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チャラい系女子、ナツミ、爆誕っ☆!!

 山の中。 ミツエダは、昔の冒険隊仲間と再会した!

 いっぽうスズネは朝から引き続き、新たな幽霊を捜索そうさくしていたようだ。

 スズネのいるところには、新たに降霊された人たちが、他にもいた。 スズネ以外はみんな新しい人たちのようだ。 スズネはここで名前を聞いたり、出身の時代を聞いたりなどの処理をやっていたらしい。


 スズネは今は、軍の人が火を起こすのをそばで眺めていた。 軍の人は火起こしセットを持ち歩いているらしく、道具を使って器用に火を起こしている。


 火を起こしているそばでは、新しく降霊された人たちが、なにやらお互いに話し合っているようだった。 口調からして知り合い同士のようだ、何かを言い合っている。


「いいから、名前言って」

「だから、知ってるでしょw なんで、言わなきゃいけないの」


 どうやら口論しているようだ。 2人の女の子が、問答もんどうをしている。 友達だろうか、けっこう親しいように見える。

 名前の確認でもやっているようだが、わざと自分の名前を言わずに困らせているみたいだ。


「言えば終わる話だろ、お前! なんで、言わねえんだよw」


 そこへ、その場にいた男の子が入ってきた。 はつらつとした体の大きい男の子で、声がやたらとデカい。 親しみをにじませるような口調で、ツッコミを入れるように会話に入ってくる。 話しぶりからして、この男の子も友達なんだろう。


 そんな友達っぽい3人のごちゃごちゃした会話に、その場の最後の一人が入ってきた。


「おい、お前。 大変な状況らしいんだから、ちょっとはものを聞かんか」


 こっちは、知り合いではないようだ。 大人びた青年が、古風な言い方で3人の会話に入っていく。

 むすっとしていたチャラい感じの女の子は、逆ギレするように悪態をついた。


「誰、あんた。 古臭い恰好かっこうした、おっさんじゃん。 ここ、未来なんでしょ?」


 そう言いながら辺りを見回す。 初対面だろうに、結構な物言いをする女の子だ。

 身勝手なふるまいにいい加減に我慢できなくなったのか、友達の男の子は声を荒らげた。


「だからぁ、お前、言えば終わるじゃねえか!」


 押し問答していた、対照的に大人しい感じの女の子も、疲れたように言う。


「もう……、いいから、ナツミにかける時間、多分無いんだよ」

「ほら、ナツミって、知ってんじゃん」


 チャラい感じの女の子は、どうやらナツミというらしい。 思わず言っちゃった名前に反応して、得意げな顔で笑った。

 大人しい感じの女の子は、面倒くさそうに脱力していき、慣れたようにあしらっていく。


「あぁ……。 もういいや、はいはい。 ……あ、終わりましたよ」


 そういって、近くにいたスズネに話しかけていく。 背中を見せて街のほうを見ていたスズネは、いま気づきました、みたいな感じで振り返った。 あまり関わりたくなかったらしい。

 スズネはさわやかな顔で報告を受けながら、内心は別のことを考えて心臓がバクバクしていた。

 ……いや、そうなんだよ。 あんまりこの人たちと関わりたくなくてさ。 ちょっと事情があって……。

 ……あ! チャラい感じのナツミって子が、今度はこっちに来るっ! 興味があるような顔して、こっちを見てるし……。 ヤバいよ、誰か助けてっっ!!

 そう思っていると、ナツミが足取り軽く近づいてきて、話しかけてくる。


「ねえ、君なんか、隠してない?」


 ドキッ! スズネの心臓の音が、一回なった。

 ……やべえ、バレちまうかも。 私がこの人たちと、同じ時代に生きてたってこと。

 そうなんだよ、この人たちも、生きてたの200年前らしいんだよww 住んでた場所は知らないけど、もし私の近くだったらどうしよう。

 バクバクと心臓の鼓動が早くなっていると、目の前のナツミが続ける。


「未来でしょ? ここ。 なに、幽世かくりよって。 なんで、隠すの?」

「……え、いや……w」


 あぁ、そっちのことか。 ふーぅ、助かったぜ……。 ……え、でもそんなこと言われても困る。 だってそれ言ったの、私じゃないし……あれ、私だったっけ?

