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111/日

2月も終わりだーーーーーーー!




「「グガァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」」



鮮烈な赤と醒めるような青。


二枚の巨壁の大絶叫を鐘の音に、戦いの火蓋が切って落とされた。


猛接敵しながら、最終確認をするテューラ。



「まずレッドオーガを私とセレスで倒すので、それまでレンテはブルーオーガの足止めを!聖霊王様方もサポートお願いします!」


「おう、出来るだけ早いと助かる!」



50階層ボス〔レッドオーガ〕〔ブルーオーガ〕。


レベルは、共にLV.70という、テューラに迫る圧倒的格上だ。


各々5メートルを超える巨躯が二枚並ぶ光景は、歪な壁のようにも思えてくるが、その凶悪な鬼面から放たれる威圧感は、壁にはない大人も裸足で逃げ出す恐怖を振り撒いている。


今回の作戦は単純で、火力特化のレッドオーガをテューラとセレスが、ルクシアのサポートを受けつつ撃破する。それまで、俺とノーム、サラが防御特化のブルーオーガを抑え込む!



「あなたの相手は(わたくし)でっ、とと。ちょっと、邪魔しないでもらえますかっ!」



なので、テューラがレッドオーガを釣って距離を離すのが作戦の第一段階なのだが、初手から妨害が。


レッドオーガに迫るテューラの攻撃を、間に体を飛び込ませたブルーオーガが迎撃したのだ。



「テメェの相手は俺様だぜ!」



テューラが釣るのに失敗した際の作戦も勿論用意してある。


巨躯ゆえに多くなる死角に素早く身を踊らせ、飛び上がったサラの頭部への炎脚撃。簡単に言えば、炎を纏った踵落としだ。


完璧な虚をついた攻撃。絶対に当たると確信したその攻撃は、しかし。


サラを視界に入れることすらせずに、半歩前進することによってブルーオーガは見事に躱してみせた。



「へぇ、オマエおもしれぇな」


「おいおい、達人かよ」


「サラの攻撃を躱すとは、ただのブルーオーガではありませんね」



何このブルーオーガ、格好良いんだが!?


まあ、格好良いからって倒さないことには繋がらないけどな!



「取り敢えず、フェアリーズはバフとデバフを振り撒いたら帰還だ!」


「「「あいあい!」」」


「【畏怖】【絶望覇気】【英雄覇気】!って、テューラ!絶望が両方に通ったぞ!?」


「それっ、は!朗報ですが!今、は余裕がっ、ありません!」



一向に離れようとしない2体のオーガの連携は、上手いを通り越して、一種異様なほどだ。


まるで背中に第三の眼があり、ラグ無しで情報共有をしているような、遅滞ない理想のパートナー。


ブルーオーガだけでなく、レッドオーガまでもが達人のような動きを可能とする想定外中の想定外。


互いが互いを補完し合い、最大限それぞれの力を引き出し合う。


妖精のバフデバフに加えて、クー・シーの[死の前兆]、俺のフルエンチャントに、ランダムに動きを硬直させる[畏怖]、スキルを封じる[絶望]とステータスを低下させる【絶望覇気】を喰らってもなお、致命的な隙を与えず反撃まで見舞ってくるのは、ちょっと頑張りすぎじゃないだろうか。


それに加えて厄介なのは、HPの自動回復だ。


なんとかテューラとセレスが与えたダメージも、ジリジリと回復してしまい、この超連携に攻めあぐねている間に完全回復していた。


一旦テューラとサラも距離を取り、仕切り直し。



「くっ!?これでは埒が明きませんね」


「私の矢もどうやらダメージの通りが悪いですわ。赤は火、青は水の耐性も備えているようですわね」


「それにおかしいぞ。絶望どころか、畏怖まで両方に通ってる。俺の畏怖スキルは単体指定だってのに」


「なるほど、そういうことですか。異常な連携力と状態異常のカラクリ、敵の正体が判りましたよ」



正体?なんだ、本当はオーガじゃないとかそういう話か?



