不信感
「どうしたんですか? 僕の顔になにかついてます?」
彼はすっとぼけた顔をして僕の顔を見つめている。やはりさっきのはお化けとかだったのだろうか。
「い、いやなんでもない。ちょっと夢でも見ていたみたい」
「僕って今さっきこの部屋に戻って来たんだよな?」
「そうですよ。師匠が戻ってくるのを待っている僕が一人いるだけでだれもここには入ってきていないですよ」
「そ、そうか。ちょっと疲れてるのかもしれない。休ませてもらってもいいかい?」
「たくさんいろんなお話聞きたかったんですが疲れているのでしたらしょうがないですね。ゆっくり休んでください」
「ごめんよ」
僕はこの一日だけで起きた出来事につかれてしまっているようだ。に、してもだ。ネモ君が本当にあんな性格だったら誰も信用できなくなるな。
今日のことなどを色々考えながら横になっているとそのまま眠りについてしまった。
「ししょ~! 起きてください! お客様が来られてますよ! もう朝なんですから! 起きてください~!」
誰かが僕にまたがりながらお腹の上で跳ねているようだ。師匠と言っているしネモ君なんだろうけどこんなにも子供は軽いものなのか。ポヨンポヨンするほどのお腹があるわけでは子供ができたような気がして気分がいい。
「いい加減に起きてください! さもないと…」
子供の脅しとはいえ、昨日の出来事がある。それを思い出してしまうと怖くて僕は飛び起きてしまった。
「あ、師匠。やっと起きてくれたんですね! おはようございます! 早速なのですがお客様が来られているんです。早く準備をしてください!」
「お、おはよう。わかった。というかさっき言っていたさもないとって何をするつもりだったんだ?」
彼はにっこりと笑う。いつもの笑顔であるはずなのになぜか不敵な笑みに見えてしまった。
「そんなこと言いましたっけ? 寝ぼけていて聞き間違えたんじゃないですか。早く準備してください」
「お、おう」
彼はまだ年齢的に小学生くらいだ。なのにこんなに疑ってしまうのは大人として失格なのかもしれない。切り替えていこうと思いながら着替えを済ませ、来客のもとへと向かう。