 しどろもどろになって、スズネが何とかやり過ごそうとするが、ナツミはしっかりとした目で見つめてくる。


「おかしいでしょ。 だってなんで、生きてる人いるの?」


 そばで火を起こしていた、軍の人を指さす。 もう火はついて、めらめらと燃えていた。 軍の人は涼しげな顔をして街のほうを眺めているけど、この場で一人だけ生身なまみで、確かにめっちゃ浮いている。

 スズネは思わず笑いそうになるのをこらえながら、必死に言い訳を考えた。 ……えーっと、ここは幽世だけど、たまに生きてる人が間違ってやって来て……あれ、間違えて幽世ってどういう状況だよww ははっww


 そんな様子を見かねたのか、大人しそうな女の子が口をはさんでくる。


「……ほら、もういいじゃん。 なんか、事情があるんだよ」

「なに、事情って。 ……あ、ソラさがそ。 ソラーっ!」


 飽きたのか、今度は辺りに向かって、人の名前を呼び始める。 フリーダム過ぎる気がするが、こういう性格なんだろう。


 ……ソラ?

 ソラといえば、最近憶え屋に出入りしている女の子もそんな名前だった。 200年前ににえになった、海に飛び降りた女の子……。 スズネと同じ時代でもあることだし、もしかして友達なんだろうか?


 しかしスズネは、そんなことには気づいてないようだ。 額からダラダラ出てくる汗をぬぐいまくっている。 自分が同じ時代だとバレなくて、心底ほっとしたような顔だ。

 ……ふぅ! あぶねえっ!ww 冷や汗が出るぜっwwww ……自分と同じ時代の人となんて、話したくもねえ。

 もし私が自殺した女の子だってバレたら、どうなることやら。 あれこれ質問されて、理由を聞かれたり……『なんで自殺したの?』『どんな感じで死んだの?』とかさ。 ……そんなん知るかよっ!! フゥゥーーッッ!!www

 ……え? 自意識過剰って? いやー、そんなことないよ、絶対。 あぁ、バレなくて、よかったっっ!! ははっ!!ww あーっ、空気がおいしいっ!!w


 はははとスズネは軽やかに笑っていると、今度は大陸出身のヨウが近づいてきた。 ミツエダを含め、こっちのグループに合流してきたようだ。 近づいて話しかけてくる。


「これ、何やってんの?」


 足元で、ぼうぼうと燃えている火を見つめて聞いてくる。 あぁ、のろし通信のことか。 スズネは街のほうへ向きながら、説明した。


「こうやって、遠くとやり取りするんです。 えーっと……『あ・た・ら・し・い・ひ・と・の・か・く・に・ん・も・と・む』……」


 スズネは腕を使って、形を作り、文字を表しながら通信していく。

 ……へへん、じつは未来研究所に行った後、復習しておいたんだぜ。 しっかり憶えておいたけど、こんな時に役立つなんてな!w やったっ!ww


「あぁ! なるほど」


 それを見て、ヨウは納得したように頷いた。 50年前には無かっただろ? うちのユメが発明したんだぜ! 現代サイコーっ!!www フゥゥっっ!! 楽しーっ!!www



 その後ろでは、チャラい感じのナツミが、こんどは別の人に絡んでいた。 冒険隊コンビの片割れのススキだ。

 初対面だろうに、ナツミはフレンドリーに話しかけていきながら、抜群のコミュ力を発揮していく。


「ねえ君、ソラって子、見なかった? 200年前?……の人なんだけど。 髪飾りつけてて、肌が白くて、……なんか、あんな感じの大陸っぽい……感じじゃないんだけど、あ、あそこの女の子みたいな感じ……ともいえるんだけど、なんか違ってて……」


 もうよく分からない感じになりながら、ソラの見た目を頑張って表現していく。 そんなに意味不明な見た目なんだろうか?

