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1. 追放、そして魔王に拾われる!


 俺の名前はアディス。18歳童貞

現在同じパーティの暑苦しい男三人に、ダンジョンで囲まれている。


「悪いなアディス。お前を俺のパーティから追放する」


 このパーティに入ってから数日にして、勇者にそう告げられた。

 俺をあざ笑うこの金髪の男。

 彼こそが魔王を倒すことを目的とする数々の勇者の一人だ。


「な、何故ですパレオ様! 俺は――」

「黙れよ、ゴミが」


 勇者の後ろにいた弓使いが殴りかかってきて、俺は数メートル吹っ飛んだ。


「ハッハッハ、何故かって? アディスのギフトがゴミだからに決まっているだろ」


 ギフトとは、全員が生まれながらに持つスキルのことだ。

人生に多大なる影響を及ぼす才能とも言えるだろう。


 つまるところ、生まれた時から勝ち組か負け組かが決まっているわけだ。


 残酷だよな、世界って。


「ステータスの確認しかできない無能と、パレオ様が冒険をするわけがないじゃないですかぁ」

「まぁアディスは自分が利用されていたことすらも気づかない程の愚か者だもんな」

「そ、そんな……」


 魔法使いはニヤニヤしながら気持ち悪い目でこちらを見てくる。


(勇者パレオ……まさかこんな奴だなんて思っていなかった)


 確かに、俺以外の三人のギフトは優秀だ。

 思わず自分のギフトを使って、三人のギフトの詳細を視界に表示させてしまう。



―――――――――――――――――


 【パレオ】(勇者)

 スキル名:ブレイブ・フォリエンス

 詳細  :闇を消滅させる聖なる力を剣に宿す。オートスキル。


 【テレア】(弓使い)

 スキル名:ロボブ・スペイス

 詳細  :空間をある程度捻じ曲げ、自分の時を遅らせるスキル。


 【ファステル】(魔法使い)

 スキル名:ミキスト・マジック

 詳細  :混合魔術の使用を可能にする。



―――――――――――――――――



 は?


 特に弓使いテレアのギフトとおかしいだろ。こんなんチートじゃねぇか。

 それに比べて俺は……。



―――――――――――――――――


 【アディス】(俺)

 ギフト名:プロビデンスの目

 詳細  :対象の情報を抜き取り、まとめる。


―――――――――――――――――



 ステータスの確認しか不可能なスキルだもんなぁ。

 ……はぁ、人生受精卵からやり直したいもんだ。



「ここは超高難易度ダンジョンの最下層、俺抜きじゃあ生きて帰れないだろう。アディス、お前をここに捨てていく」

「え、はい? 嘘ですよね?? 俺死んじゃいますよ!?」

「へへ、パレオ様。焦ってますぜ、コイツ」

「面白れぇ」


 テレアとファステルは俺を馬鹿にしてくる。

 最悪だ。

 仲良くなれたと思ったのに……。


「ゴミを仲間にして、しばらく旅をする。後にゴミを適当に殺して悲劇の勇者を気取りながら魔王を倒せば俺は伝説の勇者だ」


 ここで言うゴミとは無論、俺のことだ。


 脳裏には、ある一文字の言葉が浮かび上がる。

 死だ。


「ボーっとしてじゃねぇよ!」

「ぐハッ……」


 今度は魔法使いファステルに胸倉を捕まれ、地面に叩きつけられた。


 俺たちの魔王を倒すための楽しい旅は……お前らが俺に向けた笑顔は偽物だったのか?


「ハッハッハ、こいつマジで面白れぇ」

「ふ。じゃあな、アディス。精々あがけ」


 そういってパレオはダンジョンの出口に向かって歩き始める。

 そして俺を背を向け手を振って来た。 


 やばい、おいていかれる。

 この場所に残れば俺は確実に死ぬ。


勇者パレオの足にしがみついた。


「……ん?」

「なんでもしますから、どうかお助けを!!」

「じゃあ靴を舐めろ」


 うえ、マジかよパレオ。

お前そんな趣味があったのか。


 ――いや、覚悟を決めるんだアディス。

ここで舐めなきゃ死ぬんだぞ。


「ぺろぺ――」

「気持ちわりぃんだよ! 死ね!!」


 頭をグリグリと踏まれ、地面と顔が擦れる。

 多分今の俺の顔面はぐちゃぐちゃだろう。


 そうして、俺は勇者パーティから追放され捨てられた。




 血だらけの身体で必死に歩いて3分が立った。


 もう俺の体力は限界だった。


「クソ……クソクソクソ。パレオめ、ぜってぇ許さねぇ。絶対呪ってやる」

「ギュルルルルルルル……」


 低温の鳴き声がしたので、後ろへ振り向く。

 そこには、禍々しい牙を生やしたライオンのような見た目の魔獣がいた。


 涎がタポタポ垂れている。


「そんなに俺のことが食いたいのか」


 俺は死を覚悟し、両手を広げた。


「いいぞ……味わえ」


 最後ぐらい笑おう。

 微笑む。しかし涙が零れる。


 次の瞬間、俺の体に衝撃が走り、意識が糸のようにプツンと切れた。






気づくと、知らない美しい天井が目に映った。


「ん、んん……?」


 俺、生きてる?

 いや、もしかすると転生したのかも?!


 そう期待をするが、見慣れた手を見て落ち込む。


(なんだよ、つまんねぇの)


 どうやら俺はふかふかなベッドの上にいるようだが……。


「ここは……」

「起きましたか~」

「うわあぁぁぁぁ!!」


 吐息交じりの生暖かい声が耳に当たり、俺はベッドから飛び起きる。


「だ、だだだだ誰だお前!」

「ふふ、耳。くすぐったかたったんですか?」


 金髪でサラサラとした長い髪の美少女が笑顔で布団の上に女の子座りをしていた。


 耳の後ろの髪を少し使って、三つ編みをしている。

 透き通った水色の瞳で、とても小柄だ。


「えぇと、何歳?」


 おっとしまった。可愛すぎて名前より先に年齢を聞いてしまった。


「あ、え? はい。15歳ですよ」


 戸惑いながらも、答えてくれる。


 15歳かぁ、可愛いなぁ!

 胸もちょうどいい大きさで美形。いい体つきだ。

 服もどうやらこの子の体の特徴を生かして作られているみたい。

 うん、露出度高くていい感じ!


「あ、あまり見ないでくださいよぉ……」

「ごめん」


 美少女は顔を赤らめながら胸を隠す。

 やっちまった。


「……えっと、貴方はいくつですか?……名前は?」

「俺はアディス、18歳だ」


 すると嬉しそうに美少女は微笑む。

おっと、この子の名前を聞いてなかったな。


「君の名前は?」


 見た感じ、かなり高そうな部屋だが……。

 貴族かな?


「ミアはミアです」


 笑顔で首をちょこんと傾げる。

 んー、ミアちゃんかぁ!

 食べちゃいたい程可愛らしい自己紹介だね。


 続けて衝撃的な事を、ミアちゃんは俺に告げる。


「ミアは魔王です」


「……へ?」

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