表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
136/185

129/水

50万字マジ卍ィ!


おいおい、なんだこりゃ…。



「あ、レンテだー!」


「これから釣り〜?」


「じゅるり…」



ログインして空間創造の世界へ赴けば、一夜にして擬似聖域とも言えるような森の泉が完成していた。


いや、4倍速だってこと考えれば、少なくとも三日は経ってるのか。それを勘案したところで、目の前の光景はあり得ないの一言に尽きるけどな。



「これフェアリーズが?」


「そだよ〜」


「おいら達は他のことは出来ないけど、得意なことはとことん出来るのさ!」


「すぺしゃるりすと?」


「スペシャリストな」



この泉も、花畑も、ふかふかな土も、ぽかぽかな陽気も、立派な樹木も、すべて三日のうちに完成させてしまったってことか…。



「レンテー、瓶ちょうだい!」


「瓶なんてあったかな…ああ、5本でいいならあるぞ」



MPポーションを煽ったあとの試験管みたいなポーション瓶だ。


同じ形の瓶なら、前に魔法のインク用に買い置きしてたのが大量にあるのだが、つい最近アイテムボックスに放り込んだばかりだった。



「はい、これ」


「甘いんだぜ〜」


「友達のよしみでわけたげる!」



粘度のある無色透明な液体で、匂いは…フローラルに少し香る程度だ。



「これ花の蜜か?」


「そうだけど、違う〜」


「薬草と魔力草の種も持ってきたおかげだよ!」


「妖精花の蜜はー、フェアリーフラワーからしか取れないのー」


「フェアリーフラワー?」


「あっちの!」


「お花の色が赤とか、青とか、変化してるやつ!」



なんだあのファンシーな花畑は…。


色々な花の種を貰ったからか、季節関係なく多種多様な花畑が、泉の周囲を彩っている。


ひと目見た感想は、確かにプリムス大森林の聖域に酷似していると思った。だが、神社や鳥居が無かったり、フェアリーズ以外と育った植物、デフォルトの草以外の生命が感じられなかったり、間違い探しのようだ。


プリムス大森林の聖域を神秘的と表現するならば、こっちはファンタジーだな。


森の中にひっそりと佇む泉の湖畔で、時折花弁の色を変える花畑に舞う妖精達。


体を横たえているクー・シー達が、ちょっと幻想をぶち壊しているような気もするが、体格の良い2メートル越えの緑犬も十分ファンタジーか。10匹ではなく、1匹くらいなら絵になってたかもな。



「あんな花の種まであったのか。たしかにセシリアさん、木の苗は特別なのはないけど、的なこと言ってたもんな。花の方は特別なのあったんだな」


「フェアリーフラワーはあたい達が錬金したんだよ!」


「そうだぜ!花の種と薬草と魔力草の種をピカーッてさせると、フェアリーシードになるんだぜ!」


「え、そんなことまで出来るのか!?錬金って、【錬金術】スキル使えば俺でも出来る?」



まずはスキルの取得からだけど。


錬金術スキルは、同じアイテムを合成して効果を高めたり、別のアイテムを複数合成して新しいアイテムを生み出したり、他にも色々と出来るらしい。(図書館調べ)


錬金術でもインクを作れるらしく、調合かどちらにするか迷ったんだよな。


どうも魔力ありきのスキルみたいで、あの時は手作業で生産してる!みたいな感覚が欲しかったから調合を選んだけど、今思うと魔術士なんだから、MPじゃんじゃん使う生産って補助スキルの熟練度稼ぎにも使えたんじゃ…。


いや、考えるな!感じろ!



「んとね、レンテじゃ無理!」


「フェアリーシードは妖精じゃないと作れないの〜」


「フェアリーフラワーは妖精じゃないと育てられないよ!」


「蜜の採取はぼく達じゃ無くても大丈夫ー!」


「蜂とか?」


「そ!」



これ、絶対セシリアさんが期待してた結果じゃないよな。


プレイヤーじゃ作れないし、育てられないって、情報として意味があるのだろうか。



「もしかして他にも変…珍しいのってあるか?」


「んー…あったかな?」


「珍しいもの?」


「向こうの木が変質してたよ!」


「変質?案内頼む」



というか、なんで森になってるんだ?


買って渡した木の苗は合計で30本だけじゃなかったっけ。



「木の苗は30本しか渡してないよな?どうやってこんな立派な森に仕上げたんだ?」


「ぼく達が【株分け】したの」


「なるほど、樹妖精が成長した樹から増やしたのか」



よくよく聞くと、それぞれで役割分担されているらしい。


火・風・灼・氷妖精が気候・気温管理、水・光・闇・樹・雷妖精が動植物管理、それに加えて水妖精は泉も担当しているようだ。土妖精は地形・地質管理で、溶妖精が地温管理、霧妖精は他の属性を増幅させて全体補助、空間妖精が区画管理などの全体指揮だとか。


