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107/土


予定通りダンジョンを脱出して、魔術士協会地下訓練場まで戻ってきた。


忘れることなく40階層の記憶の標に登録は済ませてきたので、次は40階層からスタート出来るはずだ。



「では、明日は朝9時にこの場所に現地集合です。遅刻は厳禁ですよ、レンテ」


「ああ、寝坊しないように頑張るよ」



特に夜更かしをしているわけではないが、慣れないダンジョンで引き伸ばされた時間みっちり探索してたから、精神的な疲れで寝過ごさないようにしなければ。


人間界の現在時刻は午後10時。


ユズが戻ってくるまで雑貨屋えびすでMPポーションでも揃えて待つか。


雑貨屋えびすのクランホームは、1階部分が店に改築されており、さまざまな生産職を抱えるあのクランは、そこに行けば大抵のものは揃うので便利なんだよな。



はい、何事もなく雑貨屋えびすでの買い物を済ませて、魔術士協会にほど近い宿屋で一室確保して、ログアウト休憩を挟んできました。


ちょっと、ログイン制限に引っ掛かりそうになってて焦りましたでござる。


買い物中はレストルームの件のお礼や、フレンド申請、ダンジョンの進捗状況など、そこそこ声を掛けられたのだが、ログイン制限の免罪符をフル活用できたおかげで、何事もなかったところがあった。


インして戻ってきた宿屋の一室で、さてと悩む。



「って、レストルームのお礼ってなんのことか分からなかったけど、あれか。ユズに教える時に配信使って教えたから、他のプレイヤーで視聴者がいたってことか」


「わたし達も買い物行きたかったー!」


「レンテだけずるいぞ!」


「ぼ、僕はどっちでも…」



テューラ達とのパーティは一応解散しているので、空いた枠にディーネ、シルフ、テネブの今日パーティを組んだ3人を召喚したのだが、二人ほど不満があるようだ。



「仕方ないだろ。お前達召喚したままじゃ、2時間で済ませられそうになかったんだから」


「ぶーぶー」



俺だけでも、イベントの真っ最中で殆どのプレイヤーがダンジョンに夢中だったのと、雑貨屋えびすのクランメンバーがそれとなく誘導してくれたおかげで抜け出せたが、聖霊王であるディーネ達が一緒にいたらもっとずっと時間を取られていたのは明白である。



「まあまあ、今度どこか異邦の旅人が居なそうなところ見て回ろうぜ。で、ちょっと話変わるけど、気になってたことがあって、ディーネ達は普段ダンジョンとか行ったりするのか?」


「約束だよ!えっと、ダンジョンだっけ?源泉維持の為にアイテム集めたい時とかには行くよ」


「美味しい食べ物があるダンジョンもいいよな!」


「レンテ達は、採取しないから、不思議に、思ってた」


「採取?」



薬草とかがダンジョン内でも採取できたのだろうか?


言われてみれば、薬草のような植物は少ないながらもあった気がする。時々見かけたキノコや苔ももしかしたら採取可能なアイテムだったのかもしれない。


というか、MLは基本殆どの所有権が確定していないアイテムはストレージに入れられるので、試しに採取してみればよかったな。


そこら辺の雑草でさえ、[雑草]として採取可能だ。この雑草が、正式に雑草というアイテム名なのか、俺が正式名称を知らないからなのか、なにか対応スキルが必要なのかは分からないが、使い道はなくとも一応採取できる。


完全に頭から抜けていた罠よ。



「採掘もできるんだぜ!オイラじゃツルハシでもないと無理だけど、ノームなら道具なくても採掘できるはずさ」


「採取も、採掘も、スキルがあれば、場所の判別付きやすい、よ」


「スキル持ってないと採取採掘に失敗するアイテムとかもあるし、そういうアイテムじゃなくても品質もちょっと下がっちゃうから、美味しいものを採取する時には必須のスキルだよ!」


「食いしん坊か!でもまあ、精霊宮殿に一次生産系の施設追加する予定だったし、今のうちに取得しておくか」



ってなると、ツルハシやシャベルなどの採取採掘に役立ちそうな道具類も欲しいところ。


さっき雑貨屋えびすで見繕って貰えばよかった…。


今聞いたのだから無理だと分かってはいるのだが、この二度手間感よ。



なんて、世間話やダンジョンについて話していると、ユズからフレンドコールが。


いよいよ、結果発表のお時間のようです!


