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3 侯爵令嬢は、訳ありのご様子。

「……ごめんなさいね」


 ディートリンデは謝った。その仕草もまるでおとぎ話の主人公のように可憐だ。


「ここには静養に来たの。結婚式の前に、すこしでもこの体が良くなるようにと思って」

「この森は大木の精霊が住むところだからね、王都よりは良い気に満ちていると思うよ」

 ナックが微笑んだ。

「あの矢はナックさんが?」

「ナックでいいよ」


 さん付けにくすぐったそうにナックは笑った。そして、すぐに真剣な面持(おもも)ちになる。


「あのアイネマウズはおかしいよ。この森は豊かだから、獣が人を襲うことなんてほとんど無いはずなのに」

「私たちは子どもの頃から森に訪れていますが、アイネマウズは本来、気の優しい獣です」


 (いぶか)しむ二人を前に、ディートリンデは顔を曇らせた。


「そう……ですか。やはり」


 彼女は納得した様子だった。


「やはり、というと?」とイルザが問うた。


「国の王子さまと婚約してからというもの、わたくしの周りでおかしなことが続いているのです。……実は、わたくしの前に王子フォルクハルトさまと婚約していた御方も謎の死を()げていて」

「そんなことが……!?」

 ナックも驚く。

「……話の続きは私の城でお伺いしましょう。ここだと、またおかしな襲撃があるかもしれない」

 話を区切り、イルザは御者台に乗り込んだ。

「城までご案内致します」

「それは……ありがとうございます。イルザさんは頼もしい方ですね」

「はは、私もイルザとお呼びください。それでは行きましょう!」


 馬車は態勢を立て直し、一路カミーレの城へと向かった。


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