85/日
※久しぶりの他視点、ちょい短めです
今話に出てくる『第三フィールド相当の敵』というワードですが、プレイヤーはその強さとレベルに応じて、
プリムス周辺のようにLV.1〜10のモンスターが多いフィールドを『第一フィールド』
グレディ周辺のようにLV.11〜20のモンスターが多いフィールドを『第二フィールド』
LV.21〜30『第三フィールド』
LV.31〜40『第四フィールド』
と呼称しています。
例として挙げると、ドルクスの断崖はLV.40以上が蔓延っているので第五フィールドということですね
ただ、プレイヤーが自分達にわかりやすいように勝手に呼称しているだけなので、第一フィールドにLV.100のモンスターが居ることもあったりなかったり…。
「今だ!」
「弓隊、放てぇ!」
横一列に並ぶ弓士達から一斉に矢が放たれる。まるで旧時代の戦争の追体験のようだが、矢が纏う武技の光がここがファンタジーVRの世界だってぇことを思い出させる。
「魔術隊、放てぇ!」
レギオンレイドってぇのは初だが、なかなかに壮観な光景だな。多種多様な無数の魔術が視界を埋め尽くすのは、普通の戦闘じゃ観られねぇ景色だ。
弓と魔術は基本的に反発しあう。FFアリのゲームなのだから当たり前だがな。だから、射程の長い弓は出来るだけ魔術の届かない後方を狙うことで、無意味な干渉を避けている。一部の射程が短い弓の出番はもう少し後だ。
「マスター!盾隊、接敵間近です!」
「発動しろ!」
「神官隊!盾隊へバフ開始!」
「「「集団範囲付与魔術『堅牢なる心』!!」」」
「盾隊、構え!」
「「「集団防御武技『不動要塞』!!」」」
「歩兵隊!各々範囲武技を!盾隊には絶対当てるなよ!」
射程の短い弓士は歩兵隊配属だ。
MLはゲームとはいえ、割と現実準拠な側面が多いが、大規模集団戦ともなると、FFアリは大分面倒だな…。
まだ散発的だが、既に後方の魔術隊が盾隊の背中にブチ当てている。これから乱戦になれば今以上に多発すると考えれば、前衛にとっての敵はモンスターだけじゃねぇってことだ。
俺達方面に配置されたプレイヤーは、その殆どが風の盟約関連のクランだから、身内でのいざこざな分処理しやすいが、他方面はちと面倒なことになっかもな。
特に東が一番厄介かもしれねぇ。
指揮がセシリアとはいえ、内訳はソロと中小クラン。レイドとはいえ、全てのプレイヤーが作戦を周知しているわけでもなければ、知っている上で無視して独断専行する奴は他方面より多いはずだ。
それ自体は各々の自由なんだが、勝手に突っ込んで勝手に死ぬ阿呆ほど声がでけぇのが困るところだな。
まあ、東には不完全燃焼の東郷含め、時計仕掛けの連中がいることだし、最悪にはなんねぇだろうが。問題が表面化する前にレイドが終わっちまうこともありそうだ。
「盾隊!HPが半分を割る前に交代を徹底!」
「神官隊は最大まで回復するより、満遍なく全体回復を優先だ!」
「遊撃隊そろそろ準備!」
うちの担当が北、セシリア率いるソロ・生産・中小クラン連合が東、【高潔なる騎士団】のマルシェ率いる攻略組連合が西、【万魔殿】のミルトン率いるテイマーと攻略組以外の大規模クランが南。
その他、俺達には従いたくねぇって奴らが各方面にいるが、集団戦で自分勝手に振る舞うような奴にまで気を遣っている余裕はねぇからな。遠慮なく巻き込んでしまうしかねぇ。
それが嫌なら北が一番自由に行動出来るし、ちゃんと声掛け誘導も行なっている。その上で文句を言ってくるような奴ぁ、文句を言いたいだけの愚図だ、放っておけ。
「そろそろ弓隊と魔術隊に休息を取らせろ!その間に遊撃隊で横合いから分断!孤立したホーンラビットを挟撃して殲滅後、前衛各隊は交互に休息を取ったのち、陣を押し上げる!」
「弓隊、打ち方やめ!小休止に入る!」
「魔術隊、打ち方やめ!小休止です!」
「遊撃隊より伝来!敵側面より分断を開始するとのことです!」
しばらくはこれを繰り返すだけだな。
雑魚が弱い今は通じているが、どこまで戦線を維持出来るか…。全体的に準備時間が短過ぎたのは痛いが、この背後に聳える非常識な壁のお陰で町の防御を気にする必要がないのはありがてぇ。
だが、レンテの野郎、こんなことが出来るってんなら教えといて欲しかったぜ。こんな初期モンスターじゃビクともしない壁があれば、プレイヤー側ももう少し準備に時間を割けただろうに。
いや、一人のプレイヤーにおんぶに抱っこはちげぇか。何より格好悪過ぎるしな!
