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推しがライバルなんだが!!?  作者: 櫻木サヱ


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11話 リベンジの予感

数日後。

街のざわめきは、まだあの夜の熱を引きずっていた。

SNSでは、瑞希と律のステージが話題の中心になっている。

「このふたり、マジで最高すぎた!」

「ライバル同士のあの目線、鳥肌だった……」

「次の対決、早く見たい!!」


ファンたちの熱は冷めるどころか、ますます高まっていた。


瑞希はカフェの窓際に座り、スマホを見つめながら苦笑した。

「……すごいことになってんな、これ」

タイムラインは自分たちの写真と動画で埋め尽くされている。

「“ライバル”って言葉、便利だな……」

ふと呟いた声には、少しだけ照れくささが混じっていた。



「よう、話題の人」

不意に声をかけられて、瑞希は顔を上げた。

そこに立っていたのは――律だった。

ラフなパーカー姿。いつもより柔らかい笑顔。


「……なんでいるの」

「いや、たまたま通っただけ」

嘘っぽい言い方に、瑞希は目を細めた。

「……絶対、偶然じゃないでしょ」

「さぁ、どうだかな」


律は瑞希の向かいに勝手に座り、コーヒーを一口。

「にしても……すげぇよな、俺たち」

「なにが」

「だって、もう次の大会のエントリー募集始まってるんだぜ」


瑞希の手が、止まった。

「……え、もう?」

「“決戦リベンジマッチ”だとさ。主催も完全に煽ってきてる」


スマホを見せられると、大会の告知ページには

《伝説の一夜、再び。今度こそ決着を――》

と大きく書かれていた。



瑞希はしばらく無言で画面を見つめていたが、やがて――

「……やるよ」

と、まっすぐ言った。


律がニッと笑う。

「だろうな。俺もだ」

その笑顔に、瑞希の胸の奥がじんわりと熱くなる。


「次は、あんたに負けないから」

「ハッ、こっちのセリフ」


テーブル越しに、視線がぶつかる。

あの夜と同じ――いや、それ以上に熱い何かが、ふたりの間に走った。



外の街は夕焼けに染まっている。

戦いは終わっていない。

むしろここからが、本当の勝負だ。


“推しがライバル”なんて、もう他人事じゃない。

瑞希にとって律は、ただの敵でも、ただの憧れでもなく――

心の奥を揺らす存在になっていた。


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