22話 約束の光
ステージの照明が静かに落ち、最後の音がホールの隅々にまで響き渡った。
一瞬の静寂――そして、観客席からあふれるような拍手の波。
涙をぬぐう暇もなく、里奈は胸の奥が熱くなるのを感じていた。
隣で舞が笑っている。
その笑顔を見ただけで、これまでの苦しさも、迷いも、報われた気がした。
練習で倒れた夜、喧嘩して泣いた日、何度も諦めそうになった瞬間。
それでも手を離さず、ここまで走り抜けてきた――二人で。
「舞、私たち……やりきったね」
「うん。でも、終わりじゃない。始まりだよ」
言葉を交わした瞬間、照明の向こうから朝の光が差し込むような錯覚がした。
ステージ袖では仲間たちが待っていて、スタッフが泣きながら拍手を送ってくれる。
その光景が、まるで夢のようで。
でも、夢じゃない――これが“今”なんだ。
観客席の奥、誰かが掲げたボードに「信じてよかった!」と書かれているのが見えた。
胸の奥がきゅっと締めつけられる。
ここにいる全員と、過去の自分たちへ、ありがとうを言いたかった。
ステージをあとにしながら、里奈は舞に小さく手を差し出す。
「ねえ、次の夢、探しにいこっか」
舞は頷き、笑顔でその手を取った。
――スポットライトが消えても、心の中の光は消えない。
ふたりを導く新しい朝が、ゆっくりと空を染めはじめていた。




