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  作者: 冬と珈琲
第1章
3/13

私と学校

第2話です。

どうぞ。

意識が戻ると、もう朝だった。


(今何時なんだろう?)


近くに置いてあるデジタル時計を見るとそこに8:09と表示されていた。


「ち、遅刻する!?」


時間を確認した私は、朝ご飯や歯磨きも済まさずに制服に着替えると大急ぎで家を出た。



「すいません!遅刻してしまいました!!」


結局、学校には遅刻してしまった。ならせめて反省していますというのを態度で示そうと教室の扉を開けると共に謝罪の言葉を言う。


「え、ちょっと、何あれ、、、、。」

「うえ、グロ、、、。」


どうしたのだろうか。クラスでも浮いた存在な私が遅刻し、教室に入ってきたのだから何かしら言われるか笑われるかはされると思っていたが予想に反し皆こっちを見て青ざめている。


「お前、その顔はどうした。」

「顔がどうかしたんですか?」

「気づいてないのか、、、。ちょっと、生徒指導室に来なさい。」


そう言うと、担任の先生はホームルームの途中なのに私を生徒指導室へと連れていった。



生徒指導室に着くとまず私は先生に鏡を手渡された。


「ほら、まずは自分がどんな顔になっているのか見てみなさい。」


言われた通りに手渡された鏡で自分の顔を見てみる。


「あ、、、、。」


そこには、瞼と口は青く腫れ、ペンキを落とされたように真っ赤になった頭のところどころに10円サイズのハゲができている私の姿が写し出されていた。


(遅刻しそうで、忘れてた。)


私は、昨日珍しく母に顔や腕を殴られたのだということを思い出した。


「で、お前はどうしてそんな顔になったんだ?」

「えっ、、あの、そのこれは、、、。」

「言えないのか?そしたら、親御さんに電話することになるが。」

「い、いやです!やめてください!!」


そんなことをすれば、母はまたヒステリックになってしまう。


「、、、はぁ、まぁいい。だが、そのまま教室に行かれても問題になる。保健室に行って手当してもらえ。」

「はい。ありがとうございます。」


なぜかは分からないが原因は追求してこないらしい。助かった。気が変わって追求されても困るので私は、足早に生徒指導室を出た。



「失礼します。怪我したので手当して欲しいんですけど。」

「はーいちょっと待っててねー。」


間の抜けた返事。いつもの保健室の先生の声ではない。いつもの先生ならば、もっと凛とした声のはずだ。


「お待たせぇ、、、。って、どうしたのその顔は?!」


やはり、救急箱をもってきた人物はいつもの保健室の先生ではなかった。


「これは、、、その、ちょっと。」

「、、、、うーん。言えないなら仕方ないかぁ。担任の先生は、このこと知ってるの?」

「はい、先生に言われて来ましたから。」

「そっか、じゃあちょっと悪いけどまた待っててね。担任の先生に聞いてくるから。」


そう言って、保健室の先生(仮)は様々な書類と共に机に置かれている受話器を取る。だが、担任の先生に理由は言っていないので怪我の理由が分かることはないだろう。


「────。分かりました。忙しい中ありがとうございました。」


電話が終わると私を待たせた事が申し訳なかったのか保健室の先生(仮)は走って戻ってきた。


「ごめんなさい。待たせたわね。すぐに手当をしましょう。」

「はい、ありがとうございます。その、、、ところでいつもの保健室の先生は?」


私は、ずっと気になっていた事を聞いてみた。


「ああ、そっか。自己紹介し忘れてたわね。私は今日からこの学校の保健室になった井谷 千佳子。前の先生は妊娠したから急遽変わることになったんだけど、確か朝のホームルームで説明があったはずよ。聞いてなかったの?」

「朝は、遅刻してしまったので。」

「あら、そうなの。まぁ、いいわ。これから宜しくね。」


自己紹介と共に手当が終わると私は教室に戻ろうとした。


「手当、ありがとうございます。じゃあ、私は教室に戻ります。」


失礼しましたと言い締めくくろうとした時だった。


「まぁまぁ、待ちなさい。今戻っても注目の的になるだろうし、貴方寝坊で遅刻したんでしょ?目の下に凄い隈があるわよ。ベッド用意するから休んでいきなさい。」


寝不足でも、ましてや隈ではなく痣なのだが井谷先生は隈と勘違いしてここで休んでいいと言ってきた。先生の言う通り教室に行っても注目の的になることは確実なので私は、この提案を受け入れることにした。


「じゃあ、お言葉に甘えて。」


用意されたベッドに寝転がるとすぐに眠気が襲ってきた。井谷先生が言っていた通り寝不足だったのか、それとも母やクラスメイト達といった私を脅かす存在がいないせいなのか分からなかった。しかし、それもすぐにどうでも良くなってきて今度こそ私は脳みそを停止させ、ベッドの中で寝息を立て始めた。









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