黒威との出会い
この世界にはとある特殊能力のようなものを生まれ持った人々が一部いる。
その特殊能力とは、言えば体質のような感じにはなるが、別の動物になれる能力や水などを生み出す…魔法のような能力が使える。
そしてその者たちを、知る人々はこう呼ぶ。
クラッシャー
ほとんどの能力は極めて殺傷能力が高いものばかりであった。
日常で使える能力など1ミリ程度しかない。
ー でも使い方によれば、それは“ 有能 ”な能力だ ー
クラッシャーが現れ始めた時代にその” 役目“を欲した誰かがこうしてクラッシャーの” 役目 “としてクラッシャーズという組織が出来上がった。
組織の役目は、裏社会で“ 悪質な行為 ”を繰り返す者達をただひたすらに殺す役目、いわば『殺し屋』。
数百年前からこうしてクラッシャー達は生きてきた。その“ 役目 ”を全うする為に。
そしてクラッシャーは変われる動物と色によって能力の強さが分かれる。
それがもし虫…蜘蛛や蟷螂などであれば能力強さは弱く、一般人と変わりはない。
それがよく知られている動物…狼や虎などであれば、人1人を簡単に殺せるほどの能力の強さがある。
それが普通では存在しない動物…ユニコーンなどドラゴンなどであれば建物一つ軽く吹き飛ばせる。場合によれば一国をも滅ぼせるほどの強さを誇る。
そして黒、白、紫、赤、青、緑、黄と、色がある。
黒が1番力が高く、黄が1番力が低い。
場合によっては2色持つ者がいるが、黒のみ。
これも先程と同じランク付けをされている。
そしてクラッシャーズの階級。
初級、初中級、中級、中上級、上級、上特級、特級、超小級、超中級、超上級、超特級。
そしてそれらの中の三級、二級、一級、特級、三特級、二特級、一特級、そして超特級にしかない零特級。
「ぁあ!めんどくさい……。」
机に突っ伏して藤林 纓は目の前の黒板を見る。
10歳の頃に親に見捨てられた俺は政府の高官とかいうやつらに拾われた。
どうやら俺は“クラッシャー ”とかいう特別な人間らしい…。
ここ5年程ずっと施設の中で勉強尽くしで、この内容ももう覚えてしまって、正直飽き飽きしている。
実際の所、任務にも出たことないし、その“ 動物“とやらにも変身“ 出来たこと ”もない。
手に持っているシャーペンでなんとなく広げてあるノートに絵を描いた。
空を自由に飛ぶ漆黒のドラゴンの絵。
「はいではみなさん!クラッシャーズの方が今日来てくれました!
今からは実技授業に移りたいと思います!」
ん…?
実技だァ……?
不意に扉が開き、出てきたのは中年男性。
それも黒い個性的な服を着た、だ。
「異名『黒炎火』だ。よろしく頼む。
では早速だが、外に出ようか。」
黒炎火はクラスのみんなを外に招いて全員で外に出た。
「では、ここでは言われないとある基礎を教えよう。
我々、クラッシャーは動物になれる。
だが、自らの意思でなることはまずないに等しい。」
黒炎火の言葉にクラスが一斉にざわつく。
「いいか、変われる動物には自分とは違う動物自身の意があるのだ。
その動物の意思か、君達がその動物と仲良くなって引き出そうと思う時に応えてくれるようにするか、そのどちらかしか方法はない。
その為に、認められて強くなるんだ。
そして、動物に変わった時が、本当のクラッシャーだ。」
聞いてしまえばくだらない。
そもそも俺にはまだまともに能力が使えねぇんだ。
そんな俺に中のやつなど答えてくれるはずは…
” すべて聞こえているぞ。 “
「あ?」
“ だから心の声は全て聞こえていると言っている、この阿呆。 ”
「だれが阿呆だ。」
“ 貴様だ、藤林 纓。 ”
「お前は誰だ?」
“ 黒威だ。いいか、お前は俺様の力を分け与えてる身分なのだ、ありがたいと思え。 ”
「最もそこら辺の奴らより強いだろうが、興味ない。」
“ 俺様はお前のそういうところが気に入ったのだ。
欲している者に力を分け与えても楽しくはない。 ”
「うるせぇ。ところで、“ 変われ ”と言えば変わるのか?」
“ 今日は特別だぞ。
そこらの雑魚どもに俺様の力を見せつけてやろうぞ。
”
「好きにしてくれ。」
そう、纓が言った途端、全身が黒いオーラに囲まれ、人とは違う形を模っていった。
「あ、あいつ変身したぞ!」
「黒い光…まさか異名に黒が付くもの…!?
それに龍を模っているということは…!」
周囲が纓…改め黒威を見て呆気に取られる。
唐突に変身した上、模った姿は“ 黒い竜 ”だったからだ。
『ほぅ…肉体がある感覚とはこのようなものなのだな!変身した甲斐はあったな。』
「お前はなんという名前なんだ…?」
その姿に思わず黒炎火は黒威に尋ねる。
『フン…雑魚の分際で話しかけやがって。
まぁいい、俺様は黒威だ。
よく覚えておけ、火遊び好きの雑魚。』
「雑魚呼ばわりか…漆黒の竜…上位種だな…。
まさかこんな場所にこのような者がいようとは…。」
『ある程度堪能は出来た。もうよかろう。』
そう言って黒威は自らの体を纓の体に戻していった。
「ん、もういいのか?」
” 特別良いものでも無かったからな。 “
「ふぅん…。」
そう2人(?)で話していると黒炎火がこちらに話しかけてきた。
「……ところで君の名前は?」
「俺の?」
「そうだ。」
「…藤林 纓。」
「纓君、だな。よければ訓練を受けて階級を上げてみないかい?」
思いもよらない提案を挙げてきて一瞬驚く。
それでもすぐ冷静さを取り戻し、聞く。
「何か、メリットが?」
「こんな生活に飽き飽きしていたのだろう?
外から君の様子を見たが、つまらなさそうだった。
任務をすれば給料が入る。
階級を上げればその分多くなるし、君は恐らく異名に黒が付く。異名に黒が付く者はボーナスが入りやすい。やりたいことを沢山出来るぞ?」
なるほど悪くはない。
やはりこの生活には飽き飽きだ。
なら金を手に入れ好き勝手にやってやるのが良い。
「その提案、乗ってやる。だが、嘘を吐いたと分かれば殺す。」
「交渉成立だな。ではこの実習が終わり次第荷物をまとめて待っていてくれ。
明日迎えに行く。」
こうして俺は黒炎火の提案の下、正式にクラッシャーとしての訓練を受けることになったのだった。




