92/火
※お食事中の方は大変危険ですのでご注意ください。
このタグを付けようか迷ったけど、そろそろこのネタ卒業する頃合いだと思うので、ここで終止符を!
なお、これまでで一番、目に分かりやすいチートが出てきますが、目で判別できないその他の方が…
色々と事細かに目を通して昨日はタイムオーバー。
まあ、妖精達と約束していた混沌鯰を釣りあげたりと他のこともしたので、源泉ばかりに時間を使っていたわけではないのだが。
混沌鯰戦では、キャラレベルもスキル熟練度もピクリともしないので、悔しくて聖域で釣りレベリングという奇行に走ったおかげで、うっかり【釣り】LV.18に。
せっかく魔力操作が追いつけそうだったのに、他のスキルが追い越す日は果たしていつになるのか…。
ちなみになんだが、空間妖精のワープゲートは、精霊界から人間界に赴く際、どこでも無制限に移動できるわけではない。今のところ、フェアリーズの故郷であるプリムス大森林の聖域だけなのだ。
まあ、当然っちゃ当然なんだが、異界を行き来するのに制限があって、精霊界に来るためには源泉の支配という裏技が必要なのに、人間界に戻るときだけ無制限に転移出来る方がおかしいよな。
聖域を対象に転移できるのは、俺というより、フェアリーズの故郷ってのが要因なのだと思われる。
閑話休題。
ということで、一日一回のワープゲートは聖域から精霊宮殿に戻ってくるのに使ってしまったので、今日は精霊界でのプレイ確定です!
元々そのつもりだったので問題はないんだが。
「うーむ。源泉機能で遊ぶことは決めてるけど、何からやろう…」
逆に弄れない、というか今は弄る必要のない機能もある。
昨日は「目指せ、不沈の砦!」なんて宣ったが、防衛拡張なんて際たるもので、フェアリーズのおかげで宿場町になったこともあり種類は追加されているのだが、[木の柵]が[木の外壁]になる程度で、精霊宮殿の周りを囲む精霊結晶の外壁のさらに外側にそんなものがあったところで、焼け石に水だ。
そういう意味では、施設拡張も同じで、何か特殊効果があるような施設は少ない。逆に言えば、特殊効果のない施設はなかなか種類が豊富だったりするのだが。
ただ、施設拡張は所属者の種族・職業・スキルを条件に主に追加されていくので、聖霊王の面目躍如というか、最高スペックの施設もあるのだが、最初からそこに手を付けるのはちょっと気が引けるので、まずは別の何かで試したいところである。
ただ、ディーネ達は基本的に生産スキルを持ってないらしいので、種類によっては低スペック施設しかない項目もあった。鉱山、採取庭園、泉などの第一次産業的施設は怖いほどに最高スペックなので、これは後で試してみようとは思っているが。
やはり、最初に試すのは守護獣育成だろうか。
目に見えて変化があって、需要もあり、RP的にもお手頃なのは、守護獣育成がベストな気がする。
お手頃といっても、スキル取得させるのにはなかなかなお値段を要求されるけどな。
聖霊王特典施設があるということは、その間のスペック施設も建てられるので、そっちを試してもいいのだが…。最高スペックを目の前にぶら下げられて、RPも有り余ってるのにわざわざそれで試すのは、試し終われば無駄施設爆誕だからな。
ということで、守護獣育成に決定です!
「まずは、召喚からか。テイムモンスなんていないし、フェアリーズを守護獣にしてしまったらどうなるのか分からないし、潔くランダムでぇ?」
守護獣の選択画面に知らない種族。
フレスヴェルグ?
妖精達の大行進の下には、確かにフレスヴェルグの七文字。ML内で聞いたことはないが、思い当たる節はある。
何故選択できるのかは知らないが、十中八九あのクソ野郎だろう。
「ランダムでゴブリンなんか来られても困るし、せっかくだしこっちにしとくか…?」
いや、でもトラウマが…。
しかし、俺だから選択可能になった可能性は高いし、他のプレイヤーじゃ不可能な選択肢かもしれない…。
冒険しちゃうか?
いや、でも…
「ええい、ままよ!」
迷いを振り切るように素早くフレスヴェルグを選択する。
あまり長いこと悩んでいると、ドツボにハマってまた明日…と延期に延期を重ねてなかなか進まない事態に陥ること請け合いだ!
光が集まり、徐々に俺の予想通りの形を成していくーー。
2メートルほどの雛鳥。
「クァェェエッ!!」
「やっぱりお前か!バカ鳥!くっ、離せ禿げるだろ!」
召喚されて早々に、何に興奮してるのか俺の大事な髪を啄むバカ鳥。
随分久しぶりに感じるが、コイツにトラウマを植え付けられたのはリリース初日だからな。そこそこ長い時間が経っているので、久しいのは事実だろう。別に会いたくはなかったが。
しかし、やっぱりコイツか。
フレスヴェルグ。
北欧神話における、世界のあらゆる風をおこすと言われている鷲の姿をした巨人だ。
なんでそんなことを知っているのかと言われれば、現実世界で調べたからだ。事あるごとに世界樹について匂わせられた身としては、調べない方がおかしい。
この世界でもフレスヴェルグが全く同じ存在だとは思わないが、神話の鳥と神鳥と関連性はあるし、全くの別物というわけでもないだろう。
〈種族名〔フレスヴェルグ〕を【源泉:精霊宮殿】の守護獣に登録しました〉
〈称号【世界樹の種】を獲得しました〉
遂に隠さなくなったな!
