純白のアーネ様
「おい、アーネ。これはどういうことなんだ??」
「え、え。な、なんのことなの……なんですか? そうですね。アーネ様という方からはメッセージは届いていないですのよ」
「そうじゃねえんだ。アーネさんよ。僕、死んでないだろ? この部屋がどういうところなのかは知らないけどどこかに連れてこられてお前らの遊びに付き合わされてるってことだろ? どっかで見たことある顔だなとはここに来たときに感じてはいたけど。さすがに死んだことにするのはやばすぎるだろ。お前」
「先ほどから何をいっているのですか! 我がそんなことしてなんのメリットがあるというのですか!!」
隠す気はもうないのだろうか。我とあまりいない一人称が漏れてしまっているではないか。個人的に女神様が逆ギレをしたり、我というのは解釈違いなのでね。もう確定だね。
「自分のことを我というのはアーネしか今のところ僕は出会っていないのだが君はどうなんだい? 自称女神様」
「自称女神って! 我って言うのがアーネ……とか言う子だけとは限らないのですよ?? それこそ我とて元々は違ったのですよ! でも、尊敬してる人がそう言っていたから」
なんか勝手に自白をしてくれているのだが彼女は気づいているのだろうか。
「そうなんですね、アーネさんよ。で、さっきの声はどうやったんだい? この世界に録音機とかはないだろうし。まさか魔法で再生が出来るとか……?!」
「録音機とはなんのことをいっているのですか。我はそのようなものは知らないのですよ。ふふふ、我を見くびってはいけないといつも言っているのですよ。少しくらいなら声をとどまらせることくらいたやすいのです」
やっぱりアーネ。すごいやつではあるんだよな。ネジが何本か……いや、結構足りないだけであって。まあ、それも子供だからなのだろう、ということにしておいてやる。
「お前、そんなことまでできるんだ。すごいな。で、他の奴らはどこにいるんだ?」
「それなら……って我はまだアーネと認めたわけではっ!!」
「さっき魔法自慢をしたくて我慢が出来ていなかったろ。もう隠すのはやめたら?」
「もうちょっと楽しんでもいいではないのですか! 我が純白の衣装に身を包んでいるなんて後は結婚式くらいなのですよ? せっかくの機会なのです! しっかりと目に焼き付けるのですよ!」
目に焼き付けるか……。まあ、たしかにいつも少しボロついていて派手めの服しか着ていないこいつが純白の衣装を着ているなんて見れないかも知れないからな。というか日常で着ていたら数分で汚れが付いていることだろう。いまだに汚れていないということが奇跡なのかも知れない。
「よし、よーくお前のことを拝んでやる。じっとしてろよ?」
「え、あ、本当なのですか。そう言われると照れるというか……」
「見ろって言ってきたのはお前だろ? どうした??」
「馬鹿にしないでほしいのです……! というかなんで感想が一言もないのですか! 我だって恥ずかしいのですから優しい一言でも声をかけるのが当たり前というものなのですよ!」
そう言いながら彼女は真っ白な服を着ながらも顔だけは真っ赤に染まっていた。照れ隠しなどはしていないのだろうか。いや、隠れきっていないのだ。
しかし、そういうところだけは妙にしっかりしているんだよな。このアーネとか言う女は。
「ほ、褒めればいいのか? ま、まあ。似合っているんじゃないか? いつもと雰囲気が違っていいと思うぞ」
「ほ、本当なのですか? う、うれ……。まあ、それくらいは言うのが当然なのです! さっさとネタバレをするのです!! もうこんな恥ずかしいのは着ていられないのですから!」
邪魔もなんにも入らなくてもこいつは自分から雰囲気を壊すのが好きなようだ。