表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/24

18 ナックたちの反攻、始まる。

「分かったよ、イルザ姉ちゃん!」


 王都ゾンネンブルーメに向かっていたナックは事の次第を知った。数日をとにかく急ぎ、ゾンネンブルーメに到着する。


 再び「風の伝言」を使い、ナックはフォルクハルトとイルザの準備が整ったことを確認した。


 そして彼が王都に入ると、街はアードラーの兵士たちで溢れかえっていた。


 街の者に話を聞けば、突如アードラーの兵が王都を襲い、フォルクハルトとディートリンデを人質に、王権を譲るよう迫ったと言う。


「王さまはお優しい方だからねえ。ご貴族さまのお屋敷に蟄居(ちっきょ)させられたらしいよ」


 街の者は痛ましげな表情を浮かべていた。


「アードラーはひどいね! ハーズ国も、あの国に支配されることになったらしいよ」


 そっとナックが街の者に言う。


「本当かい……?」

「それとね、朗報がひとつあるんだ。アードラーで捕らわれの身となったフォルクハルトさまだけど、逃げだしたんだって」

「そうなのかい……!?」

「ハーズ国か、ここゾンネンブルーメに逃げてくるらしいよ」

「そうかい! 王子さまが戻られたら、アードラーに一泡吹かせてやらなくちゃね」

「それより、いいアイディアがあるよ!」

「何だい?」

「街のひとたちみんなで、フォルクハルトさまがここにいる、あそこにいるってガセネタをアードラーの奴らに流すんだ。本当のフォルクハルトさまが見つからないためにね」

「そりゃ面白い! ゾンネンブルーメに住んでいるのは、王さまや王子さまには世話になっている者がほとんどだ。力になるよ!」

「ありがとう!」


 この話は、たちまちのうち、街に広がった。

 アードラーの兵たちは、街の者たちが、フォルクハルトさまはあそこにいる、いいやあっちだと言われるたびに兵を差し向け、徒労(とろう)に終わることとなった。


(あとは、アードラーで僕の一族と合流しなくちゃ!)


 ナックは「風の伝言」で本当のことをエルフの長である父に告げ、エルフの一団を即座に送りだしてもらった。

 

 ナックもエルフたちも、素早く移動した。


 そしてついにアードラーを囲む森にひっそりと待機し、イルザの「風の伝言」を待つばかりとなったのだった。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