ネモ君
「し、ししょー?…。 帰って来たんですねー!」
僕の部屋にちょこんと待っていた少年ネモ。僕がトイレから出てきたのを不思議そうに首を傾けながらも嬉しかったのかすぐに飛びついてきた。どうやら山田との部屋争奪戦に勝ち取ったようで嬉しそうに彼は僕に必死に喜びを伝えてくる。僕としてはどちらが嫌というのはなかったので特段うれしいとか嫌だとか言う感情はわかなかったが彼がすごく嬉しそうにしているのをみてなにか僕も嬉しく感じてきた。
「で、師匠はどこにいたんですか? トイレなんかから出てくるなんて普通じゃないですよ」
僕は今まで起きていたこの屋敷の不思議な出来事を伝える。彼はまた新しいことを知れたのかとても興味を持ち、楽しそうに聞いていた。僕としても彼が嬉しそうに聞いているのをみると楽しくてたくさん話してやりたくなる。
「そんなことがあったのですか。確かに少し不思議な感じと建物自体から魔力を感じていたんですがそのようなことがあるとは。まだまだ知らないことだらけです!」
「魔力って何でもできるんだな。僕たちのいた世界には魔力なんてものはなかったからなー。いろんな意味でこの世界は楽しいよ」
「魔力じゃないとなにで生きてるんですか? 火だって起こせないでしょうし」
「魔法じゃなくて化学ってのが発達してたんだよ。数式とかしっかりと理論が形作られていてちょっと難しいんだけどすごく便利だったよ」
「カガク…? そんなものがあるんですかっ! この世界には魔法学しかないのですごく気になりますっ!! 教えてください!」
「おう。でもちょっと用事があるからまた今度な。ここの領主に呼び出されているからさ」
ネモは少しボーっとしていたのか何も返事がなくさっきまで嬉々として聞いていた彼がどうしたのか気になり顔を覗くと…。
「ど、どうしたんですか! 急に顔を近づけてきてっ。」
彼は急に顔を近づけられたのがよっぽど恥ずかしかったのかとても顔を真っ赤にし、少し焦った様子だった。
「どうしたもこうもずっと話してたのに急にボーっとしだしてるからどうしたのかなって気になったからさ」
「あ、そういうことですか。僕は大丈夫です。一瞬考え事をしてしまっただけで存廃させてしまったならごめんなさい」
「なんでもないなら大丈夫だよ。では少し部屋を離れるからお留守番よろしくね」
「はいっ! 気を付けてきてくださいね」
僕はかれの満点の笑顔で送り出され、今度こそ面会室に向かう。




