目の前!
「さあ、ダラダラしていないで行くぞー! もう目の前だからな!」
街を囲んでいるであろう大きな壁がかすかに見えていることに気づいたのだ。そうなれば進むしかない。時間もないから。
「どうしたのですか。今日はそんなに張り切ることなのですか? 我はもう少しゆっくりしてから・・・」
「目の前に目的地らしきものが見えているのに急がない理由はないだろ?? 時間だって本当はあんまりないんだから」
もう本題をそれてかれこれどのくらい立つのだろうか。僕は何をしているのかを忘れるくらいには脱線をしてしまっている気がしている。僕がこれなら他の人はもっと忘れているはず。予算だって降りなくなってしまったらまずい。
「アーネ、師匠がこう言っているんだ。行きますよ!」
グダグダ文句を言いながらも皆で準備をすませ、出発をする。
「あと少しで到着ですか。しかし、そんなにエルフは恐ろしいのですか?」
「僕も確かに気になってた。勝手なイメージだけど温厚なイメージが合ったんだけど」
アーネは首がちぎれてしまいそうなほど全力で左右に振った。そこまで危険なのかだろうか?
「エルフを舐めては行けないのです。あいつらは怒りっぽいのですよ。あのときだって・・・」
「それは我がまだ小さかったときの話です。佐藤、今も小さいだろと心のなかで言っているのは見え見えなのです。黙ってください」
なぜか一人でに回想が始まった。そして心の中を読んでツッコむのはやめてほしい。
「あのときの我は破壊魔法を覚えたてで暇さえあれば、街なかでぶっ放していたときなのです。パン屋に半殺しにされたのを最後に街なかで打つのはやめたのです。しかし、我のあふれる魔力が抑えられずにこっそりと今、我々がいる方角に撃ち込んでいたのです。ただ、それだけなのに!! エルフたちはブチギレて我々の街を壊しに来たのです! たったこれだけなのですよ!!」
おい、それは普通にお前が悪いだろう・・・。
「これだけじゃないのです。我の街では新年になると各々で飼っている魔獣を使って借り物競争をするのです」
「どうせその魔獣が言う事聞かなくてエルフの村を襲って、怒らせてとかだろ? なんか話が読めて来たわ」
「そうですね、この人・・・、達ならやりかねませんね」
「なにを言っているのですか。我らがそんなヘマはしないのです。ただ、借り物がエルフ本人なだけなのですよ! それの! なにが! 悪いのですか! 教えてほしいのですよ!!」
戦争の火種はどうやらこいつらにあるようでした。そして、話を聞けば聞くほど見つかった瞬間に串刺しにされて、丸焼きにでもされてしまいそうな気がしてきました。みなさん、ありがとうございました。
「そんなの起こるに決まってるだろう!! ええ?? 魔法打ち込みまくって見たり、誘拐してみたリって。よっぽどお前らが犯罪者だろ! アーネの首だけじゃ許してもらえないわ!!」
「佐藤! 今我の首を差し出すと言いましたか! このような可憐で美しく、優秀な若者の首を差し出すなどあり得ないのですよ!! エルフが収まったところで今度は佐藤が我の父上に串刺しにされるのです!!」
「わ、私もいるんですけど忘れてませんか??」
ほんへ(没になった下書きだけど好きだったので。。。なろうのみ公開w!)
「佐藤! なにを寝てさぼっているのですか!! 朝ごはん抜きにするのですよ?」
身体を揺らされながら僕のあわただしい一日の始まりだ。日本にいたころは目覚ましがなる五分前には目が覚めるほど朝が強かったし、夜勤明けも元気だったがこの世界に来てからというもの身体の疲れ方が変わったのだろう。夜は眠いし朝も眠い。疲れだけでいうと日本にいた時以上である。
しかし、久しぶりに柔らかい枕の上で寝たような気分だった。なぜなのだろうか。
「はいはいすみませんでしたね、日が昇ってくるあたりまでは起きてたと思うんだけどな」
「なにをいっているのですか、我より先に寝ていたのです。しかも膝の上で!! 特別に寝かせてあげていたのですよ。でももう終わりなのです!!」
膝の上? 立ったままですら寝れる僕がそんな姿勢を崩して寝ているわけが。
あったのだ。アーネの少し肉のついている柔らかい膝の上で寝ているではないか。そして横を向くと少し照れている感じのするアーネが。そして前を向くとゴミを見る目で見ているネモ君とゾーネの二人がいる。
「し、師匠。僕は、、えーっと。いいと思います。で、でも相手は選ばれた方が・・・」
「アーネ、こいつとはどんな関係なのですわ!! まさか!! ハレンチですのよ!!」
「我と佐藤はもう何度こうしたことか、ね、あなた???」
「したことないわ」
僕は彼女を一蹴し、身体を起こす。不幸にもしっかり休めてしまったようでいつもより身体が軽く感じる気がするが、気のせいだと思い込むことにした。
軽く朝ごはんを済ませ、出発をする。あと少しのところまできているはずだ。