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67/日

※3/3

感想で教えて頂いた重複箇所を削除しました。

・スキル取得可能リザルトから【集中】を削除


結局使わないからと一通りアイテムをもらってしまった。


これ、どのアイテムも今のプレイヤーには分不相応過ぎるんだが、封属結晶はともかく、精霊鉱石はスプラにどうこう出来そうもないな。


レアリティが高過ぎて生産失敗するスプラが目に浮かぶ。


まあ、封属結晶の方は火に焚べるだけで使えるっぽいから、そっちだけでも役に立つだろう。



「で、でも、なんでま、魔力暴発なんて、起こそうとしたんですか?痛そうなのに…」



お礼のアイテム選び中一言も発さなかったテネブの質問。


なんでと言われても、魔力暴発なんて起こしたくて起こした訳じゃないんだけどな。



「魔力操作スキルが欲しくて、その練習してたら練習方法ミスってたみたいでさ。魔力暴発は意図した結果じゃないよ」



いくら仮想世界の身体でも、自分から好んで爆散なんてしたくない。


だから正直に答えた。



「なんでまた魔力操作なの?」


「魔術スキルを魔法スキルに進化?させる方法を聞いて、それには魔力操作スキルが必要だって言われたからだな」


「進化ではなく、昇華ですわね。スキルの進化は、スキルレベルを最大まで上げたときに上位スキルになることを進化というんですのよ」



たしかに、マーリン爺もそんな言葉を使ってた気がする。うろ覚えだが。



「では、私たちでそのお手伝いをしましょうか」


「いいね、賛成!」


「レンテは基本属性は網羅してるみてぇだしな」


「オイラの風が火を噴くのさ!」


「まあ、種族進化のお礼はしないといけませんわね」


「う、うん」



口々に手伝いを申し出てくれるがいいのだろうか。



「世界樹の実のお礼はもう貰ったし、そんな何から何までしてもらっちゃ、もう返せるものがないんだけど」


「お、お礼なんて、いい。みんな、暇、だから」



そういうことになった。






ところ変わって湖のほとり。


俺が精霊界で目を覚ました場所の目と鼻の先。


ここに来るまではなかなかに自然豊かな場所で、同じ道を通るのは二回目なのに、つい目移りしてしまうくらいには面妖な植物のオンパレードだった。


一番驚いたのは、全身肌まで緑の精霊がいて、アルラウネみたいな精霊かなぁと思って見ていたら、次の瞬間にはガバァっと巨大なハエトリグサになっていて、危うく腰が抜けて捕食されるところだった。


ディーネ達曰く、本来の姿がハエトリグサの方で、アルラウネ形態は擬態している食人植物型モンスターらしい。



「じゃあ、まずはわたしからね!聖域のときみたいに共鳴同調でレンテと一体化して、わたしが魔力操作してみるから、その感覚を覚えて!」



理論なんてかなぐり捨てて、実践して覚えろや!なタイプなんですね了解です。


あの時は状況が状況だったから気にする余裕もなかったが、共鳴同調とはどういうスキル?魔術?武技?なのだろうか。



「共鳴同調は霊体系種族の固有スキル【霊体操作】で覚える武技ですわ。制限はありますが、敵対象の身体の自由を奪ったりも出来ますの。ですが、敵対の意思がない場合や、対象の意識がない場合は、INT・MNDを上乗せすることが出来ますのよ」


「ルクシア、意外と気が効くんだな」



人の機微を読んで細く説明まで入れてくれるとは、最初の印象をガラリと変えてくるファインプレー。



「う、うるさいですわ!」


「て、照れてる」


「何か言いましたの、テネブ」



ギロリと余計なことを口走ったテネブを睨むルクシア。小心者の彼はそれだけで口を噤んでしまった。


いや、あの睨みは俺でも黙ってしまいそうだな。



「じゃあ、あの時の共鳴同調はディーネのMNDを俺に上乗せして、魔力暴発から守ってくれたってことか」


「それもあるけど、わたしの水の精霊王の権能で精霊界(こっち)に引っ張ってくる為にも必要だったからね。そう易々と治せるような怪我じゃなかったし、痛いまま待ってるの嫌だし、暇でしょ?」



