表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/185

106/土

いつの間にか突破してた100万PVアザマス!


四十階層、ボス部屋。


なんというか攻略速度は、罠がより凶悪になって足を緩めることを強要されるので、今まで以上に時間を浪費してしまう…のだろうな、普通は。


想定と違う方向にシルフがチートです!


嘆きの大穴は空中浮遊でギミック無視攻略だし、状態異常系のガスや針、矢などは解除に失敗したとしても風で吹き散らす脳筋攻略だ。


それに加えて、テネブの耐状態異常魔術までもが後押しして、状態異常系の罠に対しては、我がパーティは無類の強さを誇っていると思う。


しかし、うちのパーティには回復役がいないという大き過ぎる欠点があるので、油断は禁物なのだが。


そして、脳筋攻略出来ない系の罠である振り子罠や、壁や天井が迫ってくる罠などは、テューラはフィジカルで、俺とセレスは精霊化で物理的な罠は透過という、ダンジョンも涙目のパワープレイだ。


ディーネ達に至っては、そもそも物理属性効かないらしいしな。


うちのパーティを罠に嵌めたきゃ、魔法属性も織り交ぜてこいやおらぁ!ってな感じなので、罠が物理オンリーな間はほぼ無敵編成となっていた。


それらのおかげもあって、攻略時間は伸びるどころか短縮しそうな勢いで進み、日付変更まで残り9時間を残した状態でボス部屋に辿り着いていた。



「ボスは〔オークチーフ〕、取り巻きは〔オークファイター〕12体ですね。どの個体もLV.60なので、イレギュラーではなさそうです、残念…」


「そんなのにホイホイ出てこられちゃ、たまったもんじゃないっての」



そういうのは、強いボスを楽しみにしている攻略組な彼ら彼女らに是非挑戦していただきたいところである。



「リーダー、作戦は?」


「もしかして、リーダーとは私のことですか?嫌ですよ、指示を出すより前で拳を交える方が性に合ってますので、辞退させて頂きます」


「いやいや、このパーティ結成だってお前が望んだことだろ。それに、今のところリーダー的な役割はテューラが担ってるんだし、適任じゃないか。なあ、セレス?」


「私ではないのでしたら、どちらでも構いませんわ」



なんて投げやりな…。



「では、私に良い考えがあります」


「取り敢えず言ってみろよ」



ロクでもないことを言い出した時の食い気味に却下する準備はできているからな!


それに何より、ディーネ達がオークシーフ共を押し留めてくれているので、早めに指針を決めないと。



「この戦闘で一番討伐数が多かった者がリーダーを指名出来るというのはどうですか?」


「乗った、フェアリーズ!妖精の輪!クー・シーは死の前兆!【精霊化】【絶望覇気】【英雄覇気】【一撃粉砕(魔)】!」


「フライングとはお行儀が悪いですね、レンテ。【魔人化】【過剰強化】『五重魔奏(クインテット)』『複写投影』【一撃粉砕(魔)】!」


「私だけ参加しないわけにも参りませんわね。【妖精の導き】【魔術付与】『ウィンドストーム』【掃射】『射法八節』【一射入魂】!」


この王女二人卑怯だ!


俺はこんなにもみんなの為にバフとデバフを振り撒いているというのに、自分のことしか強化してないぞ!


なにやら聞き慣れないスキルやら武技やら称号やら注ぎ込んで大人気ないとは思わんのかね!?


まあでも、モンスタールームのことを考えれば、ダンジョンが完全崩壊するようなことはないだろうし、多少削れるかもしれないが、ぶっ放しても問題無い!はず!


では行きます!せーの!



「『ディメンションストライク』!」


「蹂躙しなさい『紅龍』!」


「『魔弓技・アローレイン』ですわ!」



ちょ、ダンジョンとは言っても洞窟の中だぞ!?少しは自重しろよ!


紅龍って最近になってようやく、プレイヤーのトップ層にチラホラ現れ出した基本属性魔術LV.50で使えるようになる龍の名を関する現環境トップ火力ってやつだよな!?


