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推しがライバルなんだが!!?  作者: 櫻木サヱ


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6話 本番前夜

夜空は澄みきって、まるで冷たいガラスのようだった。

街の灯りが滲むように揺れて、明日の幕開けを予感させる。


明日は、彼らにとって運命の一日。

ただのステージではない。

“推し”と“ライバル”が同じ舞台に立ち、火花を散らす――そんな特別な夜の前夜だった。



瑞希はベッドの上で、スマホの画面を見つめていた。

通知もない画面を、何度もスワイプする。

「……何やってんだろ、あたし」

笑ってみせた声は少し震えていた。


明日、負けるわけにはいかない。

でも――勝ちたい相手は、大好きな“彼”でもある。

その矛盾が胸をしめつけるようだった。


机の引き出しを開けると、小さなメモ帳がある。

そこには彼と初めて出会った日のこと、くだらない冗談、練習で笑い合ったことがびっしりと書かれていた。

「……勝って、ちゃんとぶつかるんだ」

瑞希は深呼吸して、目を閉じた。



一方、律は街外れの公園に立っていた。

ステージ照明の代わりに、淡い月明かりが降り注ぐ。

風が髪を揺らし、耳元で「逃げるな」と囁いてくるようだった。


スマホには未送信のメッセージ。

『明日、絶対後悔させない。お前に勝つから』

送信ボタンを押そうとして、指が止まる。

「勝つ……なんて、言える立場かよ」

笑いながらも、心臓が痛いほど鳴っていた。


それでも律は、夜空を見上げる。

明日はきっと、今までで一番“本気”の自分になる。

誰のためでもなく――自分のために。



そして、それぞれの夜が、静かに進んでいく。

誰も知らない場所で、誰も知らない涙と決意が生まれていた。

夜明けがくるまでの、ほんの短い時間。

それはまるで、嵐の前の静けさのようだった。


――運命のステージまで、あと数時間。


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