嫌な理由
歩き出して三日目、徹夜をしてしまいながらも案外いつも通りに進行をしていた。アーネがずっとしゃべり、それを今野とエイルが聞く。そしてうるさいのにイライラが溜まったネモがアーネと喧嘩をしだす。いつも通り。ぺースも全く落ちず今日中につけそうだ。
「皆さん、そろそろつきますよ!!」
「あの城門がそうなのか。結構立派そうな街だな」
「王都に比べれば規模は落ちますが立派な街です」
「ほ、本当に行くんですか?」
「どうしたアーネ。出発するときも嫌そうにしてたけど何かあるのか?」
「い、いや本当に何もないんですけどあんまりいきたくないなーって思いまして…」
「ちょっとした理由ならそんなに拒絶反応を示すほどでもないだろ。さあ、行くぞ」
「あああ待ってくださいいい!」
いつも強気なアーネが行きたがらない街となるとへんなもんでもあるのだろうか。まあ、この世界は妙に変なところが多いからもう今さら…。という気がしなくはないが。
そんなアーネを横に僕たちは門へと向かう。たしかに王都ほどではないがそれでも十分なほど大きい門がそびえたっている。門番に軽く会釈をしながら通り過ぎようとすると…
「アーネお嬢様ではないですか!! どこに行ってらしたのですか。街中の者たちが心配しておりますよ!!」
「ひ、人違いじゃないかなーふ、ふーふー」
その言葉を聞いた近くにいる住民らしき人達が僕らを無視してアーネに集う。アーネがお嬢様? こんな破天荒でお上品とは一番遠いようなこのアーネが?!
この騒動の当人と言えばいまだに何が起こっているのか分からないふりをしようとしてなのか口笛を吹こうと必死だが焦って全く音が出ず息だけが出ていた。
「え、佐藤先輩どういうことなんですか! アーネちゃんがお嬢様って知ってたんですか?!」
「いやいや、知ってたらもう少し何とかしたよ」
「ってことは俺たちお嬢様とここまで来たってことかよ」
「そうなるな…」
僕たちも状況が読めないなか、とても偉そうな身なりをしている人がこちらへ向かってきた。街の人たちも姿を見るなりアーネから離れて頭を下げている。その人はアーネを見るなり目からぼたぼたと涙を流し、抱き着く。すぐにアーネによって押しのけられていたが父なのだろうか。
「おぉっ! 我が愛しのアーネよ!! どこに行っておったのじゃ。あれほど外には出るなと申したではないか」
「うるさいなあ。その過保護だから街から出ていったわけで…」
「しかし、帰って来たのじゃろう? 外の世界は怖くなかったか? 何者かに襲われはしなかったか? こんな美しい見た目をしとるんじゃ。男の一人二人…」
「すぐそういうこと言うのやめてっ! わ、我だってそんな…」
「その我と言うのはやめなさいと何度言えばわかるのじゃ! とりあえず屋敷へ戻ってじっくり話を…」
「行かないから! 今はこの人たちと旅してるんだからやめてよ!!」
きっと父であろうその人は僕たちのことを見るやいなや
「では、彼らを屋敷へ」




