真実
中途半端なところで話が途切れてしまい、結局何をしたのを分からないでいた。
「まさかネモ君に逃げられるとは思ってもいなかった。あの反応。多分、激怒したのだろう。怒っていなかったらあんなに怒りませんよね? とかおびえたりしないよね」
次に誰かに話を聞けないかと周りを見渡す。山田は……。話してくれなさそうだし、今野は無理だろう。そうすると残るは。
「おい、話を聞かせて貰おうか」
アーネ。そうこいつしかいない。困ったらこいつ。とりあえずなにかあったら八つ当たりも含めてこの子。
「なんですか。まだ怒っているのですか? あんなことでずーっと説教していたじゃないですか」
「なにで怒っていたのかを知りたいんだよ……」
「え、待ってほしいのです。あそこまでみんなに怒鳴り散らしていたのになにも覚えていないというのですか?」
「はい」
彼女は僕のことをゴミを見るような目で見てくる。はい。ゴミですよ。
「さすがにそれは酷すぎるのですよ。すずかさんだってあそこまでなっているのですよ。本当に思い出せないのですか?」
「はい」
さっきよりも酷い目をしていますね。間違いありません。はい。
立って話を聞いていたが自然と僕の足は正座を組んでいた。
「佐藤があそこまで怒るとは思ってもいなかったのですがまさかお酒の勢いとは。あれもこれも言っていたので全部を教えると大変なのですよ」
「僕って……。そんなに酷かったのですか」
つい、彼女の話し方が移ってしまう。
「それはそれは、今までの我の悪行よりも酷いのですよ」
彼女の今までしてきた悪行というのがとてつもなく気になるのだが今ここでこの話を聞こうものなら塵と化してしまうのは魔法を使えない僕でも分かる。
「そ、そんなにですか」
「そうなのですよ。簡潔に言えば今までに思っていたことを全て打ち明けた結果というべきなのですかね……」
はあ、その結果がこちらですか。ネモ君はそんなに無い。というか無い。アーネは沢山ある。山田は同期だしなんとか……。今野はこっちに来てから、そんなに感じてはいなかったのだが
「それもですよ! そんなことで怒っていたのですか! みたいなみみっちいことでダラダラ怒っていたのです。全く、最悪だったのです。昨日の佐藤は。この前の我を助けようとしていた姿をかっこいいと感じていたのを返してほしいのですよ!」
「そんなにストレスを感じていたのはアーネくらいだったのですがそんなことを機能していたんですか。素直に土下座してきますって……え? かっこいい??」
「……。そこは、今は関係ないのですよ! とりあえずすずかに謝ってくるのですよ!! 我や山田は別にいいのですが彼女はしっかりとした乙女なのですよ」
僕は彼女に諭されるまま謝りに行く。
今野さんの下の名前、すずかって覚えてました?
私は忘れてました。