きになること。
村までの道のりで使った厳しいダンジョンとは違い、敵の一匹も出てこない安全な道を進んでいく。こんなに敵も出ず、下るだけの簡単な道があるなら先に教えておいて欲しかった。
「しかし師匠。地中の道を歩いているのにこんなに明るいのはなぜなのでしょうか。火ではないようですしどのような原理でついているのでしょうか」
「ん、これか。たぶんだが電気というものだ。この世界でも電気が通っているとは予想外だったな」
「デンキ? それはこんなにも明るいのですか。やはり師匠は何でも知ってますよね!」
「なんでもというか元居た世界では当たり前にあった技術だからな。この世界で明かりとして松明とか火を使うことの方が僕らからしたら新鮮な体験なんだよ」
「師匠の新鮮な体験だなんて珍しいです! いいものが見られました!」
「いいものも何もこの世界のものはたいてい新鮮に感じるからな。魔物だって魔法も初めて見る。死にそうになったこともなかったしな。でも、絶対にできないような経験が出来て僕は来てよかったかなって思ったりするよ」
「そうなのですか! 僕は師匠に出会えて色々な話を聞けてうれしいですよ!」
彼はそう言いながらはにかむ。そういえば今さらだが彼はなぜこの旅についていているのだろうか。目的をしっかりと聞いたことがなかった。僕は気になり彼に聞こうとする。
「僕たちは元の世界に戻る方法を王国で調べてもらう代わりに鉄道を作るって約束したんだけどネモ君はなんでついて来ているんだっけ。おじさん忘れちゃって」
この質問をした瞬間。彼のはにかんだ笑顔が一瞬消えた。しかし、すぐに戻り
「なんでって師匠さんたちと冒険出来たら楽しいかなって。それだけだよ? 」
彼のこの笑顔になにが隠れているのか気にはなった。しかし、彼とて両親ともいないらしい。きっと大変な思いを今までにしてきているのだろう。そんな子が心に闇の一つや二つあったって不思議ではない。子供を疑いすぎた。というかこの世界に来てから一部を除いて良い人が多すぎて逆に不安になっていたのかもしれない。こんなに健気な子供を疑うなどどうかしていたのだろう。
ネモ君の答えに少し間が空いてしまった。なにか返さねば。
「え、もしかして実は僕って邪魔だったりするのかな…。それなら」
「そんなことないよ! ちょっと僕が疲れていたみたいでね。ごめんね?」
この話はやめよう。話を切り替えようとした瞬間にどうやらアーネが今のネモ君の返しにちゃちゃを付けていたようだ。このまま二人は喧嘩をしながら歩いていき、扉にぶつかる。
「お、ここがどうやら出口みたいだな。鍵とかはあるのか? 俺はトンネルがあんまり得意じゃねえから早く出たいんだ」
「保線マンなんだからこういうところが持ち場なこと多いだろ」
「それもそうか。まあ、とりあえずさっさと開けてくれや」
山田はこういうところが苦手なのか。覚えておこう。それはいいとして、マスターに預かった鍵を差し込み、ドアを開ける。そこはビバーチェの街のそばにある川へとつながっていたのだ。




