ギルドで登録をする
森の中を進んで町を目指す
森と言っても木がまばらに多いだけで、暗かったり迷ったりすることはない
しばらく進むとモンスターに出会うかもと少し身構えていたが、たまたま運がよかったようで、何事もなく森を抜けることができた
森を抜けた先には大きな壁に囲まれた町があった
入口らしき所に人の列ができており、そこの最後尾へ並ぶ
あまり時間もかからず、自分の番が回ってきた
「ようこそ。身分を証明できるものはありますか?」
「すみません、持っていません」
「なるほど。では、こちらに手をお願いします」
門番は近くに置いていた水晶玉を差し出してきた
何も言われなかったが、意外と持っていない人もいるんだろうか?
何はともあれ、差し出された水晶玉に手を置くと、水晶玉は白色に輝いた
「犯罪の履歴はないですね。ようこそロートの町へ。通行料は銀貨3枚です」
どうやら犯罪者か調べる魔法の道具だったらしい。さすがファンタジーな世界だ。
革袋から銀貨を取り出して払う
「すみません、身分を証明する物はどこで手に入りますか?」
「住民票ならここを真っすぐ行った所にある大きな建物が役所になっていますので、そこで手続きをすれば手に入ります」
異世界にも住民票ってあるんだな・・・
「ギルドカードなら、役所の向かって右が冒険者ギルド、左が商人ギルドになっているので、そこで手続きをすれば手に入ります」
「分かりました、ありがとうございます」
門番にお礼を言って、町に入る
中はそこそこ賑わっており、結構な数の人が通り過ぎていく
建物や道はレンガ造りで、よくあるファンタジー世界まんまだ
門番に教えてもらった通りに真っすぐ進んでいく
しばらくすると門番が言っていた大きい建物が見えてきた
「この建物の右側だったな」
冒険者ギルドの中に入る。中は依頼が貼られているボード、雑談できるよう配置された丸机と椅子、受付嬢がいるカウンターがある
よく見るギルドまんまで、少し感動に震えそうだ
中にはあまり人がおらず、席にちらほらと人が座っているくらいだ
昼過ぎだから、皆クエストにでも行っているんだろうか?
小説等でよくあるような絡んでくる人もいない
初ギルドでの恒例イベントがあるかと思ったが…まぁ、実際に絡まれたら面倒だし良かったかな?
カウンターには誰も並んでいなかったので、受付嬢に声をかける
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
おう…少し中性的な感じの声だが、十分にかわいい
「ええと、登録をしたいんですが」
「登録ですね。住民票はお持ちですか?」
「いえ、持ってないです」
「分かりました。ではこちらのシートに記入をお願いします」
渡されたシートを見る。転移の影響か文字は読めるので、書くこともできそうだ
書く内容は名前とか簡単な必要事項だ。こんなんでいいのか?
種族か…人間よりはヒューマンの方がいいかな?
出身…出身かぁ…それっぽく書いとこう
【名】ヨースケ
【職】侍
【種族】ヒューマン
【出身】ヤマト
こんなもんかな?
「できました」
「はい、お預かりします」
用紙を手渡すと、受付嬢は近くの箱に入れた。あれも魔道具か?
少しすると箱の側面からカードが出てきた
「お待たせしました。こちらがギルドカードになります。再発行には金貨5枚かかりますので注意してくださいね」
「はい、ありがとうございます」
金貨5枚って結構するな…そりゃ、なくさないよう注意もするか
受け取ったカードにはさっき書いた項目に加えて、【ランク F】と書かれた項目があった。これがギルドランクだろう
「依頼はあちらの掲示板にランクごとに分けて貼っています。決まったらこちらまでお願いします」
「はい、分かりました」
Fランクの掲示板を見ると結構依頼が残っている
折角だしなにか受けてみようかな