ビバーチェの人って……
索道を下りきり、下の世界へと降りる。
「にしてもここの出口どうにかならないんですか? 私、いつもちょっとぬれて出るのいやですよ」
「しょうがないだろう。将来的にはしっかりとしたものにする予定ではあるけどそんなに回数のない人の出入りで回収するほど余裕はないから」
「というかわかりにくいじゃないですか」
「それはわかりにくい方がいいと思うのですよ。現状そんなに人が来てほしくない地域ではあると思うのです。数日あの空間にいて思ったのですが多分魔法を使える人材はあまりいないと思うのです。そんなところに魔法使いが数人行けばすぐに制圧されてしまうのです。なので今みたいにこそこそやっているのが一番なのです」
「まあ、今からやるのはこそこそとは真逆の正々堂々と活動をするんだけどな」
「……。なので、我から提案なのですが数人護衛役も雇宇部期だと思うのです! これから人の出入りが増えるのになにも防衛をしないのは危険なのです。もちろん、我が一人いれば問題は無いのですがね!」
「じゃあ、それでいいな」
「……?!」
もちろん僕も必要性は理解している。多分、あの街に魔法使いはいない。そして、戦える設備があったとも思えない。なら、雇うべきだと言うことは分かっている。だが、勝手に雇ってきてなにを言われるかが分からない。そして、このアーネがいる。一応世界最強でもあるらしいし……。ということで今回は見送る。
僕たちは濡れた足をタオルで拭き、街へと向かう。
前回来たときもそうだがこの街の付近はなぜか敵があまりいないような気がする。ここの街に来るまでの間。シャープ城下街からビバーチェまでの間、ソステヌートに初めて行ったときに使ったダンジョンにはしっかりと敵が沢山いた。だが、この街の付近だけは敵がいない。
「そういえばアーネ。この街付近に敵がいないのはなにか理由があるのか? シャープの城下街付近にはそこそこいたような気がしたんだが」
「あ、そのことですか? 特に理由は無いと思うのですが……強いて言うならこの街の住人の多数は魔法使いなのです。優秀な。なので小さい頃からちょっとしたモンスターなどなら遊びとして倒しているのですよ。だからですかね?」
遊びで小さい頃からモンスター倒し。魔法使いってすごいんだな。
「なにをきれい事を言っているんですか! 師匠。だまされてはいけませんよ。この街の魔法使い。戦うのが基本好きなのです。先ほど話していた戦争では嬉々として参加をしていたくらいだそうで。戦争が停戦になり、その力の矛先が街近辺のモンスターに行ったと言うだけらしいです。なのでこの街出身の魔法使いは能力がとても高いが戦闘意欲が高く、仲間にしづらい。というのが世の中の評判なんです。なので基本、独り身の魔法使いが多く……」
「なにを言うのですか! 我々は平和的な部族なのですよ! 言いがかりはやめてほしいのですよ」
「言いがかりも何も真実を言っただけで……」
「あなたがどうしても戦いたいというのだけは分かったのです。我に勝てるつもりなのでしょう。さあ、かかって……」
「やめろばーか」
僕は見合っている二人の頭を押さえつける。勝手に戦いを仕掛けているアーネを見るとネモ君の説明を裏付けているような物じゃないか。
とりあえずこの街で殺されないよう気をつけよう。
また脱線してしまった。