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推しがライバルなんだが!!?  作者: 櫻木サヱ


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7話 夜明けと覚悟

朝が来るなんて、あんなに遠いと思ってたのに――

気づけば空が薄く染まり始めていた。

夜の静寂は、朝の気配に押されて少しずつほどけていく。


瑞希はカーテンを少しだけ開け、淡い光を見つめた。

「……来ちゃった、朝」

胸の奥で、小さな鐘が鳴る。

眠れたような、眠れなかったような――でも、不思議と目は冴えていた。


顔を洗い、鏡の前に立つ。

くしゃっと笑ってみせた。

震える心を、笑顔で上書きする。

「大丈夫、あたしは負けない」

声に出したその言葉は、昨夜の迷いを一つずつ断ち切るようだった。



律は朝焼けの中を一人、会場へと向かっていた。

まだ人影もまばらな道。

耳に届くのは、自分の足音と心臓の音だけ。


ポケットの中のイヤホンを取り出し、あの日一緒に練習した曲を流す。

そのメロディーは、懐かしくて、胸の奥をぎゅっと締めつける。

「……勝つ。ちゃんと、ぶつかる」

今度こそ、言い訳はしない。


ふとスマホを見た。

昨日送れなかったメッセージが、まだそこに残っている。

『明日、絶対後悔させない。お前に勝つから』

ためらいながらも、今度は――送信ボタンを押した。



控室には、それぞれの時間が流れていた。

瑞希はストレッチをしながら、緊張を紛らわせるように大きく息を吐く。

律は黙ったまま、ステージの音を耳に焼きつける。

お互い言葉は交わさない。

でも――感じていた。

同じ空気を吸い、同じ高鳴りを抱いていることを。


――ライバルとして。

――でも、それ以上の何かとして。


舞台の幕が開くまで、あとわずか。


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