番いの話し
「そういえばコレ、どうするんだ?」
倒した森イノシシを見て問う
さすがに持ち運ぶのは無理そうだ
「あぁ、それは大丈夫だ。小さいけどマジックバック持ってるからな」
「マジックバック?」
「収納の魔法がかけられた鞄で、小さい物から大きな物まで、沢山入る鞄です」
「へぇ、でもそれって高いんじゃないの」
「普通は高いよ。けど、オヤジ達が昔使ってたのをくれたんだ」
「そっか。優しい両親だな」
「そうだろ。えへへ」
照れくさそうに、はにかんだ笑みをみせるタケミナ
男なのにかわいいな
「いつかオヤジ達に番いができたって報告しないとな」
逸らしていた現実に戻された
そういえば…
「そういや聞きたいんだけど、同性の番いって珍しくないか?」
マジックバックに森イノシシを入れているタケミナへ気になった事を聞いてみた
同性カップルっているんだろうか
「いや、俺の集落でもかなりいたよ」
「そうですね。ボクの里でも結構いましたね」
「あれ、そうなの?結構珍しいと思ったんだが」
「別に珍しくもないな。国も認めてるくらいだし。まぁ、後は部族間での決まりとか、色々あるけどな」
「もちろん、無理やりとか同意のない婚姻などはみとめられませんよ」
「へぇ。…今回の俺の場合は?」
「アレはオレの部族の決まりを知らなかったとはいえ、触ったお前が悪い」
「でも、命まで取ることは」
「オレの里で玉宝は子供が生まれるための神聖な物なんだ。だからそれに番い以外が触れる事は穢れた行為とされているから、命を持って償わなきゃいけないんだ」
「そ、そうなんすね…」
「それに、オレ達の種族には偶然はなく、それは運命とか必然みたいな考え方だから、俺達の場合は運命だ」
「そ、そすか」
「ぼ、ボク達の出会いもきっと運命ですよ!」
「そ、そだね…あれ? でもエリアは俺の手を持って…」
ほぼ無理矢理触らされたっぽい感じが…
「め、迷惑でしたか?」
上目遣い+涙目で俺を見てくるエリア
やめろ、そんな目で俺を見るな。罪悪感がハンパない
「い、イヤジャナイデス」
「よ、よかった~」
目の端に涙を浮かべながら、嬉しそうな笑顔を見せるエリア
かわいくてもコイツ男だから、なんとも言えない気持ちになるな
「よし、森イノシシ入ったぞ」
少し時間がかかったがマジックバックになんとか入ったようだ
「じゃあ、町に帰るか」
なんか色んな事に疲れながら帰路につくのだった