彼女は?
「ここはどこ?」三人はそろって言った。
「え、ちょっと。何なの?帰れたとかじゃないんですか?!」
今野さんはどうやら光が見えた時に帰ってこれたと思ったようだ。
「すげー! こんなに綺麗な草原なんて久しぶりに見たぞ」
山田は、草原に驚いてるようだ。結構冷静で驚いた。
「帰れては、いないようだな。駅も一応あるようだし、ここに電車はおいて近くに人がいないか探そう。そのついでに食べ物を探しながらも行こう」
冷静だと思っていた山田はやっぱり山田だった。
「わんちゃんここ異世界っすよね? ってことはエルフとかドワーフとかいるんですかね!やべぇ。見てみたい!!」
お前、それ以上に気にすることがあるだろ。とグダグダになりながらも食料と頼れそうな人を探すために歩き出した。
一面緑のきれいな草原ではあるが何もない。確かに、きれいな花などは咲いていてピクニックに来ているなら最高な場所だろう。
しかし、ピクニックにも大事な食料が今、手元にない。食料がなければピクニックだってそこまで面白くないはずだ。そんな状況になっているのだ。
何時間歩いたのか分からない。そんな時に一軒の小屋を見つけた。
「異世界だと思うし何がいるかわからないから注意していこう」
僕は二人に注意した。今野さんは言うとおりにしてくれた。
注意しだしたその時に、小屋から少女が出てきた。それを見た山田は、
「あんな女の子がいるんだ。へーきだろ」
と言って女の子のほうへと歩いて行った。
「ちょっといいかな?おじさんたち泊まるところもなくて、ここがどこかもわかんないんだ。だから一晩泊めてもらってもいいかな?」
初めて異世界に来たとは思えないような流暢な聞き方をした。
そしたら女の子は一言だけ「いいよ。」とだけ言った。
僕は何か嫌な予感を感じたが一晩でも寝泊まりできるのはとてもうれしいことだ。今は文句を言ってられない。泊めてもらおうということにした。
小屋に入れてもらったが中には、誰もいなかった。僕は気になったが初めての会話がこんなに重いのはまずいと思いあとで聞くことにした。
女の子は笑うことすらなかったが悲しそうな顔を見せることもなかった。そして夜ご飯まで作ってくれた。
「この辺りでとれたものしかなくて質素ですがどうぞ。」
と言ってくれた。とてもおいしく調理されており僕は驚いた。
「さとう!これおいしいな!!」
いや、俺じゃなくて女の子に言ってやれよ。
「ってか、君のお父さんとかいないのかい?」
あ、お前聞いてくれるんだ。しかも結構ナチュラルに。深刻な問題だと思うぞ。親いないって。
「お父さんも、お母さんもどこかに連れていかれちゃって。いつか帰ってくるといわれたのでずっとここで一人暮らしをしています。」
やはり異世界は過酷なのだなと僕は痛感した。ちなみに、この話で存在の薄い今野は泣いています。
「苦しいよねぇ!大丈夫だよ。これからはおねーちゃんとこのおじさんたちが君を助けるからね~」
先輩をおじさんといったことに不満はあったが彼女の言ったことは確かにいい提案かもしれない。彼女はひとりじゃなくなる。そして安心して親を待てる。
そして、僕たちは安心して小屋で過ごせる。一石二鳥じゃないか。
「おねーさんたち一緒にいてくれるの?私、うれしいな!」と、言うことで同意も得れたことなので住むことになった。