天国……??
なんだろう。周りが白く光っている気がする。まさか、こんなところで死んでしまうとは情けない。もう少しは生きたかったかな。やりたいことや結婚とかも……まあ、それはいいか。
「起きなさい、佐藤よ。前は見えているのですますか?」
ああ、これが女神様というものか。しかし、なぜかこの女神様を見たことある気がするのは気のせいだろうか。
「はい、見えています。僕は死んだのですか?」
「そういうことに……。そうなのです。あなたは死んだのです。死に際は悲しいものでした。 後輩の女の子に顔を踏まれながら……クス」
あれ、この女神様笑ってる? なんかこんな女神様を僕、知っているんですけど。実際にいるんですか。
「そう、踏まれながら呼吸が出来ずに死んでしまったのです……クスクス」
「あの……。人の死因で笑うのをやめてほしいなって。死後ぐらいはもう少し優しくしてほしいというか」
「笑ってなどいないのですよ! 勘違いはやめてほし……いですわよ」
やっぱりなんかこの女神、顔見知りな気がするんだよな。日本にいたときのとかではない。直近で会っていたやつのような気が……。でも、まあこんな真っ白な部屋にいるわけだし。死んだのだろう。
「これからあなたの今後を教える前に生前の仲間たちの別れの声を聞かせてあげるのです。本来は聞けないのですが神なりの優しさだと思ってほしいのですよ」
「本当ですか?! それはうれしいなあ。別れの一つも言えずに死んでしまいましたからね」
「では、、名前まではわr……わたくしでは分からないのです。なので、声で判断をしてほしいのですよ」
「おい、佐藤っ! なんでそんなんで死ぬんだよ。こんなところで死んだら俺たちどうなっちゃうんだよ。この世界でやらなきゃいけない夢があったろ? そのためにはお前が必要なんだよ。おい、なんで死ぬんだよ……これでいい……」
最初は山田か。そんなに熱心に考えてくれていたのか。てっきり全部僕に任せて適当にぼけているだけだと思っていたがそうだと知れてうれしいな。死んじゃったけど。
「山田か……。ありがとう。女神様、ちなみに最後のほうちょっと途切れていて聞こえなかったのですが」
「最後……?? ああ、それはまあ、我の力がまだ少し足りなかっただけなのです。気にしないで次に行くのですよ!」
「そんな軽いテンションで進めないでよ……」
「佐藤先輩……。私が変になってしまって……。まさか、、先輩を殺してしまうなんて……グスッ……もういい??」
なんだろう。さっきから声が消える瞬間になにか変な声が聞こえるような。
「女性からも慕われていたのですね。本当に佐藤は……」
「あの……。今聞こえた雑音もさっきと同じですか?」
「あーそうそう。そうなのです。だから気にしないでほしいのですよ」
考えたくはない……。いや、きっと僕は死んでないぞ。これ。目の前にいるこの白い衣装を全身にまとい、顔も隠している自称女神。多分これはアーネとみた。時々我とか○○のですという口癖を隠し切れていない。というか多分面倒になっていると思う。だが、もう少し、だまされたふりをしよう。
「他にはいませんか? 僕のことをとても慕ってくれていた弟子のようなかわいいやつがいたはずなのですが」
「これだけしか録れていないのです。あいつ断りやがって」
「そうなのですね女神様、ちなみに最後何かおっしゃいましたか?」
「き、気にしないでほしいのです。軽い独り言なのですよ」
「そうなんですね。それで、僕はこの後どうなってしまうのですか?」
「あなたは日頃の行いがよかったので天国行きのはずなのですよ。だから安心してほしいのです」
「本当ですかアーネ様。うれしい限りです」
「感謝してほしいのですよって」
「おい、アーネ。これはどういうことなんだ??」
山田君のセリフ。自分で書いていてすぐにブーメランが刺さった気がしますのです。