結局ぼく。
邪魔もなんにも入らなくてもこいつは自分から雰囲気を壊すのが好きなようだ。
ちょっといい感じにはなりつつも、結局何事もなく終わってしまういつものことではあるが。まあ、相手はまだロリっ子。相手にするには早すぎる。じきに陰で隠れていた他の仲間たちも出てくる。
「師匠!! 大丈夫でしたか!! 僕は心配だったんですよ! でも、この人たち酷いから死んだって勘違いさせようって言うんです。もちろん僕は反対しましたからね!」
やっぱりネモ君。君だけが一番信頼できるよ。ネモ君は他の人から僕を守るように一番にやってきてくれた。山田や今野は渋々といった感じだろうか。後ろからけだるそうに歩いてくる。
「やっぱりネモ君は優しいな。一生僕のそばにいてくれよ!!」
「ぼ、僕なんかでいいんですか?! 絶対に師匠から離れません!!」
僕とネモ君は熱い抱擁を交わす。いい。これいいよ。僕はなぜだか蘇ったような気がするよ。
「佐藤……。ごめんな? ここまでやるつもりはなかったんだけどさ。みんながやろうって言うから。俺は……反対だったんだけどな」
「あ、山田先輩卑怯ですよ! そしたら私だって反対してましたから! アーネちゃんの独断で進めたんです。この計画」
お前ら、あんなやつだとしても子供に押しつけるのは申し訳ないというか大人げないと思わないのか。
「あ、山田とすずか。裏切るのですか! 話が違うじゃないですか!」
「「……」」
二人はアーネの呼びかけに応じず、そっぽを向いている。こいつらと言ったら……。面白そうだから乗ろう。
「ってことらしいがお前だけでやったんだな? アーネ君?」
彼女は冷や汗を垂らしながら周囲を見渡す。逃げようとでもしているのだろうか。
「あの二人も共犯なのですよ! 偉大な魔法使いであるこのアーネ様であっても声を変えるまでは出来ないのです! あの音声を収録した。これが何よりも証拠なのですよ!!」
まっとうな反論。さあ、あの二人はどう帰すつもりなのかな。
「あ……れだって本当はやりたくなかっただよ。でも、アーネがどうして持って魔法で脅してくるから……」
山田。お前それは酷いいいわけだろ。だが、僕は乗る。
「と、言ってるがどうなんだ? 実際のところネモ君は魔法が使えるが僕を含めたこの二人はろくに使えない。やろうと思えば出来るわけだ」
「我とて仲間を手にかけるほど愚かではないのですよ!」
あれ、少し前に君。お金につられて裏切っていた気がするのですがどの口が言っているんですか。
「仲間思いで言ったら我が一番なのですよ! というか佐藤が昨日あんな酷いことを言い散らかして、すずかのことをおかしくさせなければこんなことにはならなかったのですよ! 悪のいは佐藤なのです!!」
責任が帰ってきました。しかも、そこまで反論の余地がないという。辛いです。きっと古くから慣れ親しんだあいつらなら。僕のことを……!!
「そ、それもそうだな。今回は色々あったけど元はといえば佐藤だしな。しょうが無い」
「そ、そうですね! 佐藤先輩が私のことを……!!」
泣かれてしまってはもう勝てない。負けだ。これ以上はやめよう。
「す、すみませんでした……。お詫びに今日はお酒抜きで何か食事を……」
とりあえず、この場を納めて次に進もうとしたとき。
「佐藤班長!! 佐藤班長はいますか!!」
やっと次に進めます。