驚いたのが雷妖精で、属性的に動植物の管理は向いてないように思ったのだが、樹妖精の次に植物の健康状態の把握に長けているらしく、動物の健康状態まで判別できるらしい。


今のところ動物は居ないので、早くこの森にも新しい生命が欲しくなってくるな。強いて言えば、動物ではないがデフォルトで益虫が少しいるようだが。



「ここの木だよ!」


「これもフェアリーフラワーみたいに?」 



木の葉か花かの違いはあれど、その色を変える摩訶不思議な性質は同じだ。



「んーん、ちがーう」


「最初の楓だけがこうなったの」


「これが蜜だよ〜」


「花の蜜が[妖精花の蜜(フェアリーネクター)]、楓の蜜が[妖精楓の蜜(フェアリーシロップ)]か。なにか思い当たる原因とかあるか?」


「えーと…うーんと…わかんない!」



清々しいまでに正直だな。


まあ、何か妖精達が育てたことで満たす条件でもあったのだろう。株分け後の楓の木は普通みたいだけど、何か条件満たしたらこっちも変質したりするのだろうか。



「そっか。これって瓶用意したら、もっと取れたりする?」


「一日50本ずつ取れるよ!」


「了解。今度これで誰かにお菓子でも作ってもらうから、これの採取頼んでいいか?」


「任せて!」


「お菓子!お菓子!」


「うんっと甘いやつがいいの!」


「誰かお菓子作り得意なフレンドいるかな…」



交渉の結果、蜜の半分はフェアリーズのオヤツで、残りの半分を貰えることになった。


これは精霊宮殿の前に、こっちにアイテムボックスが欲しいところ。たしか登録さえすれば共有化できるので、採取したアイテムをそこに入れといてもらえれば、手間も省けるはずだ。



「思わぬ収穫はあったけど、そろそろ釣りに行かないとな」



フェアリーズはこれから住居を作るそうで、今日は一人で静かな釣りになりそうだ。


ちなみにクー・シーは、ピクシーフィッシュの属性は気にしないそうです。妖精達の倍の数要求しようとして、懲らしめられてたのは見なかったことにしよう。


上下関係にサイズって関係ないんだな、と思いました!






プリムス大森林の聖域に行く前に、魔術士協会にやってきた。


さっさと認可を貰って、宝箱をアイテムボックスに変えてもらわないとな。今日は時間が無いので、クエストはまた今度ということで。



「はい、アイテムボックス化ですね。一回10万Gになりますが、宜しいでしょうか?」


「条件とか無いんですか?」


「犯罪歴があると許可はおりませんが、そもそも冒険者ギルド又は職業協会に登録している時点で、犯罪歴はないのと同じなので」



ああ、たしか冒険者も職業も、犯罪称号があると利用制限されたり、最悪資格剥奪されるんだっけ。


犯罪称号は、窃盗みたいな小さな犯罪から、国家転覆みたいな未曾有の大犯罪まで、大小様々な犯罪があるが、罪に比例した称号を強制的に獲得してしまうのだ。


その称号によって色々と制限を受けるらしいが、詳細までは知らない。なんせ、犯罪など起こす気がないからな。


え、じゃあ町のそばで魔力暴発なんてするなって?あれはディーネ達でさえ想定外だったのでノーカンです。



「それにアイテムボックス化できるということは、解除もできるので、犯罪に使用されたとしても対策は出来てますから」


「対策ですか?」


「使用者に所有権がないアイテムを入れようとすると、アイテムボックス化が即解除され、認可を与えた組織に信号が送られるシステムになっています。その場合、3日以内に登録者様から連絡が入らない時は、最悪指名手配もあり得ますので御注意ください」


「指名手配、マジか…」



犯罪って強盗とかだろうか?


たしかに無制限に入る箱って、誰でも使えると悪用し放題ではあるよな。



「では、アイテムボックス化をする家具をコチラへ。もしサイズが大きいのであれば、アチラの商談室で承りますが」


「あ、この宝箱6つにお願いします」



一つずつ取り出して、受付嬢が蓋の内側にスタンプのような魔道具で押印したところに、俺が魔力を流せば完了だ。


共有化するには、共有したい相手にも魔力を流してもらって、所有者が許可を出せば、それだけで共有化できるらしい。


つまり、フェアリーズにも魔力を流してもらって、俺が許可を出せば…え、フェアリーズ全員に一回一回許可出すのか?


これ、代表者選んで、何人かだけに許可出しておくんじゃダメかな…。


ちなみに、宝箱は木製が4個、銀製が1個、金製が1個アイテムボックスにしてもらいました。


妖精達の新たな棲家に金銀の宝箱は視界が煩いので、木製の宝箱を妖精花と妖精楓付近に一つずつ、中央に一つの計3個を設置することにした。残りは精霊宮殿行きだ。


よっし、用事終わり!


釣りの時間です!

この小説が『面白い!』『続きが読みたい!』『う○こは食べたくない!』と思ったらブックマーク、下の評価★★★★★をお願いします!!ダイレクトにモチベに繋がるので、ウッキウキで続き書いちゃいますww

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