まあ、ゲームの肉体なので痛覚もほとんど遮断してあってタンスの角に足の小指ぶつけるくらいの痛みが最大なんだが、NPCにそれを言っても仕方のないことだろう。



「なるほどな、色々考えてここに連れてきてくれたのか。改めてありがとう、ディーネ」


「ふふっ、わたしも照れちゃうな〜」


「これは聞いていいのか分からないんだけど、その権能っていうのは?」


「水に関する色んなことが出来る能力かな。魔術やスキルと違ってコストが掛からない代わりに、一日の回数制限があるんだ〜。今回使ったのは水辺から離れた水辺へ転移する権能だね!」


「それで転移してきたのがここの近くだったのか」



スキルや称号じゃない新しい力か。


あれ、この情報はワールドアナウンスで流れないのか。なんか新情報は全てワールドアナウンスなのかと勝手に思ってたが、そういえば魔法とか魔導とかも話を聞くだけじゃアナウンス流れなかったな。


まあ、もう既に他のプレイヤーが既知にしている可能性もあるし、後でヘルプでも確認しよう。



「ディーネ、そろそろ始めましょうか」


「オッケーだよ〜」


「レンテも準備は大丈夫ですか?」


「いつでも大丈夫だ!」



ノームの確認に気合を入れて応える。


魔力暴発のイメージが頭にこべりついていて若干緊張してしまっているかもしれない。



「じゃあ行くよ〜!『共鳴同調』!」



うん?なんか変な感じだ。



「(うわぁ〜、魔力暴発の影響で魔力回廊がガバガバになっちゃってるよ)」



ディーネの声が現実(ゲーム)と頭の中で二重で聴こえてくる不思議体験。


でもそれ以上の不思議体験は、自分で動かしてない身体が勝手に動くことと、その動かしている感覚が自分に伝わってくることだ。


身体を動かしてないのに感覚だけ伝わってくるのは中々に気持ち悪い。



「(下位精霊並みに広がってるから、案外拍子抜けするかもだね。じゃ、やってみるからしっかりと覚えてね!)」



あれだけピクリともしなかった魔力が、自分の身体の中で動いていくのが分かる。


初めはゆっくりと。少し、少しずつと速さを増していくーーが、ここで違和感。


魔力が動かせないどころか、引っ掛かるものすら感じない。もっと言うなれば…、壁を伝う感覚すら感じない。


巨大な筒の中央を、ブレることなく真下に自由落下し続けるかの如く、魔力の流れは僅かも阻害されないのだ。


これか、ディーネが直前に言っていた魔力回廊がガバガバってやつ。


なんだこのチートは…。


ピクリとも動かなかった魔力が動いた、ただそれだけなのだが、それをチートと感じるくらいには愕然としてしまっていた。


なんか言葉にするとお通じが良くなったみたいで嫌だな…。



「(どう?感覚掴めそうかな?)」


「おう、思った以上に感覚がダイレクトで少し戸惑ったけど、いけると思う」



これ、魔力操作の取得手順って、一回魔力暴発挟むのが面倒なくて正解なんじゃなかろうか。


NPCならともかく、プレイヤーは不死身なわけだし、修行じみた何かをやらなくて済むのは大きいかも。


よし、この方法は便秘療法と…。


いや、冷静になれよ俺。あのクソ鳥に連れ去られた日から、少し思考がう○こに偏りすぎじゃないのか?