えっとなになに?
称号【世界樹の種】。
植物育成の成長速度補正(極大)、採取で最高品質、全魔法属性補正(大)、全魔法属性耐性。
家庭菜園なんてするつもりなかったんだが…。
もう属性なんちゃらは、属性相性とか、属性値とかよく分からないので放置です!デメリットじゃないなら何でもいい!
それに、今はそんなことよりも守護獣育成だよな!
「お前、名前無いのか?」
「クェェ」
うん、分からん。【鳥語理解】スキルとか無いだろうか?
「種族名で呼ぶのは違和感あるし、名前決めるか」
「クェ!」
クエと鳴くたびに殴りたくなるナニカ。あの瞬間の複雑怪奇な情動が呼び起こされそうになるので、もう少し別の鳴き声を模索してほしいところ。
カラスにホーホケキョと鳴けと言っているくらいの無理難題なのは理解しているが、世の中には自分の他とは違う体色を活かして巨大魚の目玉に擬態するような猛者もいるらしいので、俺の精神安定のために頑張ってほしい!
鳴き声だって個性だと思います!
「うーん…。俺的にはバカ鳥でも、アホ鳥でも良いけど…」
「ダメだよそんなの!可哀想じゃん!」
「来てたのか」
「溜まり場から見えっからな。おかしな事してたら一目瞭然だぜ」
「守護獣召喚したんだな!オイラが名付けしてやろうか!?」
是非お願いしたいところだが、羽ばたきだけで浮遊していたシルフを吹き飛ばしてしまった。もしかしなくても、抗議の一環なのだろう。
「シルフを吹き飛ばす風ですか…」
「見たことのない種族ですわ。何という種族名ですの?」
「フレスヴェルグだ」
「世界樹に、住まう、神鳥と同じ、名前」
う◯こにしてやろうかとも思ったが、あまりにもあんまりなので、ちゃんと考えよう。ディーネにまた怒られそうだし…。
「ヒンメル、とかどうだ?空って意味なんだが」
コイツとの思い出でう◯こ以外で印象的だったのは、天を貫く巨木の他には、空の大冒険しかない。まあ、実情は足に引っ掛けられて連れ去られただけなんだが。
ちなみに、ヒンメルはhimmelで読みはドイツ語だ。北欧神話で語られる古ノルド語だとヒーミンらしいのだが、ヒンメルの方がしっくりきたのでそっちにしてみた。
何故そんなことをって?外部検索かけましたがなにか?
「クァ!」
〈守護獣〔フレスヴェルグ〕は個体名【ヒンメル】と名付けられました〉
〈称号【名を刻む者】を獲得しました〉
効果は名付けした個体の好感度が上がりやすくなるらしい。
これはフェアリーズも…無理だな、うん。あの数はちょっと不可能です!
「よろしくね、ヒンメルちゃん!」
「クェエ!」
「ちゃん?メスなのかこいつ?」
「そうだよ、声で分かるじゃん!」
いや、俺には鳥の声で判別なんて無理です。
まあ、性別なんてどっちでもいいか。
精霊も実際には性別があるわけではなく、そういう外見なだけみたいだし、神鳥とか言われてる種族だから、単為生殖ですよ〜と言われても驚かない。
ステータス確認できるようなので、取り敢えず確認!
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個体名【ヒンメル】 LV.15
種族:フレスヴェルグ
HP:7500/7500
MP:7500/7500
STR:537
VIT:569
INT:1203
MND:726
DEX:270
LUC:405
〔スキル〕
・武術スキル
【嘴撃】LV.25 【爪撃】LV.18
【翼撃】LV.13 【囀り】LV.5
【捕獲】LV.20
・魔術スキル
〈魔術〉
【天魔法】LV.30 【空間魔法】LV.15
〈その他〉
【纏属】LV.27
・補助スキル
〈感知・遮断〉
【敵意探知】LV.21 【危機回避】LV.11
〈エネルギー補助〉
【生命力感知】LV.17 【魔力感知】LV.13
【生命力操作】LV.15 【魔力操作】LV.20
〈飛翔補助〉
【羽休め】LV.12 【飛翔睡眠】LV.3
【滑空】LV.5 【帆翔】LV.6
【急降下】LV.13 【空中制御】LV.15
【高速飛行】LV.21 【長距離飛行】LV.26
〈戦闘補助〉
【奇襲】LV.16 【回避】LV.15
〈探索〉
【千里眼】LV.10 【鷹の目】LV.23
【暗視】LV.18
〈その他〉
【念話】LV.5
・耐性スキル
【物理耐性】LV.15 【魔法耐性】LV.22
【風無効】
〔ユニークスキル〕
【飛翔】 【遍く風】 【死者の揺籠】 【死の吐息】
【界渡りの鳥】 【神鳥】 【限界突破】
〔守護獣スキル〕
〔控え〕
称号
【地形を利用する者】 【地形を破壊する者】
【烈風の魔術士】
【世界樹の守護者】 【次代の管理者】
【万物の到達点】 【見定める者】
【精霊宮殿の守護獣】
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バグかな?
