忘れていた来客 ①
ネモ君に起こされ、勝手に疑ってしまい困惑をしている。しかし、来客が来ているということならしっかりと切り替えをし応対せねばならない。僕はそう気持ちを切り替えるために、冷たい水で顔をささっと洗う。身だしなみを整え、来客の待っているという客間へと向かう。
今日は屋敷がごっちゃごちゃになっていることもない。何事もなく、客間へと着く。
“トントン”
「失礼いたします。お待たせしました」
僕は、待たせてしまったと思い頭を下げる。
「確かに、結構待ちましたね。というよりも、待たせてしまった。の方が正しいのかもしれませんね。まあ、そんなに頭を下げないでください」
野太い声が聞こえる先を、頭をあげてみるとそこにはピエロのような格好をしたスラーっとした男性が右へ左へふらふらとしながら立っている。てっきり小太りで少し身長が低く、ちょび髭を生やし、話すことにいじるような男性の声だと勘違いをしていたのもあり、動揺を隠せなかった。
「あれ、私のことをご存じじゃなかったのですか? それなりに名は知られているつもりでしたので少々悲しいくなりますね。ひゃひゃひゃ」
彼は悲しいと言いつつもそんな風に感じられる雰囲気は全くなかった。
「すみません。お恥ずかしながらまだこの世界のことを詳しくまでは知らないもので」
「そんなそんないいんですよ。会いに来ているんですから自己紹介くらいするものでですよね。遅くなりました。わたくし、。この街のギルドマスターをしております、アルルカン・クラウンと申します。名前だけでもお見知りおきを」
彼はそう言うと深々とお辞儀をした。
「よろしくお願いします。あ、えーっと僕の名前は…」
「佐藤ひろき様ですよね。先日の騒ぎもありましたので名前は存じております」
「先日はお騒がせしました」
「いえいえそんなことはありませんよ。あのアーネ様の活躍している姿を久しぶりに見られただけで我々としてはとても嬉しかったのですから。」
「やっぱりアーネってすごいんですね。まさか貴族の一員なんて思ってもいなかったので」
「そりゃすごいお方ですよ! あの領主様と…。いや、アーネ様の話はやめておきましょう。きっとたくさんお話を聞かされたことでしょう?」
「なぜそのことを?」
「私は見ての通りの道化師。なんでも見通せるのですよ~!!」
彼は高らかに笑いながらそう言う。道化師が見通しの力があるのかは疑問に感じたがまあ、ギルドマスターになるほどの方だ。何かあるのだろう。ということにしておこう。
「は、はあ。それで僕に用事って何でしょうか」
「なんでしょうかというか…」




