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何? この状況?

ここは前話と比べて文量が多いので読み難かったらすいません。

 俺はさっきベッドに入って寝た。ここまでは覚えてる。でも起きたっけ? これ夢か? でもなんかリアリティだけはやけに高いし、夢だとしても夢って認識することなんて珍しいし、え? 待ってまじでどゆこと?


 そんなことを考え、辺りを見渡していると……


「新手か!?」

「貴様は誰だ!? 人間か?」


 新手? 人間? 新手ってなんだ? 敵かは知らんが人間だっつーの。見れば分かるだろ。目玉ついてねーのかよ。てか鎧着てる人達はどうしてこんなに殺気だってんの?


「関係ない! こいつも組織の仲間だ! 殺せ!」


 なんか物騒なこと言ってんだけど!? これって逃げ場ある? えー……穏便にすみませんか? 状況わからないんだけど? 


 扉側にいる者達は今にも襲いかかろうとしている。どうすれば逃げれるかを考えていると、逆側からも声をかけられる。


「貴殿! 我らと一緒に戦ってくれないか!?」

「助かりたければ我らと戦ってくれ!」

「お前ら!? 誰とも分からぬ者に何を言っているんだ!」


 すいません。まず状況を教えてください。でもどうしよう……。よし! 一旦こんな挟まれてる所から移動しよう!


 そして、壁に向かって走り出した。当然すぐその場から離れようとしたら全力で走る者が多いであろう。彼も例外ではない。そんな彼が走り出した瞬間……盛大に壁にぶつかってしまった。


 きっと、その光景を見ていた者は、何が起きたと誰しもが思ったであろう。しかし、当の本人は……


「イテー!! 意味わかんねーよ!? 誰か教えろよ!」


 嘆きたい! 嘆いてる! なんで!? 今一瞬で壁にぶつかったんだけど!? 駄目だ。まず頭を整理しよう。ちょうど誰も動こうとしてないし……、注目されまくっているような気がするが、きっと気のせいだろう。うん、気のせいだ。気のせいなんだ……。


 そうして俺は、こんな今にも攻撃されてもおかしくない状況で頭の整理を始める。普通に考えて、バカだと思う。というか頭オカシイ。しかし、そんなことも考えられない程に混乱していた。でもそんなことをしていて、周りが待ってくれるはずもないよね……。


「一人二人増えた所で関係ない! とにかく殺せ! 何があろうとも、あの化物を殺すんだ!」

「殺させるか! 何がなんでも! 命に代えても殺させるな!」


 そんなことを互いに叫びながら距離がどんどん縮まり、数回の剣戟の音が響くが、しかし、圧倒的な人数差があるため、すぐにでも勝敗が決まる……そんなことを考える者が多いだろう。だが実際は、叫んではいるものの、突如としてガラスのような透明感が強い壁が発生した。その壁に対して剣や槍、弓などで攻撃を繰り返す。


「クソッ! 防壁の仕掛けでも発動させたのか」

「貴様らに壊せるはずがない。頑丈だけが取り柄の仕掛けだ」


 俺は、運が良いのかは分からないが少人数側にいる。壁が真横だけど……これがもし、体の真ん中に出てたらどうなってたんだ?……それを考えるのはよそう。それよりも現状だ。


 まず先にココどこ? わからない。次に現状は? 殺し合い……いや、数的に虐殺のようなものが行われてる? それが現状。俺の頭は? パニックしてる。


 頭が混乱している理由で感覚がいつもと違うのもある。なんか研ぎ澄まされているっていうか、なんか色々とわからない。例えるなら、五感だけじゃなくてそれよりも、もっとある感じ? うん、例えになってない!


 よし、次だ!

 周囲の状況は? 鎧の人達は、相変わらず殺気立って防壁だっけ? の向こう側にいて防壁を叩いてる。もう一方は、あれ? よく見たら拘束されている囚人っぽいのがいる。頭と体が布か何かで巻かれ、その上から縛られている。顔もアイマスクのような物と口付近も何か巻かれている。

 囚人に対して何かやってるけど、こっちなら話せるかな? そんなことを思い、近づきながら話しかけてみることにした。


「すいませーん。ここどこですか?」


 ――!!


 話しかけただけなのに、こいつらも殺気立ち始めたんだけど……。てかさっき共闘しようみたいに言ってたよな!?

 何もしてないのに。ここがどこか教えて欲しいのになんで?

 これ以上近づくと何かされそうなので、近づくのはやめよう。だけど、注射器? みたいなものを持ってたな。それをいきなり……囚人に刺した!? 何する気だ?

 そんなことを考えていると、急に囚人がのたうち回り始めた様に見える。そのせいか頭に被せてある布がずれる。そこから、白黒? 黒白? どっちが正しいか分からないメッシュの入った少し長めの髪が乱れ出る。


 その髪の長さから、女性を彷彿とさせる。そのせいか、どことは言わないが膨らみがあるように見えてきた。でも苦しんでいるように見えるけど大丈夫かな?