あと10分で深夜0時なので、なかなかギリギリまで粘ったみたいだ。



「(もしもしお兄ちゃん、今どこにいるの?)」


「魔術士協会近くの黒熊の宿で部屋取って休んでた」


「(ダンジョン出たなら連絡してよ!メール送ったのに!)」


「え、メール?」



メールボックスを確認するとユズ以外からも大量の未確認メールがががが…。


すっかり忘れてた。


闘技大会で色々なプレイヤーとフレンド登録した後に、決勝後行方をくらます事にしたから、メールの通知オフったんだっけな。


これ、運営からのシステムメッセージなんかもオフになるから個別に…おっ、運営メッセだけ通知来るようにもでき、ても読まない気がするから今のままでいいや。


とはいえ、メールの内容からすると30分ほど前にはダンジョンを出ていた様子。


ちょうど俺がインしてきた直後だ。


フレンドであれば、フレンド欄からイン状況は確認できるので、もう少し俺がインしてくるのが遅ければ、ユズがログアウトして知らせに来るなりすれ違わなかったのかもしれないが、後の祭りだな。



「すまん、メールの通知オフってたわ」


「(可愛い妹からのメールはオンにしとかないと、全国の妹ファンから怒られるよ!)」


「それで、俺がそっち行けばいいか?」


「(無視!?まあ、いいや。わたし達がそっち行くから着いたら連絡するね!それじゃ、また後で!」



ずっとダンジョン探索で疲れているだろうに元気な奴。


それから数分もすると宿屋のオヤジが来客を知らせてくれた。オヤジは宿屋の名前通りの熊みたいな大男だ。


表通りにある宿屋、特に職業協会に近い宿屋は、どの時間帯でも対応してくれる冒険者向けの宿屋が揃っている。


この時間帯は食堂は酒場として営業しているのもあって、階下はなかなかの賑わいっぷりです。


オヤジに案内されるまま3階の大部屋へ。



「来たね、お兄ちゃん!」


「お兄さん、こんばんは〜」


「こんばんはです、レンテさん妖精さんは…」


「「兄者、こんばんは」


「こんばんは、レンテ」


「おっす、こんばんは」


「あっ、ユズだ!違った、ユズお姉ちゃん!」


「言い直さなくていいって…」


「キャー!ディーネちゃん会いたかったよ〜!」



ほら、いらん事言うから…。


どうやらここは、ユズパーティもこの宿屋にパーティで一室取ったようだ。


アイギス要望のフェアリーズは、場がもっと混沌とするので出しません!


配信の時はディーネ達の顔を見たがったユズをすげなくあしらったから連れて来たんだが、先に精霊界に帰っといてもらうべきだったかな。


ディーネに首ったけなユズは放っておいて、残りのユズのパーティメンバーに謝っておく。



「兄妹の勝負に巻き込んだ上に、さっきはメールに気づかず待たせたみたいですまんな」


「気にしてないから謝らないでいいよ〜、私達も宮廷料理食べたかったし!」


「レストルームの情報、すごく助かった。ありがとう」


「あれは勝負を平等にするためだから気にするなって」


「じゃあ、レンテも気にしないで」


「お、おう」


「にしし、お兄さんってば、すっかりレインの手のひらの上だね!」



うっさいやい!



「ほら、明日も早いしさっさと終わらせて寝たいんだから、戻ってこいユズ!」


「えー、いいじゃん、明日も頑張るための英気養わせてよ〜!恥ずかしいからって、わたしの大切な時間を奪わないで!」



しっかりこっちの会話にも耳を傾けてやがったか…。



「…ディーネ、ノーム達に明日は頼むって伝えといてくれ。シルフとテネブもまたな」


「え、うん。任せて!」


「『送還・ディーネ/シルフ/テネブラエ』」


「あーっ!?酷すぎるよ、お兄ちゃん!」


「言ってろ。で、何階層まで進んだんだよ」



早く終わらせて寝るのだ、異論は認めません!



