真実(前編)
ふええとよくわからない声を出したのはこの街のギルドマスターである牧であった。彼に出会った、この瞬間から僕の戦いは始まっていた。
「急に戻って来てどうしたんですか。この前、軽く説明されていた計画を実行しに来たのですか? あいにく、この街には資源はありますが人手が…」
「驚かしてすまない。そうだ、計画の予算が降りたので細かい説明をしに来た」
「それはおめでとうございます。ですがこの街として協力できることは資源を提供するくらいで」
「資源の他にいくつか頼みたいこともあり、ここに来た」
資源だけが目当てだと思っていたのだろう。子供にだって、どんな鈍感系主人公でも気づいてしまうほど、手がガクブルと震えている。驚きがごまかせていない。
「な、なにが目当てなのだ。この街には資源しかないと言っているだろ」
「分かっている。一つ目はそんなに難しくないと思う。この街の技術者を探している。集めてほしい」
「なんだ、それだけか、それならいいだろう。そしてまだあるんだろ」
「そうだな、もう一つは…。この建物の改修をしたい」
彼は腰を抜かしてしまう。それもそうだろう。素性もよくわからないやつに自分の根城を改修させてくれなど言われて、驚かないやつはいないだろう。
この建物を改修、とでも今のうちは言っておくのがいいだろう。ロープウェイを作るのにここが邪魔だからつぶせなど言えない。
「お主、本気か。」
僕は彼の目をしっかりと見て言う。 「はい」 そう一言。
「俺としても同じ日本人が活躍することに否定はしないし、応援をしたい。とりあえず一つ目の条件は飲もう。しかし、二つ目に関しては考えさせてくれ」
「分かりました。協力感謝します」
話し終えると彼はすぐにパソコンに向かい手慣れた手つきでカタカタとタイピングを始める。打ち終えると数分もしないうちに数人の人間が集まっていた。
「佐藤とやら、お主の頼みの通り、この街の技術者だ。電気に詳しいもの、建築などいろいろな分野のやつらだ。だいたいオタク上がりだから知識だけには異様に詳しくてな。多分必要以上の能力だと思うぞ」
彼らが今回、いや今後の僕たちの計画を担うのに重要人物となってくるだろう。
「急に集めってもらい申し訳ない。僕の名前は佐藤ひろきという。さっそくで申し訳ないのだが建設や電気に詳しい君たちを信じての願いなんだがここにロープウェイを通す。力を貸してくれない」
何か適当な言い方をするんじゃない。素直に、正直にやることを伝える。しかし、誰からも手が上がることはない。今あってとりあえず力かしてなんて言われてやるバカがいるわけない。とりあえず、僕らの現状を説明し、なにがしたいのかを説明する。
「そうか、いい計画だと思う。だが、俺は乗らない」
「なんでだ、昔の文献を読むにこのまちは昔は栄えていたそうじゃないか。今の姿でいいのか」
「いいんだ、俺たちはこれで…」
「どうしてだ。今、この街にある技術力を活かせれば君たちは活躍どころではない。歴史の教科書に載るレベルの活躍だ!」
「乗るとかではない」
「じゃあどうしてだ!」
別に僕だって地位や名誉のためが欲しいわけでやっているわけではない。しかし、熱くなってしまい思ってもいないことで攻めてしまっている。分かっているのだが理由が分からない。
「どうして、ああ、教えてやろうじゃないか。そうさ、俺らだって昔は外部とやり取りをして、技術提供だってしてきた。しかしだ。ある日突然、悪魔の使いだって言われだした」
「ちょっとまて、どういうことだ」
「悪魔の使い、そう。魔法を脅かす技術をこの世界の人間は気に食わなかったんだよ。逃げているうちにこの国だけは俺たちの事を受け入れてくれた。しかし、そう長くも続かなかった。隣の国が俺たちがいるなら引き渡せと言ってきた。できないなら戦争だと。俺たちを守るためだけに戦争はできない。その結果俺たちはここに引きこもることにした。それ以降どうなったかは知らんがそれからは不干渉と決めているんだ」
そんなことが…。ということは公でこんなことをやっていては危険なのでは。色々と考えさえられる。
前編だなんて後編あるのかしら。




