面会室
僕はアーネが屋敷の変化を止めていてくれているはずの今のうちに目的地の面会室へと向かう。偶然部屋のすぐそばに兵士がいたので今度は道を聞くのではなく、案内をしてもらうことに。
面会室は思ったよりも近くにあったようで廊下を曲がり、すぐのところだった。本当に屋敷が変なことになっていなければ面倒になる距離ではなかったのに…。
僕は短い距離ではあったが案内をしてくれた兵士に軽く会釈をし、扉をノックをする。
「やっと来たかね、入りたまえ。」
数時間前に聞いたような娘を愛しすぎる親ばか感や僕たちを処刑しようとしたときの悪人のような声ではなく、すごく威厳のありそうな声が部屋の中から聞こえてくる。最初、また別人でフェイクなのではないかと疑いをしたがわざわざ個別に呼び出すような人は領主以外いないと思い、ゆっくりと扉を開ける。
そこには予想通り…、というよりやはりアーネの父親であり、領主が座っている。
「よく来てくれたね。まあ、そこの椅子に座りたまえ」
僕は軽く会釈をし、近くの椅子に座る。
「で、君たちはここに何をしに来たのかね? もともと王都にいたのであれば少し離れていて、街より先には山しかないここに来るということは何かあるということだろう?」
やはり、領主を務めているだけあり考えが読まれている。いや、アーネが…。まあいい。
「さすがです領主様。考えていることをお読みになっているとは。そうです。僕たちはこの街の先にあると言われているダンジョンに行きたくてですね…」
「え、マジ? 当たったの。ラッキーっ! 最近外れることが多かったからな~。あ、我の名前はアーネ=コーダ。まあ、コーダとでも呼んでくれよ」
あれ、なにこれ。めっちゃ頭いいとか思ったこの一瞬を返して。まあ確かに? あの娘のために何も考えずに行動してたあたり今思えば…しょうがないというか…。
「あ、親子そろって一人称は我なんですね」
「そうなんだよおおおおおおお!! アーネが小さい時から染みつくように教育させていたら我っていってくれるんじゃあああ。本当尊い。いいわ」
「は、はあ。よかったですね。で、僕の話なんですが…」
「お主の話…? さて、なんだったか。まあ、今日は我がどれだけアーネの事を愛しているかを聞いてほしくてな。アーネに聞いた話だとお主はとても話を聞くのがうまいらしいじゃないか。まあ、急ぐことはない。我の素晴らしい親子の絆について聞いてくれ」
このまま夕食と呼び出されるまで惚気? 話が続いた。正直途中から同じ話だということに気付いてはいたがどうも切り上げることができなかったのだった。




