転生
「さあ佐藤様。どうなさいますか?」
「しょうがない。もう一度だけ頑張ってみてもいいですか?」
きっとこの選択は地獄なのは間違いないと思う。生まれ変わってやり直す方が正直に言えば楽だと思う。でも、今の僕として感謝を伝えたい人やもっと話したい人はたくさんいる。生き残れる選択肢があるのに選ばないのはその人たちに対して無責任だなって。ってか異世界にあいつら置いて行くのはまずいよな。しっかりと二本に連れ戻さなくちゃ。
「佐藤様の望み。叶えて差し上げます。さあ、その魔法陣の上にお立ち下さい」
僕は言われたとおりに魔法陣の上に立つ。特に指定はされていないがど真ん中の方がうまくいけそうな気がするのでそこに立つ。
「それでは佐藤様。この世界に来ることはありませんように。そして、あなたの目的が達成されることを祈っておりますよ」
「ありがとうございます。最後に一つだけ。すごくどこかで見たことがあるような気がするのですが今までにあったことはありますか?」
「ふふっ。どうでしょう。では、頑張ってくださいねっ!」
彼女はそう微笑むと魔法を唱える。そうすると僕の体がふわっと浮き、どんどん高くなる。異世界転生するってこういう気持ちなのかな…。まあいい。とりあえず戻ったら二人に説教をしないと。まあ、僕を何とかしようとしたことは誉めつつ…。
色々なことを考えながら僕の体はどんどん浮いていく。そして、徐々に体が薄くなっていく。さあ、頑張るぞ…!!
「よ、ようこそ佐藤様。ここは死者が来たるべき場所である天界でございます。佐藤様はお亡くなりになられたのです」
「う…死んだのか?」
「はい、佐藤様は…」
「ってちょっとまて。僕は君に戻れるようにいろいろしてもらったわけじゃないですか。なのにここに来て全く同じセリフを言われるってどうかしてると思うのですが」
「お、お、おかしいですね。ちょっと待ってくださいね。原因を調査いたしますので」
「なんでもいいですから早くしてくださいね。少しでも早く戻ってやりたいことがたくさんあるので」
「わ、分かってます! ちょっと待っててくださいね。“えーっと女神サポートセンターの番号っと”」
え、なにその現代技術。女神の世界って進んでるんだなぁ。すげえや。
どのくらい待たされただろうか。お茶も出されたがなんか怖くて飲めず放置していたものが冷めてしまうほど、待たされているようだ。
何事もなかったかのように冷静なふりをして女神さまは戻ってきた。
「た、大変お待たせいたしました。今回はこちら側の不手際でしたので特例として佐藤様がお亡くなりになる直前の時間にお戻しいたします。また、死亡記録も特例で消させていただく措置をとらさせていただきたのですがよろしいですか?」
「んん。ってことは僕は死んでないってことになるのか? まあ、それなら不満はないよ」
「かしこまりました。では、そのように手続きをさせていただきます」
女神さまがそのように言うとすぐに魔法陣が現れ、考え事をする暇もなく、元に戻った。