「ぐぬぬぅ。今度ディーネちゃん達と遊ばせてよね!」


「分かったから、どこまで進んだか早く言えって」


「絶対だからね!?」



まあ、暇な時にディーネ達の許可が取れれば問題ないか。


セレスの協力か、場所を精霊界にするかの二択だが、空間妖精のワープゲートは秘中の秘なので、セレスの協力を取り付けないといけないけど。



「ごほんっ。わたし達パーティの到達階層は〜…」



無駄に溜めるユズ。



「ででんっ!34階層です!どう、凄いでしょ?」


「20階層スタートだったのに、そんなに進めたのか」


「そうなんだよね〜。もう少し早くレストルームの見分け方が分かってれば、何階層か上を目指せたと思うんだけどね。仕方なし!」



うちのパーティは俺以外が強すぎるのでヒョイヒョイ進めているが、ユズ達というかプレイヤーからしたら三十階層より上は確実に格上ゾーンだ。


そういう意味では、セレスにとってもオークチーフは格上だったはずなんだけどな。



「じゃあ、次はお兄ちゃんの番だよ!」


「ふっ、甘いなユズ。俺たちの到達階層は40階層だ!」


「くぅ〜、ワールドアナウンスはやっぱりお兄ちゃんかぁ…」


「宮廷料理はお預けか〜、残念!」


「私が大穴に落ちなければもしかしたら勝ててたかもですぅ」


「落ちてなくても、40階層までは間に合ってなかった」


「「流石兄者!」」


「じゃ、約束通り来週の晩飯当番はユズな」


「むぅ、仕方ないかぁ」



よかったよかった、これで一安心だな。


しかし、やっぱり匿名バレしている気配。もはや隠している意味があるのだろうか…。



「お兄さん、ひとつだけ質問いい?」


「ん、いいぞ」


「うちのパーティ、ちょっと変則的で盗賊3人いるからほとんどの罠は問題ないんだけど、大きな穴を超えるアスレあったでしょ?」


「ああ、嘆きの大穴な」


「そんな名称ついてるんだ。タンクとか重装備のキャラだと足元が崩れるギミックとかあったりして、それでアイギス落ちちゃったんだよね。何かあれの攻略法とかあったりしないかな?」


「へぇ、そんなギミックまで盛り込まれてたのか。うちのはちょっと参考にならないと思うぞ。そもそもタンクが居ないし、その上シルフに浮遊掛けてもらって空中を無理矢理進んでたからな」


「え、そんな攻略方法もありなの!?」



明日のパーティ編成にはシルフがいないので、何か攻略法を別で見出さないといけないな。



「他にはアスレの時だけ重い装備脱ぐとかしか思いつかないな」


「そっか、それしかないかな〜。でもありがと!何か参考に出来るような方法模索してみるよ!」


「大丈夫、良いこと思いついた」


「え、本当ですか!?もうあの大穴に落ちなくて済むんですか!?」


「た、多分。だから、揺らさないで」



レインの両肩を持ち、ガクガクと詰問するアイギス。


嘆きの大穴に落ちるのは相当恐怖を煽られるらしい。



「真っ暗闇の中、底無しの闇に落ちていくのも怖いですけど、その後一人でポツンと小部屋で待ってないといけないのも寂しいんですよぅ」


「ひとつ前のボス階層に戻るより、一回脱出して記憶の標で戻った方が早いって気づくまで、アイギスには寂しい思いさせちゃったもんね」


「それで一体どういう攻略方法なんですか?」


「最近やっと魔法が覚えられたから、それを使う」



なんと、レインは魔力操作を正統ムーブでの取得に成功していたようだ。


となると、レインは雷魔術を取得しているので、風魔術と土魔術は取得しているはずだが、もしかして浮遊を真似するのだろうか。


そこはかとなく失敗臭がするので、それはやめておいた方がいいような…。



ちょっと体調不良で頭が割れるように痛くて、思考がまとまらないので、もしかしたら明日の投稿ないかもしれませんm(_ _)m


皆様も体調管理にはお気をつけてくださいませ

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