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163/日


クラン【運命の輪】は極振り集団として多くのプレイヤーに知られている。


しかし、絶対に極振りじゃないと所属出来ないというわけではなく、中には一般的なステ振りのプレイヤーも居るらしい。


それでも極振り気味なメンバーが多いのは事実で、中核メンバーは二人を除いて完全な極振りなのだとか。


クランシステムの階級は上から順に、クランマスター、サブマスター、リーダー、メンバーとなっていて、ここにいるのはリーダー以上の役職に就いているプレイヤーだけだ。


クランマスターのフォルトゥナは、言わずと知れたLUC極振りで、彼女が今回熱烈なラブレターを送ってきたのも、【運命操作】なんて如何にもな名称のスキルの為であり、LUC極振りとして見過ごせなかったからだろう。チャイナっ子です。


サブマスターの一人である西京はINT極振りで、クランの経理担当らしい。この豊穣閣が建設出来たのは彼の手腕あってこそだとか。ウェスタンハットを被ったガンマンみたいな装備から聞こえる関西弁には、胡散臭さしか感じられない。


そしてもう一人のサブマスターはPNローリエで、彼女は中核メンバーの極振りじゃない内の片割れだそうだ。主な役割はフォルトゥナのサポート。極振りばかりのクランでは、オールマイティな彼女のようなプレイヤーが潤滑油のように機能するらしい。装備は誰がどう見てもメイドだな。


あとはリーダーを務める、STR極振りのPN心夜、VIT極振りのPNじゃがバタ、INT極振りのPNカース、MND極振りのPNすたぁく、DEX極振りのPNシロヤミ、ステータスこそ極振りではないがAGI系スキルで固めているPN紅。


以上が中核メンバーのようだ。


うん、フレンド登録済ませてるし、これからゆっくり覚えていけばいいと思います!



「じゃとすると黎明の岐路の獲得条件は、世界の命運を左右するような何らかのアクションを起こすこと、というところかのぅ」


「若しくはNPCにプレイヤーという存在を正しく認識させること、かもな」



敢えて曖昧な文言にしてある理由は分からないが、ただの運営のお遊びという可能性もある。


今はそこを深く考えるよりも、実際の条件がフォルトゥナの言うように緩ければ、それなりのプレイヤーが獲得可能かもしれない。


だが、最速系称号という前例から考えれば、条件が具体的且つ唯一無二の称号という可能性もあり得る。


その場合、フォルトゥナが幾ら望もうとも称号獲得は難しいだろうな。



「レンテはんの言うとおりなら、別の称号から獲得を狙う方が確率高いかもしれへんな」


「別の称号から?」



西京さんの謎発言。



「最近、違う称号から同じユニークスキルが獲得出来ることが判明したんだよねっ!」



この語尾に星でも付いてそうな話し方をするのはMND極振りのすたぁくだ。


何にでも興味を持ちそうな活発な少年という第一印象だが、毒沼を青汁代わりにしているのは彼らしいぞ。



「運命操作の効果さえ分かれば、別の称号を狙えるかもしれませんね」


「効果から逆算して称号を獲得でごわすな」



前者はサブマスターでメイド姿のローリエ、後者はVIT極振りのじゃがバタだ。じゃがバタさんはその…ステータスだけじゃなくて、横のサイズ的にも耐久力が高そうだ。


しかし、なるほど。


スキルの効果をスキル無しで実践することで、ワンチャン狙えるわけか。


言われてみれば、実際に自分が起こした行動がそのまま称号になって、ユニークスキルで再現できるようになったようなものも幾つかある。


全部が全部そうではないが、試してみる価値は十二分にあるだろう。


黎明の岐路と運命操作の詳細スクショはメールに添付して既に送ってある。


運命操作はやはりフォルトゥナの思っていたようなスキルではなかった様子だが、それでも欲しいらしい。


俺ももう一度、詳細を確認しておくか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【黎明の岐路】

【運命操作】スキルを獲得する。

〔獲得条件〕

始めの一歩。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【運命操作】

モンスター撃破時に通常アイテムをドロップしないようにできる。ドロップする筈だったアイテムはLP(ラッキーポイント)に変換され、LP10消費することで次に倒したモンスターのドロップを+1する。

LP[0.00]


LP変換効率:

〔一般〕0.01

〔稀少〕0.1

〔秘宝〕1

〔遺物〕5

〔伝説〕10

〔幻想〕50

〔神話〕100

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



黎明の岐路の詳細は、事前に魔術師協会で確認してきた時のスクショだ。


運命操作の方は、みんなに送ったのは下の方が見切れているのは手ぶれってことで勘弁してほしい。


どうやら〔レア度:神話〕って、まだプレイヤーに知られてないっぽいんだよな。


俺自身も源泉機能使うまでは世界樹の実の名称すら分からなかったし、今も名前とレア度くらいしか見えない状態だ。


なので、〔レア度:神話〕については内緒ってことで。



「可能性としては、ドロップさせない、レアドロップを連続で獲得する、何とかしてスキルが無い状態でLPを獲得する、ってところ〜?」



DEX極振りのシロヤミさんの言葉に皆頷くが、スキル無しでLP獲得は無謀じゃなかろうか。


ちなみに、彼女はこのクランの生産プレイヤーの纏め役でもあるらしい。白衣のマッドサイエンティストだ。マッドかどうかは俺の適当です。



「ふふふっ、それは後でじっくりと考えましょうよ。師匠さんの用件を片付けるのが先だわ。ねぇ、ふふふっ」


「そうじゃの。すぐに答えが出るようなことでもないのじゃし、坊やの望みも叶えぬとのぅ」



カースさんの提案はありがたいんだけど、彼女がこのクランで一番不気味だ。


だって常に含み笑いなんだもの…。


同じINT極振りの西京さんとは対照的だな。装備はジャージっぽいんだけど、態々オーダーメイドで作ってもらったんだろうか?


雑貨屋えびすのミントに並ぶくらい気怠そうにしているが、あっちはまだ装備に気を遣っていたけど、シロヤミさんは筋金入りだな。



「たしか、源泉についてでありましたかな?」


「僕達以外の源泉の支配者…興味深いじゃん」



ここまで一言も発さなかった心夜さんと紅さんだ。


STR極振りの心夜さんは軍服、AGI系スキルで固めている紅さんは軽装革鎧で、二人とも男性だな。



「そうだな…。まず俺が源泉の支配者だと信じてもらう為に、そちらの質問に幾つか答えようと思う」



フォルトゥナには源泉の支配者や、その周囲しか知り得ないような情報を伝えて、暗に同類ですよと匂わせたが、実際には証拠になるようなものは何一つ提示してないからな。


今の俺の評価は状況証拠だけだ。



「じゃあ俺からいかせて貰いますわ。ズバリ、レンテはんが支配しとるっちゅう源泉は何処にあるんや?」



西京さんからの質問。


特に懐疑的な意図を含んでいるようには見えない、純粋に俺の行動範囲の何処にプレイヤーが支配できるような源泉があったのか疑問なように聞こえた。


しかし、この簡単に予想出来た質問に答えるには、二つの難関が存在する。


一つは精霊界について、もう一つは空間妖精のワープゲートについてだ。


精霊界についてはまだいい。


そういう場所があるってのは、既に会見で話してしまっていることだしな。


だが、その場所の源泉を支配しているということは、今も行き来が可能だということに他ならない。


必然的に空間妖精のワープゲートまで話が繋がってしまう。


まあ、そこに関しては秘密として話を進めることもできるだろうが、ここにこの話をしに来た時点で、既に決まっているようなものだった。



「質問に答えると言っておいて申し訳ないけど、それに答える前に一つだけ条件があります」


「うむ、どんな条件でも吞むのじゃ」


「いや、まずは話を聞いてから…」


「どうせ、帝国との戦争で味方をしてほしいとかじゃろう?妾達の拠点がこのセントルム近郊にある時点で、どちらに組みするかは決まっているようなものじゃしな」



言い当てられてしまったんだが。


俺の活動拠点をバラしてしまうリスクを負うには、今後も極力敵対しない関係性を築いておきたいという本音は筒抜けだったようだ。


プレイヤーもNPCも精霊宮殿まで辿り着けるとは思えないが、念の為俺の行動範囲を知る者には注意を払っておきたい。



「それにのぅ…。ここを支配するにあたって、【運命の輪】はセントルム王国に所属しておるからの。そもそも選択肢なぞないんじゃがな!」


「なるほど、人間界の源泉はそういう煩わしさもあるのか」



確かに国の真横、最悪は国のど真ん中に独立国家が誕生するような源泉というシステムは、プレイヤーよりもNPC国家の方が無視できない大問題だろう。


それに源泉は奪い取ることが出来る。


プレイヤー側からしても、いくら攻略クランとはいえ、国と諍いを起こして現時点で勝てると思うほど慢心していないということか。



「人間界の、でありますか。それを明かすということは、味方だと信じてもらえたということで、宜しいでありますかな?」


「ああ。俺が活動拠点をばらす条件はフォルトゥナが言ったとおり、帝国との戦争で味方になってくれることだ。無論、その際には俺も、微力ながら支援しよう」



味方になってくれるのなら、多少の支援も考慮のうちだ。


もしかしたら、戦争にかこつけて豊穣閣を乗っ取ろうとするプレイヤーが湧くかもしれないからな。



「さっきも言ったとおり、妾達は坊や側に付くと約束するのじゃよ」


「成立だな」



よし、第一関門突破だ。


まあ、まだ本題に触れてすらいないから、正確にはここからが本番なんだけどな!



「じゃあ、遅くなったけど西京さんの質問に答えるよ。精霊界スピリタス、その中心にある精霊宮殿(エレメンタルパレス)が俺が精霊王から譲り受けた源泉の場所だ」



やっと本題に入れそうです!


フォルトゥナ(LUC)


サブマスター:

西京(INT)

ローリエ(平均的)


リーダー:

心夜(STR)

じゃがバタ(VIT)

カース(INT)

すたぁく(MND)

シロヤミ(DEX)

紅(AGI)


ザッとした一覧です


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