見やすいように整理してしまったくらいには、スキルが多過ぎる!それ以前にステータスがバグってる!
これでLV.15って調整ミスってますよ、運営さん!プレイヤーは何年頑張ればこの頂に辿り着けますか?
ま、まあ、敵じゃないのなら問題はないよな、うん。
何が一番怖いって、コレに追いついて引っ叩いていた師匠がこの世で一番怖いです!
「ヒンメルが守護獣なら精霊宮殿も安泰だな、こりゃ」
プレイヤーが攻めてきたところで、身じろぎひとつで追い払ってしまいそうだ。
「クゥェエ!クェ、クェエ!」
「おう、おやつか?」
「欲しいスキルがあるってさ!」
「シルフ、ヒンメルの言ってること分かるのか?」
俺にはさっぱりなんだが。
「お互いに念話スキルを持っている場合、共通言語がなくとも意思疎通が可能なんですよ」
「念話ってそんな便利スキルだったのか。やっぱ、俺も取得した方が良さそうだな」
「それもいいけど、ヒンメルちゃんが欲しいスキル取得してあげれば解決すると思うよ」
「何が欲しいんだ?」
RPはたんまりとある。
欲しいスキルはおじさんなんでも買ってあげちゃうぞ〜!
自分でも寒気がするくらいキモかったから今のは無しで…。
冗談はさておき。
RPで取得できるスキルは、主に守護獣スキルと種別されるスキル群だが、それ以外にも一部の一般スキルも取得できるようだ。
武術系・魔術系・生産系などは軒並み不可だが、ヒンメルが取得可能な補助スキルはいけるみたいだ。
その中からヒンメルが選んだのは【人化】スキル。
変化系スキルの一種なのだろうが、効果は人間の形を取れるだけで、その他一切の効果が無いどころか、一部のスキルが使えなくなるというデメリットだけを抱えているくせに、消費RPは驚愕の50万RP!
うん、これが一般に多いのか少ないのかすら分かりません。一般スキルは一律50万RPみたいだし、比較対象が無くてですね。
取得後すぐに光に包まれるヒンメル。
現れたのは果たしてーー。
「レンテ〜!会いたかったんだよ〜!」
若草色の長髪の美少女だった。
こう言葉で表現できないような、少し複雑な気分がですね。いや、男よりも女の子でいてくれた方が精神的にも良くはあったは確かだが…。
いや、これ以上考えるのはよくない。この思考は大変危険です!
「お、おう」
まさか人化するなんて思ってなかったし、取得してこの姿を見るまでは欠片も想定してなかったが、それでも俺は会いたくなかった!
よく考えれば、親鳥が人化したんだから、雛鳥だってしておかしくないのにな…。
いや、だってこんな美少女に、よくもう◯こ食べさせてくれたなこの野郎!とは言えないじゃん?他人の目があってもなくても、ただの変態じゃん?
トラウマがトラウマなのかに疑問を持ってしまった自分にトラウマ中だよ!
精神がガリガリ削られていく幻聴がですね…。
「なんであの時、お母様とリンダのところに置き去りにしたんだよぉ!?お母様にもリンダにも、鬼か悪魔みたいに怒られたんだよ〜…」
「そんなこと言われても、自業自得じゃんか…」
「こんな可愛い子をリンダのところに一人置き去りにするなんて酷いよ!」
「流石に俺様でもドン引きだぜ…」
「鬼畜だな、レンテ!」
「怖かったでしょうに、よく耐え抜きましたね…」
俺の味方が一人もいない件について。
あの件に関しては俺にはひとつも落ち度はないはずなのに!何故なんだ!
「ルクシア〜、みんなが虐めるよ〜」
「気持ち悪いですわ!」
ネコ型ロボットに助けを求めるかの如く、ルクシアに泣きついてみたらすげなくあしらわれてしまった。
「テネブ!本当に俺は何もしてないんだよ!」
「そ、そうなん、だ…。ぼくは、みんな仲良く、して欲しい、な」
くっ、ことなかれ主義め!
「この話は終わりだ終わり!これ以上問答しても嫌なこと思い出すだけだし…」
危ない扉を開きそうで危険が危ない!
ヒンメルのステータス・スキルはちょっと弄るかも…と思いつつ、忘れてそのまま進みそうな予感




