索道
アーネから預かった資料を持ち、国王のところへ向かう。本来は、兵士などを経由して渡すべきなのかもしれない。だが、先ほどの件を見て、不安になってしまっている僕は直接渡すことを選んだのだ。広く長い廊下を歩き続ける。アーネの実家では確かに廊下は広かった。しかし、通路が迷路になっている上に仕掛けがあちらこちらにと恐ろしい城であったがここはまだ、仕掛けがないだけ安心だ。
しばし歩いていると、玉座の間ではなく国王の自室を見つけた。騒ぎがあったのを知っているかは分からないがもし、あったとしたらこの部屋にいるのだろう。いつもより兵士の数も多い。入り口の前で警備をしている兵士に話を付け、中に入れさせてもらう。そんなに時間がたっていないとはいえ、顔パスで許されてしまう。ガバガバなのか、僕の顔がしれているのかは考えないでおこう。
「失礼します、国王陛下。書き終えた書類を直接、持ってきてしまいました。よろしかったでしょうか」
「ほほう。なにをかしこまる。別に誰かに見られてまずいような資料でもあるまいし、何かあったのか?」
たぶんだけど一大事だと思うのよね。今。この人、何も知らないよ。きっと事後報告があるかなぁ、くらいなのだろう。知らないのに言ってこの思いつきで生きている国王を動かすと国が一つ消えかねないと思い、僕は余計なことは言わないことにした。
「いえ、久しぶりに事務作業をしたもので気晴らしついでに届けに来ただけであります」
「そうかそうか、では茶でも飲むか? 先ほどな、いい茶が入ったと持ってきてくれたのだがあいにく吾輩は苦手でな。困っていたのである」
平和そうで何よりだよ。この人と話をしているとさっきまで、死闘が繰り広げられていたなど忘れてしまいそうだ。僕が変なことを考えている間に目のまえで資料に目を通す国王。そこだけを見るとまっとうな人にも見えるがよくわからない鉄道を聞いただけでやるとか言うんだからこの国の民は本当に大変だと思うよ。
「なるほど…。しかし、あの街の情報をこんなに簡単に手に入れられるとはな。お主、ただ物ではないな?」
「ハハハ、そのようなお言葉、わたくしには余るばかりです」
「お主、口もたつとはなかなかいいのぉ」
よく、素性の分からないやつに大金はたいたうえで、資料も信じられるな。僕だったら無理だ。
「さて、お主が資料で書いてくれたようにこの、サクドウ? というのか。また、新しい言葉が出てきたのだがどのような物なのだろうか」
「はい、簡単に言ってしまえば、強度のあるロープに籠をつけて運ぶというのでしょうか。わたくしがいた世界では山などに荷物を運ぶ方法として使われておりました。確かにこの裏道は勾配がきついわけではないのですが往復するのには距離もありますし、効率があまりよくありません。アーネに聞いたところこの世界では無機質の物質転移は難易度が高いとのことなのでこちらを提案させていただきました」
そう、サクドウ! 索道というとなじみがないかもしれないが分かりやすく言うとゴンドラや、ロープウェイの事を指す。今回はひもに籠を付け、巡回できるようにすれば簡単に鉄鉱石の運搬ができるのではないかと考えた。
「確かにそうだな。この世界で無機質の転移魔法をするには命を犠牲にする必要があるとすら言われておるからな。人はいくらでも動員できるのだが、このようなものをつくる技術が我が国にあるとは思えないのだが…」
「そこは安心してください。ある程度は目星をつけてあります。山田にも確認して、大丈夫と言われておりますので」
「では、まずはそのサクドウ…。面白みがないな。なんと呼べばいいのか?」
「今回のだと、ロープウェイでいいと思いますよ」
「そうか、サクドウよりはいいと思うぞ! では、よろしく頼む!!」
建設許可が下りた。まあ、いい感じに言いくるめれば大丈夫だと思っていた。あとは、形にするだけ。初めての形になる仕事。日本でも手には付けたことがなかったので楽しみでだ。
最近、あとがき書くのにはまりました。なろう限定なんですよ、これ。
今回は、この世界の豆知識を…。この回で無機質のものを転移させるには命が…とあったと思います。なぜこの世界では無機質のものが転移できない理由。それは昔々。初めて魔法というものを見つけたものがおったそうな。その人は次々といろいろな魔法を開発していったのだが転移魔法だけはなかなか開発ができなかったという。書きすぎてしまった、続きは次回!




