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7. 魔術の、才能!

 早朝。


 魔術を使うのがあまりにも楽しみだった俺は、いつもより早く起きた。

 どこで練習をしようか。

 庭がいいかな?


「よし、行こう!」


 と思ったのだが、部屋がノックされた。

 誰だこんな朝早くに。


「はーい」


 開けると、そこにはシノンがいた。

 相変わらず可愛らしい姿だ。


「おはよう」

「おはよ。どうしたんだ?」

「これ」


 シノンが渡してきたのは分厚い本だった。

 ページをめくると、人間の言語でかかれた魔術教本だということが分かった。


「え、人間の言語の魔術教本あったんだ」

「い、いや違う。僕の手作り……だよ」


 なん、だと?


「え、一日で?! 俺のために作ってくれたのか??」

「うん。エルフ語は難しいからと思って……」


 とても嬉しかった。

 だが同時に申し訳なかった。

 《プロビデンスの目》を使えば人間の言語に翻訳することが可能だということに気づいてしまったからだ。


 このページ量を、一日で作るなんて大変だっただろうに。


「ありがとう! すごく嬉しいよ。仮を作ってしまったな」

「か、仮だなんて思ってない」

「本当にありがとうな!!」 


 頭を撫でてやる。

 手が猫耳が当たると体をビクつかせて可愛い。


 シノンの顔は真っ赤になる。


「お前、そんな表情するんだな」

「さ、触るなぁ!!」


 シノンは、バカっ、と呟いて走ってどこかへ行ってしまった。


「あいつ、いい奴じゃなねぇか」


 俺はシノンの魔術教本を持って庭に出た。




 いつもの大きな木の下に座り、魔術教法を読んでいく。


『魔術の発動には体内のマナを使用するか、空気中の魔素を使用する二つがある』


「ほうほう」


 これは興味深い。

 マナというのは恐らくMPのことだろう。


 魔素については……今は触れないようだ。



『マナは体を構成している一部と考えていい。証拠として、マナを全て消費してしまうと死亡するリスクがある』


 え、マジ?

 魔術を使って死亡なんてすることがあるのか。


 俺はMP20しかないから、気をつけなければ……。



『魔術を使う前に、自分自身の属性を見極める必要がある。属性は標準属性、偏差属性、特殊属性の三つに分かれる。試しに標準属性の《火、水、風、光、闇》を一つづつ試してもらいたい』


 次のページを開くと、魔術の発動に必要な詠唱と情報が書かれていた。


「よっしゃ、やってみるか」


 俺は立ち上がり、火属性の魔術を試す。


「えーっと、ファイア」


 すると、俺の手には火が宿った。


「うぉぉぉ、すげぇぇぇ。あっつ!!」


 ということは、俺は火属性なのか。

 

 カッコいいじゃないか、いつかあのクズ勇者パレオの骨を焼き尽くしてやろう。

 フハハハハ、楽しみだ。


「念のため、他の魔術も試してみるか」


 魔術の属性は一人一つが基本らしい。

 しかし一億人に一人の確率で、二つの属性を使える奴がいるようだ。

 元仲間の魔術師、ファステルがそうだった。



 ――そうして五つの属性の魔術を試したが、全て使えた。


「あれ俺の属性って……」


 すると向こうから手を振りながらミアが走ってきた。

 そのままミアは俺に飛びついてきて押し倒された。


「お、おいミア。どうしたんだ」

「すごい、すごいですアディス様! 神話の時代から現在に至るまでに、五つの属性を使えた者は一人もいないんですよ!」


 こ、こいつ俺が魔術を使っているところを見ていたのか。


「それってミアが驚くほどすごいことなのか?」

「はい、もちろんです!! 羨ましいです……」


 ほほう、ミア羨ましがるほどなのか。




 月日が経つのは早いもので、それから二か月が経過した。


 初めは魔術教本を何回も読むことによって基礎を固め、ミアと同じ属性の魔術で獲得できないのがあったら尋ねた。



「なぁミア。この魔術、何回練習しても使えないのだが」


俺は魔術教本のとあるページを見せる。



魔術名クレオビス

セカンド・マギア。

闇の光で物体を腐らせる。



「え、えぇ!?もうファースト・マギアの魔術を使用できるようになったんですか?」

「ああ。一応五つの属性全てファースト・マギアまでなら使える」


 マギアとは、魔術の威力を表す階位のことだ。10段階存在する。

10に近づくほど魔術の威力が強く、獲得が難しい。


「す、すごい。やっぱりアディス様は魔術の才能があるんですよ!ミア嬉しいです」


何故ここまでミアは喜んでいるんだろうか?


後で知ったのだが、通常ファーストマギアの魔術をマスターするのは三年かかるらしい。

それに比べ、どうやら俺はありえないぐらいのスピードのようだ。


「この魔術はリラックスがとても重要です。体の力を抜いてください」

「わかった、やってみる」


体全身の力を抜く。


「いい感じです!そのまま、手のひらにマナを集めてください」


手の平にマナを集める?

いや、何それ。どうやってやるんだよ。


俺が悩んでいると、ミアが微笑みながらこんなことを言い出した。


「アディス様は、嫌な思い出とかありますか?」

「もちろんあるさ」


クソ勇者と愉快な仲間たちとの俺の思い出がな。


「身体中に散りばったその思い出を、手に集めるイメージをしてみてください」

「分かった」


目を瞑る。


集中するんだ。

あのクソ勇者には何をされた??

騙され、利用され、殴られ、殺されかけた。

挙句の果てに高いお金を出して買った家まで燃やされた。


復讐をしたい。


この思いを、俺は手に集めていく。


「アディス様!」

「……」

「あ、あ、アディス様!!」

「おっとごめん、集中してて――」


目を開くと、明らかに邪悪な気を感じるサッカーボールぐらいの大きさの光が手の上で輝いていた。


「成功か?」

「わわ、わわわ!」


ミアは焦っている目をしている。


俺は油断して光を地面に落としてしまった。

すると草と花、そして木が一気に黒くなり溶け始めた。



一部始終を見ていたメイドは、声をあげる。


「や、やっちまった」

「やりましたやりました!アディス様流石です!」


焦るメイドとは逆に、ミアはとても喜んでいた。

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