隣国のこと。
ということで今回の作戦は三人で行くことに。え? 作戦ってなにか計画があるのかって? うん。ない。しかし、求人を募集するのはビバーチェの街。アーネの力でなんとかなるでしょうという高望みをして、僕達は街へと向かう。
街へと降りる索道も一度使ってしまえば慣れるものだ。敵が出てくることもない平和な道でもあるので。しかし、湧き潰しをしっかりしていますからといわれているものの、ソステヌートの周辺はなぜこんなに敵が出ないのだろうか。僕はそれだけが不思議でならない。
「佐藤さん達はここ通ったことあるんですよね。けっこう暗いですけど大丈夫なんですか?」
「ああ、ソステヌートの周辺は敵が湧き潰しされているみたいでさ。暗めのトンネルでも出ないらしいよ。どうやってるかは知らないんだけどな」
「そうなんですね。他でもそれが出来たらすごくいいですね!」
「平和な世界が一番だもんな。僕もそう思うよ」
「それもいいと思うのですがそうすると我の生きる価値が大幅に減ってしまうのです。我みたいな冒険者は戦うことによって生計を立てているのです。なので、なので。もちろん安全が一番なのですが我々の仕事のためになくなってしまうのは辛いのです」
「僕も師匠の言うことはいいと思うのですが残念ながらアーネの意見に賛成です。平和安全によって失われる仕事もありますから」
彼は渋そうな顔をしながらアーネの意見に賛成をしている。彼が言うのならこの世界にとって無くてはいけない敵なのかも知れない。敵がいるからこそ成り立つ職業。難しい世界である。
「なのである意味このままでいいのですよ。難しいのですが。というかすぐ隣には敵国もあるのですから。常に戦っていざという時に備えていると考えてもらえればいいのですよ」
そういえば僕はこの世界に来てからシャープ国しか見ていない。前に図書館で本を漁っているときに隣国があることを知ってはいた。あまり交友がないことも。しかし、戦争中だとは。
「戦争中にこんな全貌の分からない計画をしていいのか?」
「ああ、そのことですか? それは大丈夫だと思うのですよ。なにせ我が生まれる前から停戦をしているのですから。まあ、この国の王は頭が我以上におかしいのですから。きっと大丈夫なのですよ!」
やっぱりこの国の王は頭がおかしいのか。まあ、見ず知らずのやつによくわからない計画を頼んで大金はたこうとしているんだしな。金があるとか言いながら遠征には金出せないとか渋ったりするんだもん。おかしいんだよな。
「でも、いつ何が起こるか分かりませんからね。平和ぼけが一番怖いですよ……。ねっ師匠!」
彼は見せたことがないような深刻で、何かを伝えたいようないいぶりをする。
「ま、まあそうかもな。とりあえず降りるぞ!!」
「「「おーー!!」」」
遅れました。