「〔バイオレットオーガ〕、それがこのモンスターの正式名称です」


「ふむ、それならば確かにサラの攻撃が躱された説明もつきますか」


「ったぁ〜、めんどくせぇクソッタレじゃねぇか」


「あたくし達の天敵中の天敵ですわね」



赤と青で紫とは安直街道真っしぐらかよ。



「バイオレットオーガを代表する【二対一体】スキルが一連のカラクリでしょう。異常な連携力は、そもそも一体のモンスターですから意思疎通などなくとも成立させますし、状態異常も本来は一体のモンスターなので共有します」


「では、背後に目がついてるわけではなく、お互いの視界を共有しているんですの?」


「サラ様の初撃を躱されたのはそのせいだと思われます」



つまり、あとから合体するってことでいいですか?



「しかし、正体が判れば対策は可能、不本意ですが作戦変更です。私とセレス、レンテは波状攻撃、とにかく数で押し切ります。サラ様にはご負担をおかけしますが、前衛を担ってもらい、ノーム様とルクシア様で援護をお願いします」


「はっ、俺様を舐めてもらっちゃ困るぜ!」


「では、参ります!」



テューラの掛け声を合図にリスタート。


まさかのテューラが後ろに下がってくるという展開に驚天動地なわけだが、何か理由があるのだろうか?


当然HPも共有しているのだろうが、現在満ち満ちているゲージを見るに、俺とセレスだけで削り切るのは厳しいという判断なのかもしれないが。



「『五重魔奏(クインテット)』『複写投影』【合わせ鏡】『ホワイトスフィア』!」


「ちょ、多い多い!」


「数で攻めると言ったでしょう!二体に分裂することはできても、その思考はひとつです!ですから、思考が追いつかないほどの波状攻撃を与えれば、いずれパンクします!」



いや、それでも限度ってものがあるだろう!


5が10、20になって、からの5つずつ発射されて100みたいな何か。


ライトボールより強く発光する白の球体は、恐らく上位魔術なのだろう。


どういう育て方したら、この王女様に育ったんでしょうか…?



「私も負けてられませんわ!【妖精の導き】『魔弓技・アローレイン』『速射』【掃射】『魔弓技・アローレイン』ですわ!」


「うーん、俺ももっと手数増やすべきだろうか…。取り敢えず、『ミストベール』!」



対してセレスの弓術は、上空と正面から無数の矢が襲ってくるという、二面を埋め尽くす点の攻撃。


恐らく魔弓技・アローレインというのは、本来は上空から矢の雨を降らせる武技なのだろうが、掃射とやらで、無理矢理に正面からも矢の雨を降らせているのだと思われる。


武技をRT無視で連続で使ったカラクリが速射だと予想。


俺のはアレです。この二人みたいに手数出せないので、光属性が強化される霧魔術でテューラのサポートだ。



それから、テューラとセレスは同様に繰り返し、俺は手持ちの魔術とRTを相談しながら、レッドオーガとブルーオーガの共有HPを徐々に削ってゆく。


防御特化らしい青ではなく、出来るだけ赤を狙おうとはするのだが、ダメージの高い魔術や、強化を施された魔術を優先して潰しにくる頭も持っているらしく、なかなかレッドオーガに強攻撃を当てることも難しい。


俺の手札で一番手数が多いのは、一応手数用に魔改造を済ませていた樹魔術のリーフカッター(改)。


魔改造魔術の格好の良いネーミング必要か?


それはともかく。


二十枚の葉っぱで切り刻むのだが、されど二十枚。テューラの五分の一である。


とはいえ、テューラの作戦通り、頭がパンクした二対一体のオーガは被弾を増やし、ここに来てやっと畏怖の仕事が目に見えて役立つようになった。


本来は弱体化されず、武技やスキルも併用してくると考えれば、今はまだ楽な方なんだろうな。



それでも尚、一つの思考に裏打ちされた連携と、異常な回復力によるタフさで、HPが五割を切ったのはそれから一時間後のことだった。


最近このテンプレ忘れてましたw


この小説が『面白い!』『続きが読みたい!』『う○こは食べたくない!』と思ったらブックマーク、下の評価★★★★★をお願いします!!ダイレクトにモチベに繋がるので、ウッキウキで続き書いちゃいますww

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[一言] 火蓋は切って落としちゃダメですw
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