そもそも、魔力暴発させても、もしかしたら助からないと魔力回廊は元の状態に戻って復活してしまうかもしれない。というか、十中八九そうなる。


デスしてしまうと、直前の経験はリセットされてしまうのはすでに立証されていて、例えば戦闘でスキルの取得可能条件を満たしたあとに戦闘勝利せず死んでしまうと、生き返っても取得可能にはならないのだ。


多分リザルトが出て確定させないと反映されないのだろう。


その点で言えば、【魔力暴発】スキルがリザルトで出たことを考えれば、戦闘ではなくても生き残る必要がある可能性が高い。


レインに勧めるのはやめよう…。


ユズの友達が爆散するところなんて見たくない。俺自身もなんだかんだ現実で付き合いがあるフレンド以外だと、1、2を争うくらい付き合いの長いフレンドだしな。


闘技大会でフレ増えたけど、それ以外で話したことのあるフレンドが極端に少ない件については今は目を逸らすとしよう、そうしよう。



「(『共鳴同調・解除』)よし、じゃあレンテ一人でやってみて!」


「了解」



両手をゆったり広げて、鼻から空気を目一杯吸い込む。それをゆっくりと吐き出しながら、己の魔力に集中していく。


妙に慎重になってしまっているのは自覚しているが、それでもやっぱりちょっと怖気づいているのだと思う。


戦闘で気分が高揚しているでもなく、突然おかしな鳥に連れ去られて呆気に取られていたでもなく、理不尽に晒されたわけでもなく、自分のミスで妖精達を巻き込んだ上で死にかけた。


現実とほとんど変わらない肉体がひび割れて、内側から破壊されていくのが分かってしまったあの感覚は、どうもトラウマかもしれない。


だが、それでも尚再度チャレンジ出来ているのは、あの時助けてくれたディーネがそばに居てくれるおかげだろう。


もし失敗してもまた助けてくれる、そう思えるだけで幾分か気持ちが楽になるものだ。



ディーネがやっていたように、初めはゆっくりと。


何ということはない、本当に動かせてしまった。強情なまでにピクリともしなかった堅物は、何の抵抗もなく自由落下を始めた。


気分は紐なしバンジーである。


命綱もなく、空に身を躍らせるようなこの感覚は素晴らしい。


何故魔力暴発をこんなにも恐れて、紐なしバンジーを恐れないのかは、自分自身理解不能だが。


自由落下を始めた身体が地面へ向けて加速を始めるように、魔力も徐々に加速させてゆく。


しかしここで想定外。


速度を上げたことでコントロールのブレた魔力が、魔力回廊の壁にぶつかった。ディーネは壁にぶつけたりしなかったのだが、やはりスキルのレベル差というのもあるのだろう。


だが、逆に安心した。


上にも下にも右にも左にも、壁も地面も空もない、何もない無の空間で自由落下をし続けるのは、次第に恐れを感じさせていたかもしれないしな。



そうやってのめり込み過ぎた感覚は、唐突に現実(ゲーム)に引き戻される。



〈【魔力操作】スキルを取得可能になりました〉

〈【魔力同調】スキルを取得可能になりました〉

〈【瞑想】スキルを取得可能になりました〉

〈【精神統一】スキルを取得可能になりました〉


※読み飛ばし可(もし疑問に思っていた方がいればの補足です)


魔術の消える消えない設定で、ふと分かりづらいかも…と思った部分の補足


魔術で時間制限で消えてしまうのは、魔術が継続的に及ぼしている事象のみです。


例)

樹木に対して『ファイアボール』を使った場合。

[結果]

樹木は炎上し、葉が焼け落ちる。

[時間制限]

樹木の炎上→消える

葉が焼け落ちる→戻らない


他にも、

・水魔術で濡れた服は時間経過で乾く

・土魔術で隆起した地面は元に戻る

・風魔術で切り刻まれた建物は元に戻らない

・回復魔術で回復したHPは回復したまま


という感じです。


魔術解説は以上になりますが、もしまだ分かりづらかったり、他の設定でも不思議に思うようなことがあれば、ネタバレにならない範囲であれば、今回のように後書きに解説載せますので、お気軽に感想貰えると嬉しいですm(_ _)m

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