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推しがライバルなんだが!!?  作者: 櫻木サヱ


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16話涙と笑顔のSTAGE裏

ステージの幕がゆっくりと降りていく。

その瞬間、張りつめていた空気が一気にほどけた。

拍手と歓声がまだ続いている。

でも、葵の心の中は静かだった。


――やりきった。

それだけが、胸の奥で確かに響いていた。


蓮も、ステージの反対側で大きく息を吐いている。

額の汗がライトにきらめいて、まるで星の光みたいだった。


スタッフが駆け寄ってくる。

「ふたりとも最高だったよ! SNSもうバズってる!!」

「“奇跡のデュオ”って言われてるよ!」


歓声の余韻の中、葵は笑った。

「……奇跡、か。うちら、ほんとにやっちゃったね」

「だな」

蓮も少し照れくさそうに笑う。



控室に戻ると、緊張の糸がぷつんと切れた。

椅子に座り込んだ葵の目に、ふいに涙がにじむ。

「……あれ?なんで……」

止めようとしても、頬をつたってしまう。


蓮が、静かにタオルを差し出した。

「ほら、泣くなよ。泣いたらメイクぐちゃぐちゃになるぞ」

「わかってる……でも……」


葵は涙をぬぐいながら笑う。

「なんか……悔しいのか、嬉しいのか、もうわかんない」


「それでいいんじゃね?」

蓮の声は優しくて、でも芯があった。

「本気でぶつかった証拠だよ。俺も……正直、今までで一番楽しかった」


その言葉に、葵ははっとして顔を上げる。

蓮の瞳の奥が、まっすぐに自分を見ていた。



外から、歓声がまた聞こえる。

アンコールの声だ。

スタッフが慌てて走ってくる。

「二人とも!呼ばれてるよ!」


葵と蓮は視線を交わした。

「……行く?」

「もちろん」


ふたりは同時に立ち上がる。

涙はもう乾いていた。

今度は、笑顔で。


ステージに戻ると、客席がまるで海みたいに揺れていた。

光の波の中へ――再び、ふたりは飛び込んでいった。


笑顔と涙が混ざった夜。

それが、二人の新しい始まりだった。


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