武器
準備じゃと意気揚々と部屋を連れ出されたがなにか防具や武器をもらえるのだろうか。家主と歩いているとなんとかなってしまうこの迷宮を歩いて行く。未だに覚えられない。
少しすると目の前に“武器庫”と書かれた看板のある部屋が近づいてきた。
「準備とはこの先に見える武器庫とかで武器がもらえるのですか?」
「武器? そんなのはお主らが自分のを持っているのだろう? 使い慣れたものが一番だぞ?」
「お父さん! 佐藤が武器とか防具しているように見える? 佐藤って全く戦闘が出来ないから、なんならこのパーティーで戦えるのは我のみなのですよ!」
彼はありえないという表情をしている。それもそうだろう。ここまで移動は結構しているのに装備がないどころか戦えないのだから。というか、上の拠点に行くときに気づかなかったのか。
「そ、そうなのか。しかし、ここにあるのは魔法使い用の武器ばかりでな。それでも良ければ良いのだが」
「貸していただけるのならある方がうれしいです。防具だけでも良いので!」
「なら、ではよるとするか。いや、まて。今この部屋は・・・・・・。」
なにかを思い出したかのように言葉を濁す。しかし、それに気づかずアーネは部屋へと入る。
「我もなにかいいもの借りたいのですー!!! 失礼するのですー!!!」
「うわっ・・・。」
アーネは中にいた誰かにぶつかったのだろうか。中からアーネとは違う女性の声が聞こえた。
「我の道の邪魔をするとはなにものですかっ!!・・・・・・・。」
アーネは今までに見たことのないきまずそうな顔をして。一歩だけ後ろに下がる。
「あら、だれかと思ったらアーネじゃないの。まだ、あんたそんなキャラでやっているの?」
「そうですが! なにか悪のですか!!」
「いやいやあんたもまだまだお子ちゃまなのね。私においつくまでまだ数百年くらいかかりそうね」
「良いのですよ! 我は我の道を行くのです!」
こいつは敵しかいないのか? 喧嘩しない相手がいない気がする。そして誰なんだ。この人は。
「喧嘩中ごめんなさい、アーネとはどのような関係で。」
「あら、あの孤独のアーネにもパーティの仲間が出来たのね。私はアーネの魔法学校時代の同級生よ、名前はゾーエ・リーディア。よろしくね」
身長が高く、僕より少し小さいくらいだろうか。いかにも魔女! と思える黒のトンガリ帽を被っている。ドアにかかっているほうきを持ってくれれば完璧だ。
「ゾーエ。今度はこの部屋で実験をしていたのか。実験は自室だけでしてくれといっただろう。というかここにあった武器や防具はどうしたんだ」
「あれね、邪魔だったからちょっとね。どっかにあるわ」
「魔法の研究をするのは良いが城を荒らすのだけはやめろといっているのだろう? そうだ!!」
このじじい。余計なことを思いついた顔をしている。手まで叩いてしまって。きっと明暗なのだろう。厄介払いの。
「佐藤君、こいつが防具達をどうにかしてしまったみたいでね、すぐには貸せなさそうなのだよ」
「そうですね、でもせっかくなのでお借りしたいですし待ちますよ?」
なにかを言われる前に食い気味に話を遮る。
「そうだよね、そうだよね。急いでいるのだもんな。だからこいつを連れて行ってくれ。魔力だけは本物だ。僕のかわいいかわいいアーネちゃんほどではないが充分に役立つはずだ!」
やっぱりそうですよね。もう十分お荷物は二つ持っているのですが・・・・・・。
「彼女はどうなのですか? アーネがいるとはいえ」
「しょうがないのです! 我が責任もって面倒を見るのですよ!」
僕に権利はないみたいですね。アーネは鼻を伸ばし、自信満々に宣言する。
「さすが僕の可愛い娘だ! よし、ゾーエ。決まりだ。とりあえず行ってこい」
彼女はこくりと首を縦に振った。
新キャラがほしかった。魔女っ子、正統派のロリじゃない魔女っ子がほしかったの!!
以上です。