「おい、これ以上は投与しすぎだ」

「しかし、ここで殺されるよりは可能性があるだろ」

「そんなの事はどうでもいい。それよりも一人だけこちら側に来ているぞ」

「もっと投与したらどうなるんだろう。ここまでの素材が限界を超えたらどうなるのか試したい」


 研究員同士で話してる(1人、なんか話に混ざってないやついるけど)のはいいけどさ、拘束されている人が見てて痛々しいだけど、楽してやらないの?


 どうしたものかと見ていたら、囚人に何本も注射していたが急に慌て始めたんだけど。なんだどうしたとそのまま観察していると。


「貴様は馬鹿か! これ以上は素材が持たないだろ」

「まだ、限界じゃない。まだいける」

「ふざけるな! それ以上投与するな。制御ができなくなるだろ」

「我々は、アーカ様に成果を見せるのだ。それなのに貴様はこの成果を無くす気か?」

「成果? これを成果というのか? 成果とは成功した結果ではないのか? アーカだろうが誰だろうが知らん。こんな成功してもいないものを誰かに見せるなど納得いかん」


 なんか言い合いを始めたんだが。後ろの囚人の拘束具っぽいのが外れて……いや、引きちぎれ始めてるけど大丈夫かな?


 そんな考えを否定するかの様に、ある程度自由になった体で暴れ始める。しかし、顔にはまだ目隠しなどがあるため、目は見えてない。

 暴れ始める瞬間には、すぐ危険を察知した研究員は離れていた。


「貴様の所為で暴走し始めたではないか! ここで全員殺す気か!」


 罵声が一人の研究員に集中するが、言われている本人はどこ吹く風の如く自分の世界に入っているようだ。


「ここでこれを失うと我々の命も危ない。全員、レベル9の使用を許可する。あれを最悪でも最低げ……」


 責任者っぽいことを言っているが、言っている途中で囚人から放たれたビームで塵も残らずに消えたけど。ん? え? 消えた?


 囚人は、一人を消すと近くにいる標的へと駆け出して行く。


「来るな! もう駄目だ! ころ……」


 研究員は言葉が言い終わる前に、頭が吹き飛んだ。

 その光景を目の当たりにし、俺は腰を抜かしてしまった。それでも離れようと後退りをする。

 一人、また一人と体の一部が吹き飛び、囚人の付近一帯が血の海になった。

 次は自分が殺されるのかと思った。しかし、こっちではなく鎧を着た集団の方を向いていた。


 少しその事に安堵はしたがどうすれば良いか分からず結局、壁まで後ずさっていた。そして、そのまま壁を利用して立ち上がる。


 どうしよう。このままでいたら確実に殺される。逃げるにしても鎧の集団を超えなければ、扉までたどり着けない。あんな人数を相手に一人で突貫とか馬鹿でも考えないと思う。

 現実的にあり得るのがあの囚人が鎧を着た人達を蹴散らして、そのままこっちを気にせずにここから出て行く。

 もう一つは確率は低いが隙を突いて全力で逃げる。こっちは、まず現在地が分からない。そして今いる建造物の間取りも分からないが、運があれば逃げれる。

 どっちにしろ、運の問題か……。囚人がやたら強いのは見ていれば分かる。

 だって防壁を突き破って、暴れまわって、全身に血の雨を浴び続けているもん。怖いんだよ。目は見えてないはずだよな?

 あっ、そうだ! あの囚人にタックルすればいいんじゃね? 足が早くなってるっぽいし、なんとかなるんじゃね?


 あとで思うが、こんな考えを実行するとか、キチガイ過ぎるだろ……。


 タックルするとしても隙を突かなきゃ絶対当たらないよな。そう思い、隙を伺っていた。そして、玉座の後ろ側に隠れようと移動をしていた。

 その間、鎧を着た者達は、その数が急激に減っていた。謁見の間には、悲鳴と肉が引きちぎれる異様な音、そしてビチャビチャと液体が床を染め上げる音が響き続ける。


 あれ? これってなんだ? スイッチみたいなのが椅子の後ろにある。爆破スイッチでもないだろうし。押したら状況が良くなったり?


 玉座の後ろまで行き、隙を伺おうとしていた時に見つけたスイッチだ。

 こんなスイッチを見つけて、押さずにいられる人ってどの位いるのだろう。押さずにはいられない! 希望の光だ!


 押そうしていると、ダダダッとこちらに近づいてくる音が聞こえてくる。その音を確認するために、玉座の後ろから顔を覗かせると……眼前に囚人の鉄臭い顔があった。


 その顔には血走った右目が見えていた。先ほど暴れていた所為か、アイマスクの様な物の右半分が壊れていた。


 怖さのあまり、体に力が入る。自然とスイッチに添えていた手にも力が入り、ポチッという音が聞こえる。


 その瞬間……俺の首に囚人の両手が巻きつく。両手には血管が浮き出るほどに力が込められていた。


 この時に、思ったのは、首がへし折られて死ぬ。そんなことを思い目を瞑っていた。人は誰しも恐怖を前にすると自然と目を瞑る。俺もそうだ。しかし、耳にどんな状況だろうと嫌でも聞こえるくらいに爆破音が聞こえる。


 そして次に目を開けた時には、囚人が横に倒れる所と地底湖がそこにあった。


誤字脱字の報告はいつでもウェルカムです。

次は08/29の20時投稿予定

2020/08/22

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