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ここに取り出したるは、どこでも誰でも簡単![初級簡易調合キット]!!


これと調合スキルさえあれば、どこでも、たとえフィールドであっても、簡単お手軽にポーション作成などが出来るという優れものだ。


場所は、中央広場北西に面する共同生産場の個室。


共同生産場は、プレイヤーなら誰でもゲーム内通貨を払えば利用できる。


そしてここにきて、大きな誤算が…。


共同生産場には、どの生産スキルにも対応出来るだけのある程度の設備が整っているのだが、[初級簡易調合キット]いらなかった…。


俺の500Gが!!


ま、まあ、いつか役に立つときが来るはず!



「えっと…すり鉢とすりこ木、ウィスプの魔石と、ウィスプの涙ーー」



まず、必要な道具、素材を作業台の上に並べていく。


すり鉢、すりこ木は初級簡易調合キットの付属品だ。


ビーカーみたいなやつだったり、薬草を煮出す鍋だったり、簡易魔導コンロとかいう未知のアイテムまで。


他にも細々としたアイテムがある。



「よし始めるか、『破砕』」



まずは、調合スキルの生産技能『破砕』を使って、[ウィスプの魔石(水)]を砕き、粉状にしていく。


アイテム名は[ウィスプの魔石粉(水)]


生産技能というのは、魔術スキルの魔術、戦闘スキルの武技のようなもので、端的に言えば生産スキルの必殺技みたいなものだ。


扱いは武技と同じなので、武技に比べたら幾らか少ない程度のMPは消費するけどな。


これを使うと、現実では時間が掛かるような作業を短く済ませたり出来るので重宝する技能だろう。


一応手作業で全て行うこともでき、その場合の方が高い品質を目指すことができる一方、手作業故の失敗のリスクも背負うことになる。


あれだな、最高品質を目指してリスクを受けるか、平均的な品質で安定性を取るかってところだ。


今回は高品質とかは狙ってないので、ガンガン生産技能を使っていこうと思う。


ちなみに、生産アイテムにはそれぞれ品質があり、〔A+〕〜〔F-〕までで評価され、その評価が〔A+〕に近いほど、アイテムの性能が良くなる。



「一回破砕使うのにMP5必要なのか」



レベルが一つ上がってHP、MP共に110になったので、連続で使える回数は二十二回か。



「よし、取り敢えずある分だけ砕いてしまおう」



素材アイテムと一緒に買い込んだ[マジックポーション]というMPを回復してくれる薬を煽りながら三十分。


一応【調合】スキルを取ったので、頑張ればマジックポーションも作れるようになるはず。


そんなことを考えつつ作業に没頭する。



「これで最後っと。『破砕』!」



ふぅ。なかなかの重労働だったな。


『破砕』!って言うだけのお仕事だったけども、買い込んだ[ウィスプの魔石(水)]は150個。


すこし精神的疲労が…。


因みに、ウィスプっていうのはプリムス平原に夜限定で現れる人魂型のモンスターだ。


プリムス平原唯一の遠距離攻撃を使ってくるモンスターで、個体によって属性一つだけランダムで魔術を使ってくる。


図書館で調べた情報によると、どのモンスターからもドロップする魔石というアイテムには、ドロップ元のモンスターの属性が残っているとかなんとか。


属性は魔石の色で見分けることが出来るので、間違う心配はない。


今回は、魔石は魔石でも属性が大事なので、要注意ポイントその1だったりする。



「続いて取り出したるは、[ウィスプの涙]!これを鍋にドバドバドバ〜」



何故か小瓶に入ってドロップするこのアイテムは、他のモンスターでいう血液系のアイテムだ。


それを、調合キット付属の鍋に十個分注いでいく。



「そして水と、砕いた魔石を加えて、魔導コンロにセット」



魔導コンロを点火して、弱火でじっくり加熱しつつ、ゆっくり混ぜる。


水魔石の粉末を入れることで、薄らと青味がかった透明だった液体は、徐々に色味を増していき、五分後。


突如、鍋中の表面が光り輝き、光の収まったそこには──。



「おぉ、初めての生産品!」



薄らと発光する青いインクが鍋を満たしていた。


実はまだアイテムとして完成していないので仕上げを。


調合キットから漏斗を取り出し、買っておいたポーション用の円筒状の瓶に、十等分に流し込んでいく。


元々、材料は十個分で作っていたので、ゲーム的な判定で、一個あたりの分量を注いだらアイテムは自動的に完成。


注ぎすぎで、十個分あったのに九個しか作れなかった?!ということにならないのは安心だな。


あとはそれぞれにコルクで栓をして完成だ!


十個完成したうちの一つをストレージに仕舞い、アイテムの詳細を確認する。


鑑定スキルというのも存在するが、所有権が自分にあるアイテムはストレージから詳細確認が可能なのだ。



「えっと、[魔法の下級インク(水)]、評価は〔D-〕ね」



初めての生産品としては上々ではないだろうか。



「よし、ここからは量産だな!」



正直、このインクが十個程度では足りない気がする。


俺は画伯でも何でもないので、失敗に失敗を重ねることは確定事項なのだ。


ということで、絵心を上げるよりも試行回数を稼ぐために、インクの量産に取り掛かろうか!



意気込んでから一時間半と少し。


途中休憩を挟んだのと、すこし手間取ったこともあって、生産量的に少しオーバータイムな感じもするが、無事に合計百個のインクが完成した。



「これだけあれば、ミスしまくっても大丈夫だな」



それに、一つ予想外の嬉しいハプニングもあったのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

PN【レンテ】

LV.3

[AP:0][SP:1]


HP:120/120

MP:120/120


STR:10

VIT:10

INT:20[+2]

MND:10

DEX:14

LUC:10


スキル

【水魔術】LV.2

【真・樹魔術】LV.2

【MP回復速度上昇】LV.3

【知力強化】LV.1

【発見】LV.1

【調合】LV.3


控え


称号

【無謀に挑む者】

【友好を築く者】

【我が道を往く者】

【『終焉の魔女』の弟子】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そう、何と生産中にプレイヤーレベルが上がったのだ!


いやぁ、なんというか数をこなしたとはいえ、条件さえ整えれば、こっちの方がレベリングになる気がするな。


あとは何気に【調合】と【MP回復速度上昇】のレベルが上がったことかな。


【調合】はまだ分かるとしても、【MP回復速度上昇】の方はなんで上がったのか謎だ。


スキル熟練度の上昇判定がMPを使った瞬間にでもあるのかね…。



まあ、ともかく今日はここまで!


もうそろそろ二時間経つし、この部屋を借りてるのが二時間なんだよな。


ってことで、結構いい時間だし、そろそろログアウトしよう。


後片付けをした俺は共同生産場を出て、中央広場の端っこでログアウトした。



※済

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