嬢は

俺とすれ違い目線がきれるまで手を繋ごうとしなかった。振り向いたら手を繋いでいた。

着物を着ているどこかクラブのママが、

品があるロマンスグレーと歩いてるのを横目にしながらビルに着いた。


ここの3階

ビルの前、壁にはびっしりと花輪が張り巡らされ

陳列されていた。


パズル3rdさんへ 

色んな同業の店からの花輪や

協力会社 酒屋 etc


ビルのエレベーターホールにも花輪が陳列されている。

1、2、………25か。

Barでこの数は多いな。

俺も現場の人達とたまには飲みに行くし、

キャバクラや、クラブ、Barにも行ってるけど

25はこの歓楽街では多い方だ。

エレベーターホールに向かいながらも、

花輪を見ていたら ○○興業より ○○興行より

との花輪も。

それもそうか、こんな地方でましてや

パズルグループの店だもんな。

余計な詮索をしながら3階へと昇っていった。


3階に着いても本物の花がお出迎えしてくる。

3階の廊下にもスタンド花がズラッと並んでいる。


鼻に強烈な花のニオイが襲ってきた。


本来なら花のいい香りなんだろうけど、密閉されたビルの廊下に20以上の花達が並んでいる。


花の香りの柔軟剤のキャップを開けて、そこに鼻を突っ込んでる感じだ。


すぐに店の場所はわかった。

そのドアからは

ガヤガヤといろんな人達の声が漏れてきてる


花の香りに少し酔いそうになりながら、


カジュアルBar

パズル3rdのドアを開けた。









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