王城帰還
ついにこの日がやってきた。国王様に鉄道敷設の許可をこぎつけて帰って来たのだ。こちらとしてはそこそこ苦労をしたので帰る手段の一つや二つを見つけておいてほしいものなのだが…
「国王様、ただいま戻りました」
「結構時間がかかったな。しかし、それほど辛く厳しいものだったのだろう。よくやってくれたな」
つらいの大半は身内…いや、身内以外は全くつらいも何も国の政策と一声でみんな動いてくれる。ただ一つ言うならアーネを任命した国王に任命責任を問いたい。いや、言おう。
「あ、あので…」
「しかし、そのつらさもワシが選んだ小さいながらも最高の魔法使いであるアーネのいい働きがあったおかげであろう! そうであろう?」
「あ、はい」
こんな自信満々に送り出してたのか。その顔を見させられたら誰もがうなずいてしまうであろう、僕もそのうちの一人になってしまったのだった。
「さて、これからはアンダンテへと線路を伸ばしてもらうのだがどのような物を使えばよいのだ?」
「まずは大量の鉄を必要とします。それは、車両を走らせるために大切な線路にもなりますし、車両の台車など使う部分はたくさんあります」
「ほほう。しかし、その鉄とやらはどこにあるのだ?」
「え?」
「この国の建物は基本レンガや石、木造でできておる。そのテツとやらは見たことがないんじゃ」
やばい、電気とかだけがないと思っていたら鉄もないのか。これだと木の板で線路を作って馬車軌道とかにするしかないが…それは嫌だ。もう、あんな地獄の馬車になんて乗りたくない…
一人、万事休すだと思い悩んでいると国王の秘書らしき人が進言をしだす。
「国王陛下、そのテツとやら…やはり何でもございません」
「なんだ、もったいぶられるのがワシャ一番嫌いなのじゃ。なんでもいいから行ってみい」
「はあ、申し訳ございませぬ。これは、佐藤様たちが帰れるようにと二ホンについて調べていた時に一緒に出てきたのですが、どうやらこの国のはずれに似た名前のを持つ者たちがおられるようで。その文献を漁っているときにそのテツというものにも書いてあったような気がするのです。そこへ行けば、そのテツというものにもなにか引っかかるやもしれませんし、二ホンについて知ることができるかもしれません」
「それは本当ですか! ぜひ、その地域へと向かってみたいのですが」
「しかし、そこの地域へは謎の遺跡で入りにくくなっているのだ」
「それでもいいです!是非行かせてください!!」
「ううむ………よかろう。しかし、今回はあまり出資はできぬぞ?」
「え、なんでですか」
「だって今回は君たちが二ホンとやらへ帰るために調べに行くのであろう?私用にお金はさすがにつぎ込めぬ」
と、言われ明日からどうしようではなく昨夜の飲み代の補填を出してもらえるかの方が不安であった
「しかし、鉄の調査も含まれておりますので何とかなりませぬか」
「交通費だけなら…。しかし、宿代などまでは出せぬ。交通費のみだ」
「それでもいいので…」
本心はこの国王ケチだとしか思っていなかったが適当に領収書を国当てにだしておけばいいのではないのかと悪い考えがあったので飲むことにしたのだった。