流石に疲労の色が濃くなってきてやがるな。
戦闘開始から三時間、敵モンスターのほとんどは最下級だから一撃で屠れているが、チラホラ混じっている上位種と思われるモンスターが、ときおり前衛を突破しそうになる局面が出てきている。
さらに前線を押し上げることで、角ウサギと上位種の比率が、最初は圧倒的に角ウサギが多かったのだが、今となっては〔ツウィストホーンラビット〕や〔チャージラビット〕など、上位種の方が多くなっている始末。
だが上位種とはいえ、強さで言えば第三フィールド相当止まり、うちの中核メンバーの相手にしちゃあ弱過ぎるくらいだ。末端メンバーでさえ、一撃では倒せずとも負けることはない。初心者は中級者以上の護衛が付くように編成してあるのも効果があったようだ。
しかし、それもそろそろ終わりだな。
「マスター!中ボスと思われる大型モンスターのネーム確認出来ました!〔殺人兎の四ツ子王子〕LV.42、各方面にも同名モンスターが確認されているそうです!」
「中ボスといったところか…。レイドボスはどこにも見つかってねぇのか?」
「はっ!北以外でも未だ姿を見せていないようです!」
コイツらを全部片付けたら現れるってぇところか。
「取り巻きは?」
「一番数の多い〔殺人兎の騎士〕がLV.32、数は少ないですが厄介そうな〔殺人兎の魔術士〕〔殺人兎の回復術士〕がLV.32、王子の護衛と思われる〔殺人兎の近衛騎士〕がLV.37です!」
「予定通りに編成を第二案に移行しろ!総指揮はゼクレテーアに任せて、俺は前線の指揮を執る!」
編成第二案は、主にボスクラスのモンスターや、初心者では対応が難しいモンスターが出てきたときの編成だ。今まで職業・スキル毎に別れていた隊列を、1st・2nd・3rdをボスに、それ以外を取り巻きやその他に当てる。
初心者プレイヤーには下がってもらうことになるが、サポートしていて足元を救われちゃ世話ねぇからな。
「おう、ヴァング!後ろで指示出しばかりで身体鈍ってないだろうな?」
「冗談抜かせ!クエスト始まる前から心だけが逸って、抑えるのに必死だったわ!」
「まあまあ、野蛮ですこと。あまり前をウロチョロされるとついでに燃やし尽くしてしまうかもしれませんよ?」
「一度も直撃したことねぇだろ、そういうのは当ててから言え。行くぞお前ら!」
「「「おう!」」」
続々と集まってくる中核メンバーの軽口に応えつつ、全員集まったことを確認して、ボスに向けて先陣を切る。
「邪魔だァ!しゃらくせぇ!」
王子を害そうとする無礼者を止めるために立ち塞がる取り巻き共を、殴る蹴るでぶっ飛ばし王子へひた走る。コイツらは俺の獲物じゃねぇ!トドメは他に任せる!
「よう、王子様!ご機嫌はいかがってなァ!『地割撃』!」
30万文字だー!逃げろー!
ステータスや、掲示板回などあるので、正式な30万文字は少し先ですが、ミーハーなので喜ばせて下さいww
いつも感想・評価・ブクマ・いいねのひとつひとつが励みになっております!
これからも精進して参りますので、引き続きご愛読頂けたら嬉しいです!
この小説が『面白い!』『続きが読みたい!』『う○こは食べたくない!』と思ったらブックマーク、下の評価★★★★★をお願いします!!ダイレクトにモチベに繋がるので、ウッキウキで続き書いちゃいますww