それを10体同時って…。


耐久高いのと、せめて周辺被害抑える為に防御無視の空間指定魔術選んだ俺と違って、テューラの思考は力で押せ押せだったようです。


セレスもセレスだ。


一本の矢が無数に分裂し、弾幕が面となって襲い掛かり、着弾と同時にその無数の矢全てが暴風を振り撒くという。


テューラに負けず劣らずこっちもヤバい…。


ダンジョンの通路が広くなったように、ボス部屋もなかなかに広くなっているが、それでもこれはボスどころかボス部屋が明らかなオーバーキルです、ありがとうございます。



「フェアリーズ!残り2回分使っていいから反射してくれ!『エンチャント・ライト』!」


空間妖精にバフを盛るが、いかんせん時間が無さすぎて、焼け石に水なバフしか掛けてやれないのが悔やまれる人生でした…。



《【人魔ダンジョン】40階層ボス〔オークチーフ〕が 匿名 以下パーティにより初討伐されました》


〈【杖術】LV.10に上昇しました〉

〈【風魔術】LV.15に上昇しました〉

〈【水魔術】LV.15に上昇しました〉

〈【土魔術】LV.15に上昇しました〉

〈【光魔術】LV.15に上昇しました〉

〈【闇魔術】LV.15に上昇しました〉

〈【MP増加】LV.10に上昇しました〉

〈【魔物鑑定】LV.10に上昇しました〉


〈称号【無慈悲な心】を獲得しました〉



おお、今回のボス戦はなかなか豊作だな。


こまめにエンチャントは掛けていたんだが、漸く実ってくれたようだ。これで基本属性魔術が全てランスを使えるようになった。


闘技大会の時点でファイアランス最強!とか言われてたので、本当に遅れに遅れてることを実感する。


トップ層が魔術スキルLV.50に到達していることを考えると、ダブルどころかトリプルスコアという事実。


魔物鑑定も、鑑定結果が不明でも取り敢えず使い続けててよかった。もしかしたら、通常モンスターよりボスの方が経験値が多かったりしたのだろうか?


オークチーフがLV.60だったことを考えると、いつになったら鑑定可能になることやら。


称号【無慈悲な心】の効果はドロップ率補正(小)。


なんだろう。「ぐへへ、オメェの死体は余すところなく全て素材にしてやるゼェ!」とでも言いたいのだろうか?


ただのもったいない精神にしか見えない不思議。【物欲の心】にでも改名した方がいいんじゃないかな。


ネタにしか見えないから今のままでいいか。


と、目の前の惨状から現実逃避していたのだが、流石に目を向けざるを得ない。


三割り増しで広がってる気がするのだが、これ崩壊しないよな?ちゃんと修復しますよね?


いやいや、ダンジョンさんも無償で拡張できたわけだから大喜びしてくれてるよな!


あ、対価にオークチーフがやられてますかそうですか。すみません、必要経費です諦めてください。



「では、リーダーはレンテということで宜しいですね?」


「は?セントルム王国の第3王女様の目は節穴でございますか?誰がどう見ても俺が最大撃破だったろ。リーダーはテュー…いや、セレスだな!」



よくよく考えれば、こいつが主導権を握っていることで、危険な方向に突っ込んで行こうとしたときに、一歩対応が出遅れている…可能性がある。


うん、分かってる。


そもそも止められない、止める力がないことは百も承知の上で、せめてリーダーをセレスにしておくことで、ちょっとくらい抑止力になってもらおうという、雀の涙ほどの抵抗だ。



「え、私ですの?では、私はリーダーにテューラを指名致しますわ。つまり、三者共に一票ずつになってしまいましたので、これでまた競争できますわね!」


「いや、あー、うん。そうだな、よかったな…」



そうじゃないだろ!と言ってやりたかったが、こうも嬉しそうに顔を綻ばせられると、ちょっと口を挟みづらいというかですね。



「なるほど、そういう考え方もあるのですね。良いですよ、私がリーダーをーー」


「ダメです!同数票で結果は次回の対決に持ち越されました!」



相変わらず、普通に俺の思考回路を把握してそうなテューラだが、俺は既にその危険性に気がついてしまったのだ。


次は絶対に勝って、セレスをリーダーにしなければ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