 頑張って理解しようと、眉をひそめて考えていたススキだったが、当然のように首を振った。


「いや、見てないけど」

「なあ、新しく降霊された人は、歴史所行ってくれん?」


 2人の会話に、ミツエダが割って入ってくる。

 ヤバい人かどうかの確認は、のろし通信を使うから、この場ですぐに終わる。

 でも新しく降霊された人たちは、他にも住民登録なども、歴史所でやる必要があるんよ。 めんどいけど、しょうがないなあ……私が決めたんやないで。

 そんなことを考えていると、『歴史所』という言葉を聞いたススキが、顔を輝かせた。


「あっ! 歴史所、どうなった?! もう、だいぶ出来てんのかっ!」


 なんでそんなに嬉しそうなん? もしかして、歴史所が完成する前に死んだんかな。 50年前の歴史所かー……今は立派やけど、最初はぺらぺらな、うっすい小屋みたいな感じやったんかな。 おぉ……それはそれでワクワクするな。


 ミツエダがフハハと笑っていると、聞きなれない歴史所とかいう場所に行きたくないのか、ナツミが不服そうに聞き返してきた。


「え、なんで?」

「一応、住民登録とかも、やらなきゃいかんみたいで……」

「いいじゃん、そんなこと、後でも! なんか、混乱してるんでしょ? いま。 私たちも、手伝うよ」


 友達の意見も聞いていないのに、ナツミはどや顔で代表面をしている。


 ……まあ確かに、いま歴史所に行っても、どうせ人が多くてかなり長い間待たんといかんかもなぁ。

 でもなー、私の一存で決めることでもないしなーーー……。 そんな臨時の決断して、後で責任取らんといかんくなっても、めんどいしなwwww


「あー、うーん……。 あ、そうだ、なんか私の口座に入ってない?」


 えーっと、私の口座、私の口座……。

 ……憶え屋の口座の中で、普段の仕事仲間と、お互いの安全確認とかしとったんよ。 憶え屋ってこんな風にも使えるんやなー、おもろいわ。


 燃えている火へと近づいていくと、スズネが腕を振って通信を続けていた。


「え? あぁちょっと、待ってください。 今、私たちの口座に入ってて……。 これ、ホナミの書き置き? ……『か・わ・の・み・ず・が・き・も・ち・い・い』……あ、いや、『ち・が・う』……」


「ねえ、どうすんの? もう行くよ?」


 カオスになっていく状況で、ナツミがまた勝手なことを言いだす。 近くにいた大人しい女の子は、慌てて引き留めようとして手を伸ばした。


「ちょっと、ナツミ!」


 腕をつかもうとするが、幽霊の手は雲をつかむようにすり抜けていき、宙を切った。 ナツミはスタスタと、一人でどこかへ歩いていく。

 大人しい女の子は、ようやく自分が幽霊になったのだと実感したようだ。 生の体が無いと、腕をつかんで無理やり引き留めることは出来ない。 幽霊は、言葉で説得するしかないのだ。


「あっ! ……うわ、めんどくさっ。 ナツミーっ! もう、いい加減にしてよっ!」


 そう叫びながら、後を追っていく。


 冒険隊コンビの、ススキとヨウも動きだしていた。 辺りを見ながら、こちらも勝手に行動しだしている。


「じゃあ俺らも、探すか。 一応、60歳のヤミコも」


 あーもうっ! こいつら、自分の好き勝手に行動しやがってっ!! ミツエダは、イラつきながらも頭をフル回転させ、判断を下していく。


「まあ、お前らはいいよ。 私が、後で言っとくから」


 50年前のヤミコは、めちゃくちゃ隠れるのが上手かったんよ。 村の総出で探しても、見つからなかったりしてな。 やけど、今の60歳ヤミコが今回のこれをやったんなら、この2人でも十分やろ。 知らんけど。


 火のもとで通信していたスズネが、振り返った。


「なんか、海のほうが、人手が足りないみたいですよ。 ミツエダさんの部屋に、誰かからの書置きがあったんですけど」


 遠くを見て哀愁あいしゅうに浸っていたミツエダは振り返り、現実に戻る。 疲れたようにため息をついて答えた。


「あぁ、そうなんや。 ……じゃ、そっち行ってみるか」

 ちょっと! 大発見よ! 大発見っっ!!!(小春) みんなー! 私のこと、憶えてねー☆(ナツミ) ……ちょっと、誰よこれ! わたし知らないわよっ!

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