人…?
気の短いアーネを先頭にさせ、中へとゆっくりと入る。
“ぎぃぃ” きしむドアをあけると中には受付がある。しかし、受付嬢がいるわけでもなく、呼び出しベルだけがおいてあった。
「中にも人っ子一人いないのですか。まあ、これならお金もかからないし佐藤の言う通り、特上の部屋に行かせてもらうのです!」
「まてまて、窓口に『御用がありましたらベルをお鳴らしください』っておいてあるんだ。これでもしだ。勝手に使って追い出されたり捕まりようものなら…」
「またひよっているの? こんなの押しちゃえばいいのです!」
彼女はそう言うと躊躇なく、ベルを押す。ベルの大きさに僕たちは静まり返る。見た目はよくある呼び出しベルだが音の大きさはその何倍にも大きい。
「おい! そんなに勢いよく押さなくていいだろ!」
「何を言うのですか。我はちょっと、軽く押しただけです! わ、我は悪くないのだからな?」
「アーネちゃん…。流石に強く押し過ぎだよ…」
「今野までそのような言い方を…」
「それだから子供は。僕のようにおとなしくしているといいですよ?」
いや、お前も子供だろと突っ込みたい気持ちを抑え、冷静に周囲の状況を見渡す。なにかが変わった様子もなければ、誰かが出てくる様子もない。やはりこの街に人はもう…。そう思った瞬間だった。
「騒がしいなあ、今は太陽が沈みだしたところなんだからもう少し寝かせておくよう」
なんと受付の人が出てきたのだ。
「「「人がいる!?!?」」」
僕たちは驚き方はそれぞれであったが皆、動揺を隠せないでいた。
「え、僕の顔になんかついているのかい? 寝起きなんだから勘弁しておくれよ」
彼はそう言うと照れくさそうに笑った。人だ。間違いなく人。
「あ、ごめんなさい。寝ているとは思わなくてね。しかし、宿屋の受付なら今が一番忙しい時間じゃないのかい?」
「宿屋? そうかそうだった。そういえばここは宿屋だったけか。で、君たちはなんのようだい?」
「なんのようって宿屋を探していたからね。泊まりたいなと」
「宿泊ね……。え、? 宿泊??? お客様…?」
「そうだけど、どうかしたのかい」
彼は今までの寝起きでボーッとしていた顔から全てを理解しながらも困惑をして、理解が追いついていないような、なんとも言えない顔をしている。
「ここはホテルではなかったのかい? それならほかを…」
「いやいやホテルなんですよ! でも、現在は他の街とは交流を断っているのでここに宿泊者がいるわけがないんだ! お化けか? モンスターか? お、おれの宿には何もない! 命だけは見逃してくれっ!」
え、なにを勘違いしてるの…??




