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ついに告白って青春だね!

……………………


 ──ついに告白って青春だね!



 それから俺は熱も下がり、風邪から回復した。


 用心のために2日休んだが、その間ずっと神宮寺が様子を見に来てくれていた。


 そして、風邪から完全に回復した3日目。


「よーっす、きさちゃん。調子どうだい?」


「もうばっちりだぞ。学校に行こうぜ」


「おー!」


 神宮寺が迎えに来たのに俺はそう返し、一緒に学校に向かう。


「休みの間の授業のノート、あとで見せたげるね」


「助かる。2日も休んじまったからな」


 神宮寺がノートを見せてくれるということになり、俺は休んでいた分を取り戻さなければと思ったのだった。


 それから俺と神宮寺は教室に入る。


「よう、如月。もう大丈夫か?」


「大丈夫だぞ、早乙女。その、お前の方はどう?」


「俺?」


 俺が尋ねるのに早乙女がぽかんとした。


「ほら。柊さんと……」


「それか。それなら大丈夫だ。誤解は解けている。お前も俺に教えてくれていればよかったのに酷いやつだな」


「悪い。あのときは本当に分からなかったからさ」


 早乙女が苦笑いを浮かべて俺の腹を軽く叩き、俺はそう弁明。


「それより今日お前の誕生日を祝おうって神宮寺が言っていたけど、お前の方の予定は大丈夫そうか?」


「お。マジで祝ってくれるの?」


「俺と百花もプレゼント買ったしな」


「ありがたい。予定の方は大丈夫だ」


 俺は早乙女の友情に感謝しながら席に着いた。


 それから授業があり、いつものように時間が過ぎていく。



 * * * *



 そして、放課後。


「今日はこのまま如月の家にゴーだぜ」


「コンビニでケーキ買ってこー!」


 早乙女と柊さんがそれぞれそういう。既にわだかまりや誤解は解けて、ふたりは以前のように仲良しになっていた。


「今日は精一杯祝われろよ~」


「おうともよ」


 神宮寺はにやにやしながらそう言い、俺も笑って返した。


 俺たちは一緒に叔父さんの家に向かい、途中でコンビニに寄って行く。コンビニでは人数分のケーキを買って、それから叔父さんの家に。


「ただいま」


「お邪魔しまーす!」


 そう声を上げても叔父さんは相変わらず仕事中なのか出てこないので、俺は神宮寺たちをリビングに案内する。


「それではきさちゃんの誕生日パーティを始めよー!」


「おー!」


 神宮寺がそう声を上げて、俺たちは神宮寺の掛け声に応じる。


「誕生日おめでとう、如月」


「おめでとー、如月君!」


 それから早乙女と柊さんから誕生日プレゼントが。


「おお。悪いな。今回祝ってもらったから、お前たちの誕生日も祝わせてくれよ」


「期待してるぜ」


 早乙女からはしっかりしたシャーペンとノート、柊さんからはコップが送られた。俺はふたりから貰ったプレゼントをしっかりと受け取る。


「神宮寺ちゃんのプレゼントは?」


「神宮寺からのプレゼントはもう貰っているんだ。ほら、これ」


 柊さんが首を傾げるのに俺はポケットから神宮寺に貰ったハンカチを取り出す。


「あ。それって神宮寺ちゃんも使ってたよね? ペアルック?」


「そ、そうなるな」


 改めて人に指摘されるとちょっと恥ずかしい。


「……なあ、ずっと前から聞こうと思ってたんだけど、お前と神宮寺って付き合ってることでいいんだよな?」


「ぶっ!」


 早乙女がさらっとそう尋ねるのに俺は飲んでいたコーラを噴きそうになった。


「な、な、な、何言っているんだよ!」


「だって、どう考えてもお前と神宮寺って付き合っているようにしか見えないぞ。百花もそう思うだろ?」


 うろたえる俺と柊さんに意見を求める早乙女。


「そうだねぇ。ふたりとも付き合ってるようにしか見えないけど? 神宮寺ちゃんもそう思ってるんじゃない?」


 柊さんはそう言って神宮寺の方を向いた。


「……へへっ。どーだろーね?」


 神宮寺はそうはぐらかすが、その頬は紅潮している。それを見た俺の顔も赤くなっていくのが分かった。


「ほ、ほら、神宮寺もああ言ってるだろ? そういうことだよ!」


「そうなのか……? 別に俺はお前たちが付き合っていてもいいと思うけどな」


 早乙女はそう言い、俺と神宮寺の顔を見る。


「そうだよね。ふたりともとっても仲がいいしさ。それに神宮寺ちゃんと如月君が付き合いだしたらダブルデートしようって言ったじゃん!」


「そうそう。俺たちでダブルデートしようぜ。お前だって神宮寺のことが嫌いなわけじゃないだろ?」


 柊さんと早乙女がそれぞれそう言う。


 だ、だが、俺と神宮寺は付き合っているわけじゃ……。


「きさちゃん。あたしと付き合うのは嫌かい……?」


 そこで不意に神宮寺がそう尋ねてくる。からうかうような表情ではなく、本当に真剣な表情でそう尋ねてきたのだ。


「い、嫌じゃないけど……」


 俺はここでそう言ってしまった。


 実際に神宮寺と付き合うのは嫌なわけじゃなかった。神宮寺とはもう友人以上になっていると、心のどこかでは理解してたのだ。


 神宮寺だってもう友人以上だと俺のことを思っているのは明白であり、それを無理やり断るのは神宮寺にとっても悪い気がしたのである。


「ならさ、付き合ってみない? 試しにさ?」


 そして、神宮寺はついにそう提案。


「……おう。付き合ってみようぜ! 一応な!」


 俺もついに神宮寺にそう言った。


「よーし。ここにカップル誕生だな。早速ダブルデートの日程とか決めようぜ」


「週末にしよう、週末!」


 早乙女と柊さんはそう言ってはしゃぎ始める。


 そんな中で────。


「神宮寺」


「何だい、きさちゃん?」


「これからよろしくな」


「もちろんだぜ~」


 俺と神宮寺は静かにそう言葉を交わしたのだった。


 そのときの神宮寺の笑みは本当に女の子のそれであった。


……………………

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