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雨子の部屋っ!

 降霊洞穴を探検中っ!

 『源』で長にブチギれられた3人は、とりあえず洞穴の上のほうに戻ってきた!

 洞穴の中の、広い平地の場所に戻ってきた。


「さぁ……、もっと探検しようかっ!」

「ごめん、私、ちょっと戻ってくる」


 歌子は慌ててその場を離れていった。 さすがにこれ以上は遊んでいられないと思ったのだろう。 走っていく後ろ姿を見て、小春は口をとがらせる。


「ちぇー、つまんないの。 ……そうだ、雨子、あんたの昔の部屋って、どこよ」

「あぁ、向こうだよ」


 雨子は50年前に、ここで修行をしている巫女だった。 社会がまさに発達し始めた頃であり、ワクワクする空気感の中でたくさんの巫女が、ここで修行をしていたと聞く。 修行中は、どんな生活をしてたんだろう……?


 平地から外へと繋がる階段を、2人は逆戻りして上っていく。 階段の横には、『くぼみ』のように作られた小さな部屋が並んでいた。 部屋はどれも大きくはなく、せいぜい数人が入れる程度の大きさだ。 入り口には、木の板を組み合わせたような簡単な扉がついている。

 小さな部屋の中には、真ん中に机みたいなものが置かれていて、紙などが散乱していた。 もう使われてないようだ、どれもひどく古びている。 技術の発展により、巫女たちはここで修行する必要がなくなったから、数十年間放置されているんだろう。


 階段を上っていくと、雨子が振り返った。 階段全体の真ん中ぐらいで立ち止まって、ここと言って、一つの部屋を指す。

 その部屋は、特に紙が多く散らかっていた。 部屋の中央にある机の上にも、紙が積まれてある。


「へー。 ……え、ここで生活してたってこと?」

「うん、そう。 修行中はね」


 入り口の扉は少し開いていて、隙間が空いていた。 小春は扉が体に当たらないように器用に避けていき、するりと部屋の中へと滑り込んだ。

 中に入って部屋を見回すと、暗い場所だった。 明かりが部屋の中に無いからか、余計にそう感じる。

 部屋の中央には、岩で作られた低い机みたいなものがあった。 上には紙束が乱雑に散らばっていて、学習机のように使っていたみたいだ。

 小春は地面にどさっと腰を下ろすと、手を机の上に置いていった。 ふうと息を吐いて、辺りを見回してみる。

 ……この場所は部屋というけど、よく見ると、閉じ込められているようにも見える。 さっきから思ってたけど……。


「……なんか、牢獄みたいね、ここ」

「うーん、確かにw」


 机のそばに立つ雨子は、部屋を改めて見回しながら笑った。


「修行って、どれぐらいすんの?」

「うーん、ある程度の期間、こもることもあったし……降霊術をするときにも、ここにしばらく住んで、体を慣らしたりとか」


 修行中のことを思い出す。 他にも巫女たちが修行をしてて、ここに一緒に住んでいたのだ。 明かりがたくさんついてて、賑やかだったなあ……。

 服を自分好みに改造して、ついでに部屋も改造して。 みんなでご飯を食べたり、夜に一つの部屋に集まって話したりとか……。

 ……え? 遊んでばっかって? でも、そんなもんだったなwww


「……ん? でも、巫女さんって、普通に外で生活してない? ……巫女さんみたいな服を着た人、街中で見かけるよ」

「あぁ、今はね。 昔は、ここで降霊する必要があったんだよ。 源に近いほど、霊力が強くなるから」


 小春はふうんと、納得したように頷いた。 辺りをぼんやりと眺めていると、ふと手元の物に目がとまる。 机の上には、めくれたまま固まっている紙束があった。


「へー。 ……あれ、これ、日記?」

「え? どれ?」


 雨子が身をかがめてくるのを待たずに、ウキウキしたように小春は読み上げようとする。


「えーなになに? ……あー、読んで」


 でも、文字を読むのが面倒だったようだ、すぐに読むのをやめて投げてくる。 雨子は紙束の中身を覗き込んでいった。


「えーっと……『今日は、ヤミコちゃんとご飯を食べたよ。 森の高台で、おにぎり食べて、気持ち良かったー』……だってw」


 読みながら、昔の記憶がよみがえってくる。 ヤミコちゃんが野山を駆け回っていたとき、たまに会ったんだよな。 街でおにぎり作って、持って行ったりして。

 目の前に一面に森が広がってて、風が気持ち良くって……。 可愛い形のおにぎりを作って、2人でモグモグ食べたっけ。 昨日のことみたいに思い出すなー……。 私ももう、おばさんかもww ははっwww

 横では、小春も目を閉じて想像しているようだ。 昔の様子を感じているのか、小さく笑みを浮かべている。


「なんか、楽しそうねw ……ん?」


 部屋の外で、バタバタと音がした。 階段を下りていく人たちがいるようだ、なんだか忙しそうな雰囲気だ。


「私たちも、戻ろっか」

「そうね、何か手伝いましょ。 ……はー、満足っ!」


 降霊洞穴もどんな感じになってるか見たし、雨子の日記も読んだし! 変な状況だけど、いい気晴らしになったっ!

 小春は笑顔で、気持ちよさそうに腕を伸ばした。

 あー! 俺も降霊洞穴行きてぇなーっっっ!!! (ミツバ)

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